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第二章
17-1
しおりを挟む真っ赤な顔で頷いたリディアーヌを、エーベルトが嬉しそうにギュッと抱きしめてきた。
旅行中ずっと、エーベルトは我慢してくれていたのだ。
さすがにリディアーヌも、男性がそういう衝動を我慢することは非常に辛いのだということくらいは、本を読んで知っている。
しかも自分達は新婚旅行中だったのだ、きっとエーベルトはしたかったに違いない。
この状況で拒むことなど出来ないだろう。
それに、リディアーヌだって嫌ではないのだ。
「……待たせてしまって、ごめんなさい」
「いや、しょうがないよ。……まあ、我慢するのは凄く辛かったってのは認めるけど」
楽しそうなエーベルトの声に、少しだけホッとする。
しかし次の言葉で、リディアーヌは狼狽えてしまった。
「でも、今日はリディにも気持ち良くなってもらえるよう、頑張るよ」
「え!? なっ!?」
「この前は、余裕がなくてリディをきちんと感じさせられなかったけど、今日は頑張るから」
「やっ、別に頑張らなくても、……っ!!」
一体何を言っているのだと狼狽えるも、エーベルトが口付けてきた為、リディアーヌはそれ以上しゃべることはかなわなかった。
「……ん、……ふぅ」
口内に舌を差し入れられて、途端に頭が痺れたようになる。
久し振りの口付けは、やはり気持ちがよい。それに、何とも満たされる思いだ。
リディアーヌの体からくたりと力が抜ける。
深く口付け合いながら寝衣を脱がせたエーベルトが、ゆっくりとリディアーヌを寝台に横たえた。
どうでもいいが、どうも公爵家の侍女が用意する寝衣は、どれもこれも薄手で頼りないものばかりだ。胸元の紐ひとつで、するりと脱げてしまう。ちなみに、下は用意されていない。
あっという間に裸にされてしまったリディアーヌは、咄嗟に腕で胸を隠した。
「ね、ねえ。明かりを消しても……」
ベッドサイドの柔らかい明かりは光量は押さえられているも、それでもしっかり顔が見えるくらいには明るい。
初めての時も思ったが、やはり見られるのは恥ずかしい。
「や、リディをちゃんと見たいから」
光る青灰色の瞳で見下されて、胸の鼓動が速くなる。
そのまま首筋に口付けられて、リディアーヌの体がぞわりと粟立った。
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