28 / 48
27
しおりを挟む「あいたたた、、」
「大丈夫ですかお嬢様」
「ええ。サリーは大丈夫?」
「はい!王都って賑やかなんですね!」
生まれて初めて王都に来たというサリーは所狭しと建てられた建物をキョロキョロと興味深そうにみながら、興奮が隠しきれていなかった
我が家は現在復興途中であるために座り心地の良い馬車は一つだけしかない
その馬車は主にお父様が使っているため、私が乗っていたのは臨時で購入した乗り心地がとても微妙な馬車だった
(「でもおかげで安全な旅路だったわ」)
臨時ではあるものの、それなりの作りがされた馬車のおかげで盗賊に襲われることなく王都まで来れたのは上々だ
「わぁ…ルフェリ侯爵邸ってすごいんですねえ」
「そうね、今をときめくルフェリ侯爵家ですもの」
私たち2人はラウラが住まうルフェリ侯爵までやってきた
手紙は出発する前に出していたのできっと大丈夫だろう
「すみません。シャーロット・ロックフェラーです。」
「ロックフェラー様?どうされたのですか?」
「え、今日伺うと手紙を出していたのですが…」
「はぁ…そういったことは奥様から言われたませんが…とりあえず奥様に取り次いでみます。」
門番に立っていた使用人に声をかけると、私が来たことに驚いた様子をみせた
この使用人は私のことを知っていたので、なんとかスムーズに屋敷に入ることができた
ーー
「シャーロット!!」
「ラウラ!ごめんなさい、手紙が届いてなかったのね」
応接室に通された私たちはソファに座りラウラの訪れを全く
しばらくしてドタバタと淑女らしかぬ足音でラウラが勢いよく部屋に入ってきた
「私、あなたが伯爵令嬢に戻ったことも領地に戻ったことも最近知ったのよ!!」
「ごめんなさい。私も突然だったから…でも、私、ラウラに手紙書いてたのよ?届いてない?」
「え…いや、一枚も届いてないけど」
「えっ」
2人で首を傾げる
10年前ならまだしも現在では郵便技術も向上し、上に貴族宛ともなればほぼ100%の確率で手紙は届くようになっている
それが一枚も届いてないということに2人で怪しい、と感じた
「ロックフェラー領と王都の間にあるのは、マリーツ伯爵家…ブルック公爵家の腰巾着じゃない!!」
絶対そこで手紙がとめられていたのよ!!と激昂するラウラを宥めた
「それがもし、本当だとしてももうどうしようもないわ…こうして会えたからよかったわ」
「そう、ね…でもなんかむしゃくしゃする!!夫に伝えておくわ!」
鼻息荒く話すラウラに苦笑しつつ、立ちっぱなしだったためにソファに腰掛けるように促した
「3週間前に、ドレスが仮縫いまで出来上がったから王妃様にとどけにいったの。その時、シャーロットにも会えるからと思って手紙は出してなかったの」
「3週間前…もう王宮にはいなかったわね」
そうなのよ、それに…と、先ほどまでの威勢をどこにやら急にしおらしくなって、落ち込み出したラウラにどうしたの?と問いかけた
「ごめんなさいシャーロット!!あなたのドレス…アイシラ様に取られちゃったのぉぉぉぉぉ」
うわーん!!と涙をポロポロと流しながらラウラが抱きついてきた
ラウラが泣いたことも、ドレスが取られたことも、いきなりのことに私は驚くことしかできなかった
10
お気に入りに追加
174
あなたにおすすめの小説
離縁してくださいと言ったら、大騒ぎになったのですが?
