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11.
しおりを挟む「情報が多すぎるわ…」
「無理もないわね。ゆっくり整理してかまわないわ」
「つまり、母は父に横恋慕したイライザに殺され、その事実はイライザを愛する国王によって揉み消された。」
「ええ。そしてその国王はイライザに貢ぐために国庫にまで手を出していた」
「…イライザは今でも国王と繋がっているのでしょう。話を聞いてたしかに彼女は1週間に一度王城に行ってましたわ」
「はぁ…嫁いでもなお自分の栄華のために実の兄に体を差し出すなんて…ゾッとするわ」
メルージュはリリーの話を聞いて混乱する頭を必死に整理した
自分だけが知らなかったことが多すぎて悔しい思いもあったが、こうして仲間が沢山いることにも安堵した
この憎しみは自分1人だけが抱えてるものではない、
そう思えただけでメルージュの心は軽くなった
「エマも父の血は一滴も流れてはいないのですね」
「そうよ。だから私は「異母妹」と揶揄ったの」
お茶会でリリーがエマに言った言葉の意味が理解できメルージュはすっきりした
「血が濃すぎると奇形児や精神に障害のあるものが生まれやすくなるというわ。エマは見た目は問題ないけどどうやら精神の方に異常をきたしたようね。」
「そう、ですね。彼女の普段の様子を見るとそう考えてしまいます」
空気を読めないことや、倫理観の欠如、血が濃すぎるが故に起きた弊害がエマという人間を作りあげたのかもしれない
エマもまた被害者なのだ
もっともメルージュは今までの仕打ちを思い出し同情するつもりはなかった
「エマのことはこの際どうでもいいのよ。問題はあなた」
「私ですか?」
「ええ。あなたには表立ってイライザを断罪する立場になってもらわないといけないわ」
リリーの話をまとめると、
まず私がイライザに対して裁判を起こす
内容は7年前の事故について
その裁判でまずはイライザの戦力を削ぎ落とす
そして国王に対する断罪は娘であるリリーが行うとのことだ
断罪ご飯リリーが新国王として即位する手筈となっているそうだ
メルージュは大役を任されることに一瞬怖気ついたが、母の仇をとれる唯一のチャンスを逃すわけにはいかないと自分を鼓舞し作戦の内容を確認した
ーーー
イライザはイライラしていた
王城にいた時は何でも叶っていた自分の言うことが叶わないことに苛立ちが止まらなかった
兄である国王に頼んでラランド夫人であったリンを殺害したことを有耶無耶にしてもらい、さらに長年願ったブラッドの妻という立場を奪い取った
これでブラッドから愛されると思っていたイライザの計算はここから崩れた
一向に自分のことを愛さないブラッドに対する怒り
憎いあの女にそっくりなメルージュ
自分の体にしか興味のない兄
全てに対してイライザはイライラしていた
「お兄様!!いつメルージュを殺してくれるのですか?!」
「私の可愛いイライザ!そんな怒らないでくれっ」
「言い訳は聞きたくありませんわ!いつ!殺すのですか?!」
「刺客は送っているんだ、だが、ガードが強すぎて無理なんだ」
「チッ」
イライザは美しく磨き上げられた髪を振り解き国王に詰め寄る
メルージュを殺せばあの女の面影を持つものはいなくなるからこれでブラッドの気持ちは自分に傾くはずだと彼女は確信していたのだ
「(この際、殺せなくてもブラッド様から離せられたら…!……!そうよ!この手があったわ)」
イライザは国王に近づき、国王の膝の上に乗った
「イライザ?」
「ねえ、お兄様。お兄様はイライザのお願い聞いてくださるのよね?」
「もちろんだ。そのかわり今日は泊まっていってもらうよ?」
「………わかりましたわ。では、私のお願い。必ず聞いてくださいね?」
ニヤリと笑ったイライザの顔は醜く歪んでいた
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