父が再婚しました

Ruhuna

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ブラッド・ラランドが愛する妻を亡くしたのは今から7年前だ



忘れもしないあの日。
この世の全てを呪ってでも亡くなった妻を取りかえしたかった





「奥様が…!!」



いつものように王城で仕事をしていたらラランド家の家令が焦って部屋まで入ってきた
家令から詳しい話を聞くと同時に顔は青ざめ、今すぐにでも帰る準備を始めた


「ラランド。まだ仕事は終わってないだろう?」
「陛下!妻が事故にあったのです!今すぐにでも帰らせていただきます」
「ならぬ!!貴様に与えられた仕事を終えるまでは帰ることは許さぬ!!」



これは王命だ!と叫ぶ国王をブラッドは憎々しい目つきで睨み返した
そしてここまでして引き止める理由も薄らと理解してしまった







屋敷に帰れたのはそれから5時間後だった
屋敷につきすぐ様、妻のもとへ向かったがそこには静かに眠る妻の姿
その横で泣いている娘だった



「馬車に轢かれ…即死でした」
「あぁぁぁぁ!!!リン!!リン!!」



そこからブラッドの世界は暗いくらい世界となった




その後王命で王妹であるイライザが嫁ぐことになったと聞いたときは国王を差し違えてでも殺してやろうかと考えるほどにブラッドは鬱々としていた


そんな時に声をかけてきたのが妻の義弟になるシェイド公爵だった



「義姉さんのことはお悔やみ申し上げます。…話は聞きました。義姉さんの死に王妹殿下が関わっていると」
「ええ。…リンが轢かれた馬車にはイライザ殿下、いや、イライザが乗っていました。その場にいた者たちはみな「馬車がわざとぶつかりにいっていた」と証言しています」
「やはり、か。イライザは随分と君にご執心だったからな…」
「私はキッパリとあの時に断ったはずだ!それなのにこんな形で…!!」



王妹殿下であるイライザがブラッド・ラランドに横恋慕しているという事実は社交界でも有名な話だった
妻のリンがいながらもブラッドにアプローチをしていたイライザは社交界の笑われ者ではあったがその立場から表立っては馬鹿にされていなかった



いつまで経っても振り向いてくれないブラッドにイライザは言った



「その女と別れて私と結婚してよ」



その言葉にブラッドははっきりNOを突きつけた




その数日後にあの事故が起こってしまった


ブラッドは悔やんでも悔やみきれなかった
自分がもっと別な言い方をしていれば妻のリンは死なずに済んではないのかと自問自答する日々だった
そしていつしかその思いはイライザに対する怒りへと成長した



「正直私はほっとしているよ。君がいつまでもぐずぐずしているのは見るに耐えなかった」
「妻を亡くしているんだ、それは仕方ないだろう」
「そうだな。それはすまない。だが、いつまでもダラダラしていると次はメルージュが危ない」


リンを葬ったイライザの次の標的はメルージュとなっていたのを薄々感じていた
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