A happy drive day!

シュレディンガーのうさぎ

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遊園地にて

〈7〉

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空が茜色に染まる頃に朝陽と磯部は車に戻ってきた。銀色の車は朝陽達より一足先に出ていったが、最後の最後まで朝陽に男のことを伝えるようリオンに念押ししていった。
「あの男は何かよからぬことを考えています。嫌な予感がする。あなたの運転手さんに話した方が良いでしょう」
リオンは頷いてお礼を述べた。銀色の車はさも心配そうにリオンを見ながら駐車場を出て行った。
朝陽と磯部は一日中遊んで疲れたようで、帰りの車内では二人とも終始無言だった。時折寝息が聞こえたかと思うと、磯部が体を背もたれにあずけて眠り込んでいるのが見えた。朝陽はカップホルダーからコーヒー缶を取り上げ、時々口に含んでいた。
辺りが薄暗くなってから磯部の家についた。家の前に降ろして軽く二言三言交わしたあと、朝陽は車を発車させた。
少し経ってからリオンを呼び出す。リオンが助手席に音もなく現われた。
「日がな一日、何をやっていたんだ?後ろの車とずっとお喋りか?」
朝陽の言葉にリオンは窓の外を眺めて「ええ」と頷く。
「へえ、大分盛り上がったみたいだな。本当にお前にしては珍しい」
『止まれ』と書かれた標識を見つけて朝陽がブレーキペダルを踏んだ。一時停止して他の車がいないか確認してから、ブレーキペダルから足を離しアクセルペダルに乗せ換える。その動作をリオンは目で追った。
「あれは一時停止の標識なのですね」
その場所を通り過ぎてからリオンが発した言葉に朝陽は頷いた。
「ああ。あの標識があったら、全ての車は停止線か標識手前で一時停止しなければならない。……まあ、お前は標識の意味なんていちいち覚えなくていいんだけどな」
朝陽がそう言って笑った。
「……そうですね」
朝陽の言葉に相づちを打ちながら、リオンはポケットにしまい込んだ小さな紙切れにそっと触れた。
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