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そんな日々が続きメルージュは17歳になった
母が亡くなってから7年
メルージュは立派な淑女となり黒い髪と瞳をもつ彼女は神秘的な美女へと変貌していた
「メルージュと姉妹だと思われるのが私の中の1番の侮辱だわ」
「私の可愛いエマ。あなたとメルージュは月と鼈よ。もちろん貴女が月。私に似て素敵に育ったわ」
「ありがとうお母様!」
16歳になったエマは幼い時の美少女のまま成長した
見た目は完璧なほどの美少女なのに口を開けば残念な子になってしまうのはあの時よりも拍車がかかっている
メルージュはエマと話すのが嫌だった
「どうしてお姉様は2年生なの?私よりバカなのに私より上の学年なんておかしいわよ!」
「貴女より私の方が1年先に生まれているからよ」
「生まれが早いだけで私より上の学年なんておかしいわ!!お姉様も1年生からやり直してよ!」
「無理に決まってるわよ」
と、この通りエマは常識というものがなかった
考えなくともわかることに不信感を抱き自分が納得するまで相手の都合など関係なく聞き倒す
メルージュはそれが嫌で嫌で仕方がなかった
エマが待つ屋敷に帰りたくなくで学園に遅くまで残って学習をしていたおかげで学年1位になれたのは思わぬ副産物だった
平穏な学園生活がエマの存在で壊れてしまうことをメルージュは覚悟した
ーーーー
「メルージュ。君の妹さんは、その、なんというか…相変わらずすごいな」
「クラウスいいのよ。そんな言葉を選ばなくても」
「一応君の妹、ってことになってるからなぁ」
「ほんっとにこの国は腐ってるわね」
エマの入学に少なからず覚悟していたメルージュだったが早速エマはその美少女ぶりにで一躍有名になった
だがその有名ぶりも1ヶ月を過ぎると陰りが出てきた
見た目だけは良いエマだが口を開けば空気の読めない発言ばかりに女友達は減りエマの周りに残っているのはエマの容姿だけを気に入ってる男かエマと同じくらい頭の緩い男たちばかりとなった
エマと一応姉妹になっているメルージュはため息を吐いた
その姿を苦笑しながら横に座っていてくれるのはメルージュが7歳の時に婚約したクラウス・ジョイス
ジョイス公爵家の次男だ
「なぜ、エマがお父様の実子として登録されているのかしら…!!」
「一応イライザ侯爵夫人は初婚という扱いだ。初婚の女性に16歳の娘がいるのはおかしいから…どうやらそこは王家が無理やり戸籍を変えたんだろうよ」
「父の再婚といい王家は何を考えているのかしら?!」
今でこそ社会の仕組みや物事の捉え方を学園で学んだおかげで10歳だったあの時よりも父の再婚がいかに不自然だったことを理解した
サスーン王国では配偶者が亡くなり未亡人となった場合の再婚は半年が経ってからが可能だ
それなのに父が再婚したのは、母が亡くなった1ヶ月後
しかも母の死因であるイライザは謝罪するどころか図々しくも後妻として侯爵家に居座っている
未婚でありながら子持ち、これも異質なことだ
そしてエマの存在は昔イライザと父ブラッドが実は愛し合っておりその時に出来てしまった子、という根も葉もない噂が真実となって承認されてしまったこと
メルージュはそれらを纏めながらクラウスに矢継ぎ早に話し始めた
「君がそんなに熱心に語るなんて珍しいね。」
「やだっ、そんなに熱かったかしら?」
恥ずかしいわ、と俯くメルージュの頬にクラウスは手を添えて上をむかせる
「熱心に話す君はとても素敵だよ。普段が静かな分すごく良いギャップだ」
「もう!またそんな冗談を言って!」
顔を真っ赤にして恥ずかしがるメルージュを微笑ましい顔で見つめるクラウス
この2人は学園内でも美男美女カップルとしてファンクラブができるほどの人気だった
そんなクラウスと会っているひと時はメルージュにとっても息抜きのできる唯一の時間だった
本音で話すことができ、自身のことを一番に理解してくれるクラウスのことをメルージュはとても愛していた
