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第一章
15-2
しおりを挟む「体、辛くない?」
「あ、……え、ええ。大丈夫……」
下腹部が重い感じがするが、我慢できない程ではない。
それよりも、いまだ脚の間に何かが挟まっているような異物感があることの方が気になる。
意識した途端、リディアーヌは体が熱くなるのを感じた。
ますます赤くなる顔を隠すように、背中に腕を回してギュッと抱きつくと、リディアーヌの髪に顔を埋めたエーベルトが、ほうっと息を吐きだした。
エーベルトの体も、先程から熱を持っている。優しく背中を撫でられるうちに、リディアーヌは何やら変な気分になってきた。
頭上に感じるエーベルトの吐息も、やけに熱く、艶っぽい。
背中を撫でていた手がそろそろと下におろされていくことに、神経が集中してしまう。
それに、剣を握るために硬くなったエーベルトの大きな手の感触に、これまで意識したことのない男性を感じてしまって、リディアーヌはドキドキしてきた。
何故か今は、エーベルトが男であることを強く意識してしまう。
わかりきっていたはずなのに、自分はやはりわかっていなかったのだ。
胸も腕も、体の硬さも、女である自分とは何もかもが違う。
それに先程から、腹に硬くて熱いものが当たっている。今ではリディアーヌもそれが何なのかを知っている。
意識した途端、リディアーヌの体温が急速に高くなった。
腰のくびれを越えた手が臀部のふくらみに添えられて、びくりと体が震えてしまう。
すると、一旦強く抱きしめた後で、エーベルトが体を反転させてリディアーヌの上に乗り上げてきた。
「……はぁ。……いい?」
「で、でも……」
少し伏せられた濡れて光る瞳で見つめられて、背筋がぞくぞくしてしまう。
しかし今は朝だ。カーテンの隙間から、明るく透明な陽の光が差し込んでいる。
そんな時間に淫らなことをすることに抵抗を感じて戸惑うも、熱い吐息を吐き出したエーベルトが蜜口に自身のものを押し当ててきた。
「ごめん、痛かったら言って……」
「あっ……」
当てられると同時に、ぬぷりと先端が入り込む。
昨夜の残滓か、それとも今自分が溢したものかわからない体液で既に潤っていたそこに、抵抗もなくズブズブと熱い楔が沈み込んだ。
「ああぁあっ」
体内を押し広げられる感覚にぞわぞわとした疼きが伴い、リディアーヌの口から堪らず高い声が上がる。
根元まで埋め込まれて、ふるりと体が震えると同時に、中の襞が絡みつくように硬い杭を締め上げるのが分かった。
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