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第一章
8-1
しおりを挟むエーベルトと結婚すると決心してから、リディアーヌは憑き物が落ちたかのように気持ちが軽く明るくなっていた。
エーベルトに言われて初めて気付いたが、確かに子供の頃と違うからといって一緒に居られないわけではないのだ。これまで自分はいったい何をそんな頑なになっていたのか。きっと目から鱗が落ちるとはこういうことをいうのだろう。
何よりエーベルトがリディアーヌと一緒に居たいと言ってくれたことが、リディアーヌは舞い上がるほど嬉しかった。
それと同時に、馬車の中でのことを思い出して一人赤面してしまう。
あの時リディアーヌは、触られて嫌でないばかりかもっと触って欲しいとさえ思ってしまったのだ。
どうやら自分はいやらしい女だったらしい。きっとあれ以上のことをされても、自分は抵抗もせずに受け入れてしまうに違いない。これでは令嬢失格だろう。
さすがにリディアーヌも、結婚前に純潔を散らすつもりは毛頭ない。
これまではまさか自分が結婚前にそんな事態に陥るなんて毛筋ほども心配していなかったのに、このままでは気をつけなければなんとも破廉恥な結果になりかねない。
仮にも自分は公爵家の花嫁になるのだ。王族の結婚程ではないが、それに準じる身分である公爵家の花嫁が純潔でないなどあってはならない話だ。
リディアーヌは、これは気をつけねばと改めて自分を戒めていた。
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