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25 王妃

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「王妃様。本当によろしいのですか?」


「ん~なにかしら?」


「シャーロット嬢のことです。フィルナンド殿下にご挨拶申し上げた方が良かったのでは…」


「いいのいいの!あの子達お互い好きなくせにぜんっぜん、先に進まないからこのぐらいのスパイスは大事よ!」


成人して図体がでかくなり見た目は可愛げがなくなった三男のフィルナンドは小さい頃からシャーロットが好きなくせに全然行動に起こさないのが焦ったく感じていた


シャーロット・ロックフェラー
私が彼女を知ったのは、王立学園初の主席卒業を果たした女性がいると王宮で話題になったのがきっかけだった


女性の地位が昔に比べたら向上してきた昨今ではあるが、やはりまだ女性は家庭にはいるもの。勉学はほどほどに。という風習は強かった


そんな中で伯爵令嬢でありながらも数多の男性を退けての主席卒業
しかもその中には私の愛する長男もおり、帝王学を収めている彼より優れている女性にぜひ会って見たいと思っていた


だがその願いも虚しく、彼女の家が知らぬ間に没落
彼女に会うことは叶わなかった



そして突如降ってきた機会が5年前
懇意にしているルフェリ侯爵夫人からシャーロットの名前が出たときは驚いたが、好奇心が勝り、彼女を最近荒れている三男の教育係に抜擢した



「彼女は最高だったわ。フィルナンドを立派に育て上げてくれたわ。…だからこそ幸せになって欲しいの。シャーロットったら自分は女としての価値はないっていうのよ?」


「それは…シャーロット嬢はお気づきないですが、かなり人気がありましたのに」


侍女長の言葉にうんうんと頷く
25歳と女として成熟していた彼女はとても美しかった
華やかな美しさではなく内に秘めた美しさ
それが彼女の魅力だった


「さすがにブルジョワ階級のままだったらフィルナンドと結婚は無理だけど、伯爵令嬢なら十分婿入りしても問題ないわ」


「フィルナンド殿下は頑張っておられましたね」


「あの子ってあんなに頑張れる子だったのね~必死に働いてたって陛下が褒めてたわ」


成長した息子の行動にニコニコと笑みが溢れる


「ちょっとしたお膳立てよ。「愛するシャーロットが突然目の前からいなくなった!俺の気持ちを伝えないと彼女が他の男に取られてしまう!!』シナリオはこうよ!」


「はぁ…そんなうまくいきますかね…」


「いくわよ!いつまでもそばにいると思ったら大間違い作戦よ!」


我ながらいい作戦ができたと、思った


領地に戻る前にシャーロットを引き取ります。とロックフェラー伯爵から手紙が来て、これだ!と思い作戦を考えた

急かす形になって申し訳ないがシャーロットとフィルナンドには物理的に距離を取ってもらうことでお互いの気持ちを高めさせるのが私の作戦だった



「さあ、フィルナンドにシャーロットが帰ったことを伝えにいきましょう」


るんるん、と足取り軽くフィルナンドの部屋へ向かう

きっと今頃ロックフェラー伯爵とシャーロットは陛下に挨拶をして馬車に乗る頃だろう

ロックフェラー領は王宮から馬車で3日かかる程遠い



(「3日もあれば十分よね♪♪」)



この時私は知らなかった
二人が昨夜、想いを通わせていた上に、ロックフェラー伯爵がシャーロットの結婚相手を決め始めているということに


…余計なことをしていたということに

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