さくらんぼの恋

碧 貴子

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第一章

9-3

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「……リディ。……もしかして、男女の行為については知らない……?」
「知ってるわよ!! ちゃんと習ったものっ!!」
「や、しかし……」
「女性の膣内に男性器を受け入れる行為のことでしょう!?」

 ハッキリとした言葉で言われて、エーベルトは思わず顔を赤らめた。
 未婚の女性の口から、膣だの男性器だの言われるとさすがに照れる。
 しかしリディアーヌは興奮しているため、まったく照れた様子もなく言葉を続けた。

「本来なら、結婚初夜に旦那様になった人の男性器受け入れて、純潔を散らさなくちゃいけなかったのよ!! それなのに!! よりにもよって、指なんかを入れるなんてっ!!」

 リディアーヌは、どうやら先程指を入れられたことで純潔を散らされてしまったと勘違いしているらしい。
 わかった途端、エーベルトはへなへなと体の力が抜けた。とりあえず、怖がらせてしまったわけではないようだ。

「リディ、とりあえず落ち着いて……」
「落ち着けるわけないでしょうっ!? ゆ、指なんかで純潔を散らされたのよっ!?」
「散ってないから! 大丈夫だから!」

 何とか落ち着かせて話をしようにも、勘違いして頭に血が上っているリディアーヌは一向に落ち着く気配はない。

「こんなことされるくらいだったら、普通に純潔を散らしておけばよかった!!」
「はっ!? 何を言って……!?」
「指なんかで私を弄んでっ!! 酷いわあああああっ!!」

 再び泣き出してしまったリディアーヌに、エーベルトはどうしたらいいかわからず、ほとほと困り果ててしまった。

「悪かった! 悪かったから!」
「ベルは私とは、普通にしたくないんだわああああっ!」
「そんなことないっ!! そんなことないからっ!!」

 なにやら話が明後日の方向に行っている気がしないでもないが、とにかく今はリディアーヌを落ち着かせることが先だ。
 必死になって宥めていると、疲れてきたのか、ようやくリディアーヌの泣き方がべそべそとしたものに変わってきた。
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