ネコ
恋愛
子爵令嬢レイラは北の領主グレアムと政略結婚をするも、彼が愛しているのは幼い頃から世話してきた従姉妹らしい。夫婦生活らしい交流すらなく、仕事と家事を押し付けられるばかり。ある日、従姉妹とグレアムの微妙な関係を目撃し、全てを諦める。
愛しき冷血宰相へ別れの挨拶を
川上桃園
恋愛
「どうかもう私のことはお忘れください。閣下の幸せを、遠くから見守っております」
とある国で、宰相閣下が結婚するという新聞記事が出た。
これを見た地方官吏のコーデリアは突如、王都へ旅立った。亡き兄の友人であり、年上の想い人でもある「彼」に別れを告げるために。
だが目当ての宰相邸では使用人に追い返されて途方に暮れる。そこに出くわしたのは、彼と結婚するという噂の美しき令嬢の姿だった――。
これは、冷血宰相と呼ばれた彼の結婚を巡る、恋のから騒ぎ。最後はハッピーエンドで終わるめでたしめでたしのお話です。
完結まで執筆済み、毎日更新
もう少しだけお付き合いください
第22回書き出し祭り参加作品
2025.1.26 女性向けホトラン1位ありがとうございます
兄にいらないと言われたので勝手に幸せになります
毒島醜女
恋愛
モラハラ兄に追い出された先で待っていたのは、甘く幸せな生活でした。
侯爵令嬢ライラ・コーデルは、実家が平民出の聖女ミミを養子に迎えてから実の兄デイヴィッドから冷遇されていた。
家でも学園でも、デビュタントでも、兄はいつもミミを最優先する。
友人である王太子たちと一緒にミミを持ち上げてはライラを貶めている始末だ。
「ミミみたいな可愛い妹が欲しかった」
挙句の果てには兄が婚約を破棄した辺境伯家の元へ代わりに嫁がされることになった。
ベミリオン辺境伯の一家はそんなライラを温かく迎えてくれた。
「あなたの笑顔は、どんな宝石や星よりも綺麗に輝いています!」
兄の元婚約者の弟、ヒューゴは不器用ながらも優しい愛情をライラに与え、甘いお菓子で癒してくれた。
ライラは次第に笑顔を取り戻し、ベミリオン家で幸せになっていく。
王都で聖女が起こした騒動も知らずに……
本日より他人として生きさせていただきます
ネコ
恋愛
伯爵令嬢のアルマは、愛のない婚約者レオナードに尽くし続けてきた。しかし、彼の隣にはいつも「運命の相手」を自称する美女の姿が。家族も周囲もレオナードの一方的なわがままを容認するばかり。ある夜会で二人の逢瀬を目撃したアルマは、今さら怒る気力も失せてしまう。「それなら私は他人として過ごしましょう」そう告げて婚約破棄に踏み切る。だが、彼女が去った瞬間からレオナードの人生には不穏なほつれが生じ始めるのだった。
離れた途端に「戻ってこい」と言われても困ります
ネコ
恋愛
田舎貴族の令嬢エミリーは名門伯爵家に嫁ぎ、必死に家を切り盛りしてきた。だが夫は領外の華やかな令嬢に夢中で「お前は暗くて重荷だ」と追い出し同然に離縁。辛さに耐えかね故郷へ帰ると、なぜかしばらくしてから「助けてくれ」「戻ってくれ」と必死の嘆願が届く。すみませんが、そちらの都合に付き合うつもりはもうありません。
願いの代償
らがまふぃん
恋愛
誰も彼もが軽視する。婚約者に家族までも。
公爵家に生まれ、王太子の婚約者となっても、誰からも認められることのないメルナーゼ・カーマイン。
唐突に思う。
どうして頑張っているのか。
どうして生きていたいのか。
もう、いいのではないだろうか。
メルナーゼが生を諦めたとき、世界の運命が決まった。
*ご都合主義です。わかりづらいなどありましたらすみません。笑って読んでくださいませ。本編15話で完結です。番外編を数話、気まぐれに投稿します。よろしくお願いいたします。
雪解けの白い結婚 〜触れることもないし触れないでほしい……からの純愛!?〜
川奈あさ
恋愛
セレンは前世で夫と友人から酷い裏切りを受けたレスられ・不倫サレ妻だった。
前世の深い傷は、転生先の心にも残ったまま。
恋人も友人も一人もいないけれど、大好きな魔法具の開発をしながらそれなりに楽しい仕事人生を送っていたセレンは、祖父のために結婚相手を探すことになる。
だけど凍り付いた表情は、舞踏会で恐れられるだけで……。
そんな時に出会った壁の花仲間かつ高嶺の花でもあるレインに契約結婚を持ちかけられる。
「私は貴女に触れることもないし、私にも触れないでほしい」
レインの条件はひとつ、触らないこと、触ることを求めないこと。
実はレインは女性に触れられると、身体にひどいアレルギー症状が出てしまうのだった。
女性アレルギーのスノープリンス侯爵 × 誰かを愛することが怖いブリザード令嬢。
過去に深い傷を抱えて、人を愛することが怖い。
二人がゆっくり夫婦になっていくお話です。
森に捨てられた令嬢、本当の幸せを見つけました。
玖保ひかる
恋愛
[完結]
北の大国ナバランドの貴族、ヴァンダーウォール伯爵家の令嬢アリステルは、継母に冷遇され一人別棟で生活していた。
ある日、継母から仲直りをしたいとお茶会に誘われ、勧められたお茶を口にしたところ意識を失ってしまう。
アリステルが目を覚ましたのは、魔の森と人々が恐れる深い森の中。
森に捨てられてしまったのだ。
南の隣国を目指して歩き出したアリステル。腕利きの冒険者レオンと出会い、新天地での新しい人生を始めるのだが…。
苦難を乗り越えて、愛する人と本当の幸せを見つける物語。
※小説家になろうで公開した作品を改編した物です。
※完結しました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる