6 / 13
6.
しおりを挟む「リリー様、今日はお時間があったのですね」
「異母弟のスワンが「ぜひ、みにいってください!」というものだから時間を作って見にきたのよ」
サスーン王国の長子であり卒業後すぐに立太女するリリーは歳の離れた異母弟を可愛がっていた
そんなリリーは公務が忙しく学生の身でありながら学園に通っている時間は少なかった
そんな彼女がわざわざこのためにやってきたという事実は主催者側の誉れになるだろう
主催がエマでなければと、メルージュは頭を抱えた
「メルージュの妹なのでしょう?」
「王女様。正確には義妹ですわ」
「ふふ。噂通りね。仲が悪いのは」
「お恥ずかしい限りです」
「構わないわ。私もスワンのお願いがなければ、こんな派手なお茶会にはこなかったわ」
メルージュは血の気の引く思いだった
第一王女リリー・サスーンは金髪青目の美しい容姿からは想像もできないほどのカリスマ性を持っていた
学生でありながら父王よりも政治に介入しその手腕は誰しもが認めていた
そんな彼女が「派手」と評するお茶会を開いたエマをメルージュは今すぐにでも退場させたくなった
先ほども述べたとおり紫は王族のみが使える色だ
それを一貴族、ましてや侯爵令嬢のエマが使っているのはすなわちその侯爵家に反逆の意思があると問われてもおかしくない状況だ
「王女様!これはですね!!」
「いいのよ、メルージュ。気にしないで。どうせエマが勝手にしたことでしょ?ちゃんと教師からの報告は来ております」
「ご理解、ありがとうございます」
さすがの教師陣もまずいと思ったのはエマが独断でやっていることをリリーに事前に伝えていた様子だ
「それに、この機会に女狐狩りをさせてもらうわ」
「??王女様?なにかおっしゃいました?」
「ふふ。気にしないで」
口元を扇で隠しリリーはにこりと笑った
ーーー
「本日は皆さまお集まりいただきありがとうございます!」
あれから幾分かして主催者であるエマが壇上にあがり声高らかに話し始めた
あそこまで声を張る必要もないのに…とメルージュはさらに頭を抱えた
そんなメルージュの心配も意に介さずエマはどんどん喋りだす
いかに自分がこの準備をするのに大変だったか
姉からの協力もなくこの場を作り上げた自分を褒め称えろ!
と、言わんばかりの演説にその場にいた令嬢達は呆れかえった
なかには笑うのを堪えてる令嬢もちらほらいたので面白見物のつもりで出席しているのだろう
「それではみなさん楽しんでください!!」
エマのその言葉を皮切りにお茶会が始まった
40
お気に入りに追加
570
あなたにおすすめの小説
愛していました。待っていました。でもさようなら。
彩柚月
ファンタジー
魔の森を挟んだ先の大きい街に出稼ぎに行った夫。待てども待てども帰らない夫を探しに妻は魔の森に脚を踏み入れた。
やっと辿り着いた先で見たあなたは、幸せそうでした。
強制力がなくなった世界に残されたものは
りりん
ファンタジー
一人の令嬢が処刑によってこの世を去った
令嬢を虐げていた者達、処刑に狂喜乱舞した者達、そして最愛の娘であったはずの令嬢を冷たく切り捨てた家族達
世界の強制力が解けたその瞬間、その世界はどうなるのか
その世界を狂わせたものは
嘘はあなたから教わりました
菜花
ファンタジー
公爵令嬢オリガは王太子ネストルの婚約者だった。だがノンナという令嬢が現れてから全てが変わった。平気で嘘をつかれ、約束を破られ、オリガは恋心を失った。カクヨム様でも公開中。
【完結】結婚式前~婚約者の王太子に「最愛の女が別にいるので、お前を愛することはない」と言われました~
黒塔真実
恋愛
挙式が迫るなか婚約者の王太子に「結婚しても俺の最愛の女は別にいる。お前を愛することはない」とはっきり言い切られた公爵令嬢アデル。しかしどんなに婚約者としてないがしろにされても女性としての誇りを傷つけられても彼女は平気だった。なぜなら大切な「心の拠り所」があるから……。しかし、王立学園の卒業ダンスパーティーの夜、アデルはかつてない、世にも酷い仕打ちを受けるのだった―― ※神視点。■なろうにも別タイトルで重複投稿←【ジャンル日間4位】。
何かと「ひどいわ」とうるさい伯爵令嬢は
だましだまし
ファンタジー
何でもかんでも「ひどいわ」とうるさい伯爵令嬢にその取り巻きの侯爵令息。
私、男爵令嬢ライラの従妹で親友の子爵令嬢ルフィナはそんな二人にしょうちゅう絡まれ楽しい学園生活は段々とつまらなくなっていった。
そのまま卒業と思いきや…?
「ひどいわ」ばっかり言ってるからよ(笑)
全10話+エピローグとなります。
辺境地で冷笑され蔑まれ続けた少女は、実は土地の守護者たる聖女でした。~彼女に冷遇を向けた街人たちは、彼女が追放された後破滅を辿る~
銀灰
ファンタジー
陸の孤島、辺境の地にて、人々から魔女と噂される、薄汚れた少女があった。
少女レイラに対する冷遇の様は酷く、街中などを歩けば陰口ばかりではなく、石を投げられることさえあった。理由無き冷遇である。
ボロ小屋に住み、いつも変らぬ質素な生活を営み続けるレイラだったが、ある日彼女は、住処であるそのボロ小屋までも、開発という名目の理不尽で奪われることになる。
陸の孤島――レイラがどこにも行けぬことを知っていた街人たちは彼女にただ冷笑を向けたが、レイラはその後、誰にも知られずその地を去ることになる。
その結果――?
幸せな人生を送りたいなんて贅沢は言いませんわ。ただゆっくりお昼寝くらいは自由にしたいわね
りりん
恋愛
皇帝陛下に婚約破棄された侯爵令嬢ユーリアは、その後形ばかりの側妃として召し上げられた。公務の出来ない皇妃の代わりに公務を行うだけの為に。
皇帝に愛される事もなく、話す事すらなく、寝る時間も削ってただ公務だけを熟す日々。
そしてユーリアは、たった一人執務室の中で儚くなった。
もし生まれ変われるなら、お昼寝くらいは自由に出来るものに生まれ変わりたい。そう願いながら
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる