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しおりを挟む「話したいことはそれだけですか?」
「は……?」
「お話ししたいことはそれだけですか?と申し上げたのです。あいにく、私たちは忙しいのでこんなところで話す暇はないのです」
背筋をスッと伸ばして胸を張る
ローズマリー様から「不安なことがあっても堂々と。舐められてはダメよ」という言葉を胸に真剣な視線をデルフィーナ様へ向ける
内心は心臓がバクバクと動いていた
「な、なによ…」
散々罵っていた相手が特に何も気にせず返答する姿に驚いたのかデルフィーナ様はまごまごとしている
「ねえ、私はいつ夜会にいけるの?」
緊迫した空気の中、呑気な声がその空気を霧散させた
デルフィーナ様の視線が私からアイシラ様に移ったその瞬間に私はラウラへと視線を向けた
私の視線を受けて、こくりと頷いたラウラはそっと部屋から退室した
応援を呼びに行ってもらったのだ
なんとか私は時間稼ぎをする必要が出来たのだ
「アイシラ様はまだ夜会には出席できませんよ」
「え、どうして?」
「アイシラ様は現在、王族籍も、貴族籍もありません。従って今のアイシラ様は夜会に出席する権利はありません」
こんな話をすると教育係だった頃のあの頃を思い出す
「え…おかしいわ!だってデルフィーナ様は出席できるって!」
「いいえ。できません」
「フィルナンド様のエスコートは?!」
「??ないですわ。それにエスコートは私がしていただきましたから」
「え…」
私の言葉に驚愕するアイシラ様を見て心の中でため息をつく
どうやら彼女は私の授業を抜け出してからもまともな教育は受けていなかったようだ
「そんな、嘘よ。デルフィーナ様、ねえ、嘘よね?なんで…エスコート、私が…」
ふらふらとデルフィーナ様に近づき、しがみつくアイシラ様に対してキッと強い視線を向けたデルフィーナ様がアイシラ様の手をバシリと叩いた
「いたっ」
「触らないで!!穢らわしい!!」
「穢らわしい…?」
キョトンとするアイシラ様に対してデルフィーナ様がタカが外れたように罵詈雑言を放ちはじめた
「穢らわしいって」
「使えない駒だわ!使えるだろうと思ってそばに置いていたのに全く使えないわ!王弟殿下の血を引くとはいえ半分は下賤な血が流れるお前がフィルナンド様の横に立てるわけないじゃない!!イライラするわ!お前の名前を使って雇った野蛮な奴らも使い物にならなかったじゃない!!」
壊れた機械のように言葉を垂らし続けるデルフィーナ様の姿にアイシラ様だけではなく私も呆然としてしまった
いつもお高くとまっていた彼女の姿に驚いてしまったからだった
「え、あ…何を言ってるの?だって私に協力するって」
「嘘に決まってるじゃない!誰がお前なんかに!私の踏み台程度のお前がフィルナンド様を渇望するなんて烏滸がましいのよ!」
バシッとデルフィーナ様が扇子でアイシラ様の頬を叩いた
床に倒れ込むアイシラ様は呆然としたあとにじわりじわりとその美しい顔を歪めていった
「私を、利用していたの…?」
「ええそうよ!悪い?」
「なんですってぇぇぇぇぇ!!」
床に倒れ込んでいたアイシラ様はその美しい顔からは想像もつかないほどの素早い動きで立ち上がり一気にデルフィーナ様に掴みかかった
(「ど、どうしましょう…」)
取っ組み合いを始めました2人を他所に私は呆然とその場に佇んでいた
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