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「わ、私がね、王妃様のところに、ヒック、ドレス持っていって、、話してたら、アイシラ様とデルフィーナ嬢がやってきてね、「それ可愛い!私がきたいわ!!」って…」


「えぇ…」


「もちろん、王妃様がこれはシャーロットのだからダメって言ったんだけど…」


「…もしかして暴れ回ったの?」

「そう…」


項垂れるラウラの背中にそっと手を当てて優しく撫でる
ドレスを握りしめて駄々をこねるアイシラ様の様子が脳内で再生された私はただただ苦笑いをするしかなかった


アイシラ様は自分の思い通りにいかないと癇癪を起こすタイプだった
その際で授業はまともに進まないし、最後の方は逃げ回ると言う暴挙にも出たことがあるほどだ


「大丈夫よ。気にしないでラウラ。私は自分でドレスは用意できるから」

「ダメよ!!だってあれは、あのドレスは…」


うわぁぁぁぁん!と淑女らしかぬ大きな声でさらに泣くラウラをなんとか宥めつつ、ソファに腰をかけた




ーーー




「落ち着いた?」

「えぇ。ごめんなさい見苦しいところを見せちゃって」

鼻をスンスンと鳴らすラウラの目元に溜まった涙をハンカチでそっと拭う
泣いて少しは落ち着いたのか目の奥に光が戻ってきたラウラにホッとした


「フィルナンド殿下にはドレスが取られたことは伝えたわ。元々あのドレスはフィルナンド殿下のポケットマネーで作ってたものだから」

「フィル、いえ、殿下はなんて?」

「すごく怒ってたわ。イケメンが怒ると怖いのよね~。アイシラ様とデルフィーナ嬢に抗議文だしたみたい。ドレス代も国王にも直談判して陛下のポケットマネーから出させたみたいよ」


陛下がアイシラ様に優しすぎるのが良くないのよ!!と怒り出すラウラにまあまあと声をかける

「陛下は最近おかしいのよ?!アイシラ様が何をしても怒らないし、しまいにはアイシラ様が「デルフィーナ様と一緒にいたいです~」とか言うからデルフィーナ嬢が王室に住み出してるし!!」


「それは、異例中の異例ね…」

我が国では未婚の女性が自宅以外での外泊をすることはあまり良いものとはされていない
百歩譲って婚約者の屋敷などはまだ良いが、婚約者もいない女性が婚約者のいない男性がいる場所に入り浸ると言うことは、と捉えられてもおかしくないのだ


(「だから、デルフィーナ様がフィル様と婚約するかもしれないって噂が流れたのね」)


現在は王族で未婚なのはフィル様だけ
いくらフィル様とデルフィーナ様が会っていなくても同じ屋根の下で生活していることは誤解されても仕方がないと言えるだろう


ましてや、彼女はフィル様を狙っていたはずだ


「フィル様、大丈夫かしら…」


フィル様のことが心配になります無意識に言葉がぽろりと漏れた


「フィル様?!ちょっと、いつからフィル様だなんて呼ぶようになったの?!」


まさかまさか、きゃー!!、と頬を桃色に染めてラウラが興奮した様子でソファから立ち上がった


「は、恥ずかしいんだけど…実はね…」



私は1ヶ月前のあの日のことをラウラにぽつりぽつりと話し始めた
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