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第一章
8-4
しおりを挟む「さすがにこれ以上は良くないと思うの! なんていったって、私達はまだ結婚前なんですもの!」
「でもキスくらいならいいんじゃないか?」
「……それ以上はしないって約束できる?」
「……」
「ほら……」
無言で視線を逸らしたエーベルトに、リディアーヌはため息を吐いた。
そんなリディアーヌに、エーベルトが拗ねた様な顔になった。
「リディはしたくないのか?」
「……そういうわけじゃないけど」
「俺はしたい」
「……」
「ようやくわだかまりが解けて、リディと仲良くなれたんだ。もっと確認したい」
「……そりゃあ、私だって……」
リディアーヌだってしたくないわけじゃないのだ。ただ、今の自分達はキスだけでは止まる自信が無いから言っているのだ。
「わかった。じゃあ、キス以上はしないって約束する」
「本当に……?」
「ああ。……だから、こっちに」
おもむろにソファーから立ち上がったエーベルトが、リディアーヌの手を引いた。
そのまま大人しく手を引かれるリディアーヌを連れて部屋の隅まで行く。
ちょうど本棚の陰になる隅の壁までやってきて、エーベルトがリディアーヌを抱きしめてきた。
「これなら大丈夫だろ?」
「……?」
「立ったままだったら、間違いは起こりにくいだろう?」
言われてリディアーヌは納得した。
確かに立ったままならば、最後まで致してしまうことはないだろう。
エーベルトの意図を理解したリディアーヌは、ホッとして背中に腕を回して抱きしめ返した。
すぐに頭に手を添えられて互いの唇が重なる。あっという間に深くなった口付けに、リディアーヌは堪らず翻弄された。
互いの気持ちを確認し合った上で交わす口付けは、かつて経験したことがない程気持ちが良くて幸せな気持ちにしてくれる。痺れる程の甘い幸福感に溶けてしまいそうだ。
立っていられなくなったリディアーヌがエーベルトの胸に縋り付くように体を預けると、背中を壁に押し付けられて、更に互いの体を密着させられた。
ぴったりと合わさった体から、服越しにエーベルトの体温と体の感触が伝わってくる。その感触をうっとりと堪能していたリディアーヌは、そのうち自分の腹になにか非常に堅いものが押し付けられていることに気が付いた。
隠し持った短剣か何かだろうか。かくいうリディアーヌも、隠し刀を数本常に持ち歩いている。とはいっても、こんな目立つ場所には携帯してないが。
一度気になりだすと、どうしても気になってしまう。それに強く腹に押し付けられて、少し苦しい。
気になったリディアーヌは、少し体をずらしてそっと手でその硬い何かをどけようとした。
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