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第一章
12-1
しおりを挟む緑の褪せた庭園に静かに雨が降っている。その様子を執務室の窓から眺めて、エーベルトはため息を吐いた。
空には灰色の雲が重く垂れこめ、糸のような雨が枯れ色の芝生へと吸い込まれていく。今の自分の心境と同じ景色に、ますます気分が重くなるようだ。
レイノルドとアデーレの婚約発表の夜会から既に2週間、あれからエーベルトはリディアーヌと会えないままでいた。
夜会での出来事を思い出す度に、エーベルトは叫び出したいほどの羞恥に身悶えせずにはいられない。
あの夜、初めて見たリディアーヌの生まれたままの姿は息を飲むほど美しく、触れ合うだけで直ぐに達してしまいそうな程エーベルトは興奮していた。更に、蜜で潤ったリディアーヌのそこに自身のものを押し当てた時は、挿れずともそのまま出てしまうのではないかというくらい気持ちが良かった。
しかし、本来ならば挿入の前にリディアーヌの閉じられた蕾を十分に愛撫し、柔らかく綻ばせる必要があったのだが、本人があれ程指で触られることを嫌がっているのを無理強いするわけにもいかない。エーベルトとしても不本意ながら、準備が整っているとは言い難い状態でことに臨まなければならなかった。
幸い自分の拙い胸への愛撫で感じてくれたらしく、秘所は十分に潤っていた。
しかし肝心の入り口がどこなのかサッパリわからず、エーベルトは酷く焦ってしまった。ここかと思う所に自身のものを押し当てるも、滑ってしまって一向に入る気配はない。
しかも、ぬめぬめと蜜で滑って擦れる度に、背筋が痺れるような快感を伴い、否応なしにますます興奮が高まっていく。気を抜けばすぐにでも爆発しそうな状態で気持ちばかりが焦り、焦燥感にどうにかなってしまいそうだった。
そんな時、偶然探り当てた入り口にぬるりと先端が入り込み、瞬間、とんでもない快感がエーベルトを襲った。
まずい、と思った時には、リディアーヌが痛みで体をずらし、なかに入り込んでいたものが抜けていた。
そして抜けた時の刺激が決定打となり、なすすべもなくそれが暴発してしまったのだった。
思い出せば思い出すほど、自分の不甲斐なさに頭を掻き毟りたくなる。
あの時、互いに初めてなのだからしょうがないのだとリディアーヌに言われて、どれほど救われたかしれない。
とりあえず、後日仕切りなおして再チャレンジしようということになったのだが、しかし結局それは叶わなかった。
二人の間で起きたことが、リディアーヌの父であるニヴルヘイム侯爵の知るところとなったのだ。
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