母が亡くなってから7年
メルージュは立派な淑女となり黒い髪と瞳をもつ彼女は神秘的な美女へと変貌していた
「メルージュと姉妹だと思われるのが私の中の1番の侮辱だわ」
「私の可愛いエマ。あなたとメルージュは月と鼈よ。もちろん貴女が月。私に似て素敵に育ったわ」
「ありがとうお母様!」
16歳になったエマは幼い時の美少女のまま成長した
見た目は完璧なほどの美少女なのに口を開けば残念な子になってしまうのはあの時よりも拍車がかかっている
メルージュはエマと話すのが嫌だった
「どうしてお姉様は2年生なの?私よりバカなのに私より上の学年なんておかしいわよ!」
「貴女より私の方が1年先に生まれているからよ」
「生まれが早いだけで私より上の学年なんておかしいわ!!お姉様も1年生からやり直してよ!」
「無理に決まってるわよ」
と、この通りエマは常識というものがなかった
考えなくともわかることに不信感を抱き自分が納得するまで相手の都合など関係なく聞き倒す
メルージュはそれが嫌で嫌で仕方がなかった
エマが待つ屋敷に帰りたくなくで学園に遅くまで残って学習をしていたおかげで学年1位になれたのは思わぬ副産物だった
平穏な学園生活がエマの存在で壊れてしまうことをメルージュは覚悟した
ーーーー
「メルージュ。君の妹さんは、その、なんというか…相変わらずすごいな」
「クラウスいいのよ。そんな言葉を選ばなくても」
「一応君の妹、ってことになってるからなぁ」
「ほんっとにこの国は腐ってるわね」
エマの入学に少なからず覚悟していたメルージュだったが早速エマはその美少女ぶりにで一躍有名になった
だがその有名ぶりも1ヶ月を過ぎると陰りが出てきた
見た目だけは良いエマだが口を開けば空気の読めない発言ばかりに女友達は減りエマの周りに残っているのはエマの容姿だけを気に入ってる男かエマと同じくらい頭の緩い男たちばかりとなった
エマと一応姉妹になっているメルージュはため息を吐いた
その姿を苦笑しながら横に座っていてくれるのはメルージュが7歳の時に婚約したクラウス・ジョイス
ジョイス公爵家の次男だ
「なぜ、エマがお父様の実子として登録されているのかしら…!!」
「一応イライザ侯爵夫人は初婚という扱いだ。初婚の女性に16歳の娘がいるのはおかしいから…どうやらそこは王家が無理やり戸籍を変えたんだろうよ」
「父の再婚といい王家は何を考えているのかしら?!」
今でこそ社会の仕組みや物事の捉え方を学園で学んだおかげで10歳だったあの時よりも父の再婚がいかに不自然だったことを理解した
サスーン王国では配偶者が亡くなり未亡人となった場合の再婚は半年が経ってからが可能だ
それなのに父が再婚したのは、母が亡くなった1ヶ月後
しかも母の死因であるイライザは謝罪するどころか図々しくも後妻として侯爵家に居座っている
未婚でありながら子持ち、これも異質なことだ
そしてエマの存在は昔イライザと父ブラッドが実は愛し合っておりその時に出来てしまった子、という根も葉もない噂が真実となって承認されてしまったこと
メルージュはそれらを纏めながらクラウスに矢継ぎ早に話し始めた
「君がそんなに熱心に語るなんて珍しいね。」
「やだっ、そんなに熱かったかしら?」
恥ずかしいわ、と俯くメルージュの頬にクラウスは手を添えて上をむかせる
「熱心に話す君はとても素敵だよ。普段が静かな分すごく良いギャップだ」
「もう!またそんな冗談を言って!」
顔を真っ赤にして恥ずかしがるメルージュを微笑ましい顔で見つめるクラウス
この2人は学園内でも美男美女カップルとしてファンクラブができるほどの人気だった
そんなクラウスと会っているひと時はメルージュにとっても息抜きのできる唯一の時間だった
本音で話すことができ、自身のことを一番に理解してくれるクラウスのことをメルージュはとても愛していた
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