さくらんぼの恋

碧 貴子

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第一章

15-4

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 自分の腕の中ですやすやと寝息を立てるリディアーヌを見下ろして、エーベルトは切ないため息を吐いた。
 先程までの情交で、リディアーヌの頬はまだうっすらと赤く染まっている。しどけなく軽く唇を開き、汗で髪が額に張り付いた様はなんとも扇情的だ。
 再び下半身に熱が集中していくのがわかるが、さすがにこれ以上無理はさせられないだろう。
 それに、今日は午前中の内に公爵邸を発たなくてはならない。今日から一週間、二人は新婚旅行に出るのだ。
 エーベルトは非常に名残惜しい気持ちでリディアーヌの額にキスを落としてから、体を起こした。
 眠るリディアーヌの体に浄化魔法を掛け、簡単に寝衣を着せる。
 明るい朝の光に晒されたリディアーヌの体は非常に美しく、エーベルトは劣情と戦いながらもなんとか寝衣を着せ終えた。

 これまでエーベルトは、自分は性欲に関しては比較的淡泊な方だと思っていた。
 しかし、リディアーヌと触れ合うようになってからは、そうではないことを散々に思い知らされることとなったのだった。
 今も先程欲望を吐き出したばかりだというのに、すでにまた体を繋げたくて堪らない。
 覚えたばかりは盛りがついたようにやりたくて仕方がなくなると聞いてはいたが、まさか自分がそんなことになるとはエーベルトは思いもしなかった。

 初めてきちんと繋がったリディアーヌの中は、想像をはるかに超えて気持ちが良かった。
 以前の失敗を踏まえて事前に自己処理をしておいたというにもかかわらず、己のものを全て埋め込んだ瞬間、そのとんでもない快感にエーベルトは抗うことが出来なかった。
 なすすべもなく欲望が暴発し、エーベルトは深い自己嫌悪に襲われた。一度ならず二度までも、先走ってしまった自分の堪え性のなさが情けなくてしょうがなかったのだ。
 しかし、これで夫婦になれたのだと心の底から嬉しそうに笑うリディアーヌに、エーベルトは拍子抜けするとともに、救われた気持ちになった。
 確かに、入れてすぐ出てしまったが、今回はちゃんと中で出せたのだ。きちんと繋がることが出来たことには違いない。
 それに、最初の一回目は早かったとしても、もう一度交わればいいだけの話だ。さすがに2回目はもう少しつだろう。
 そう思い直した途端、再び自身のものが力を取り戻し始めた。
 まあ二回目も、暴発こそしなかったものの、頭がおかしくなりそうなその快感に我を忘れてしまったのだが。

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