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第二章
16-4
しおりを挟む一緒に風呂に入ろうと言うくらいだから、エーベルトはリディアーヌの月のものが終わっていることを知っているのだ。
つまりは、夫婦の行為のお誘いということだろう。
意識した途端、リディアーヌは頭がくらくらしてきてしまった。まだ湯にも浸かっていないというのに、すでにのぼせたように顔が熱い。
本当自分はいったい、初夜の時、どうしてあんなに普通でいられたのか分からない。
もちろん緊張はしていた。それなりに羞恥もあった。
でも、今ほどではない。今の自分は、きっとキスをするだけでも精一杯だろう。
しかし、今や自分達はれっきとした夫婦だ。それに初めてでもない。
むしろやらないことの方が、おかしい。
とりあえず落ち着こうと湯に身を浸したリディアーヌであったが、一向におさまる気配のない動悸に、何度も深呼吸を繰り返した。
入れ替わるようにして風呂へと向かったエーベルトを、寝台に腰掛けて待ちながら、リディアーヌは結婚式の夜を思い出していた。
ここでこうやってエーベルトを待つのは二回目だ。
しかしあの時と違い、今の自分達は結ばれてきちんと夫婦なのだ。
だからきっと大丈夫、今回もできるはず。
ぶつぶつと自己暗示を掛けるように呟いていたリディアーヌだったが、浴室のドアが開いた音に、自分でも驚くほどビクリと反応してしまった。
風呂に入って出るまで、やけに早い。
5分も経っていないんじゃないだろうか。
湯上りの上気した顔で、エーベルトがなんとも嬉しそうに笑ってリディアーヌのもとまでやってくる。
すぐ隣に腰掛けたエーベルトの体から、自分と同じ石けんの匂いがすることに気が付いて、リディアーヌは自分達が夫婦であることを強く意識した。
旅行中もそうだったが、こういった何気ない事柄で、自分達が結婚したのだということを改めて認識させられる。
きっと、こういう経験を繰り返していく内に、夫婦であることが当たり前になっていくのだろう。
束の間何となく気持ちが解れたリディアーヌだったが、優しく髪を耳に掛けられて、再び胸がドキドキしてきてしまった。
エーベルトの指が掠めた耳が燃えるように熱い。
「リディ、いい?」
ふわっと抱きしめられ、耳元で囁かれる。
一気に頭が沸騰した様になったリディアーヌは、無言でコクリと頷いた。
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