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第二章
18-4
しおりを挟む「ベル。どうだい、結婚生活は?」
にやにや笑いながら聞いてくるのは、この国の王太子だ。
「随分、幸せオーラをまき散らしてるじゃないか」
「そうか?」
確かに、嫌味を言われても全く気にならない。
むしろ口の端が笑ってしまう。
そんなエーベルトを見て、王太子が苦笑した。
「おいおい、勘弁してくれよ」
「何をだ?」
「レイだけじゃなく、お前までそんなになるなんて、思いもしなかったよ」
そう言って肩をすくめる。
未だ決まった相手が居ない彼としては、すっかり色惚けた友人二人に囲まれて辛いのだろう。
とはいっても、自分は新婚なのだ。多少色惚けてる位でいいだろう。
「まあね。自分でもこんなになるなんて、思ってもみなかったよ」
「……はあ。堂々と惚気か?」
「何とでも言ってくれ。……しかし、結婚はいいぞ? なんたって、堂々とずっと一緒に居られるからな」
「まったく。嫌味の一つも通じやしない」
王太子はすっかり呆れ顔だ。
しかし、自分でもどうかと思う程、毎日リディアーヌが可愛くてしょうがないのだから仕方がない。
結婚してから、急にエーベルトのことを意識し出したらしいリディアーヌは、少し触れただけでも真っ赤になって狼狽えるようになった。
それが嬉しくてしょうがないと同時に、可愛くて可愛くて堪らないのだ。
しかも、抱き寄せてキスをすれば、上気した顔に潤んだ瞳でくたりと自分に身を預けてくる。そんな様を見せられて、我慢できるはずもない。
このところ少しがっつき気味な気もしないではないが、それこそ新婚なのだ、まあいいだろう。
両親である公爵夫妻の視線が煩わしいが、彼等としてはエーベルト達が仲良くすることを喜んでいるのだから、問題はない。それに多少からかわれる位、安いものだ。
ただ、ちょうど今思春期である弟の冷たい視線が少し気にはなるが、どうせ彼もいつかは通る道だ。良しとしてもらおう。
そんなこんなで、今、エーベルトは非常に幸せだった。
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