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22 フィルナンド
しおりを挟む「………結婚してほしい」
一世一代の俺のプロポーズは酷く弱々しい声で伝えるのが精一杯だった
断られたらどうしよう、逃げられたらどうしよう、
そんな不安が一気に押し寄せて、自信がなくなった俺は絞り出すようにな声で結婚してほしい、となんとか告げた
「えっ…」
突然のプロポーズに固まるシャリーはみるみるうちに顔が真っ赤に染まった
兄上が茹でタコと形容していたのがしっくりするぐらい真っ赤になっていた
「嫌か?」
「いやじゃ、ない。ですけど…なぜ、私なのですか」
恐る恐る顔を上げて上目遣いになるシャリーを可愛い、と思いながらシャリーの質問に答えた
「5年前に出会って半年ぐらいで好きになった」
「ご、5年前…?!!」
「誰も俺に見向きもしなかったのに、シャリーだけがそばにいてくれた」
根気よく、俺に授業を受けさせようしてる姿が可愛かった。といえば、さらに顔を真っ赤にして口をハクハクとさせていた
「17歳の時に父たちにシャリーと結婚したいって伝えた。…条件は朝話した裁判の内容を再調査する事だった」
「ここ1年間、夜間にお出かけされていた理由はそれだったのですか…?」
「そう。公爵が関わっている事だから慎重に、兄上と一緒に調査していたんだ」
そのあとは朝話した通りだ、と伝えたらなるほど…とシャリーが納得した
「それで、返事は?」
「あっ…その、私は殿下より年上「気にしてない」あ、はい。」
「他には?」
「ブルジョワ階級で「伯爵令嬢に戻るから問題なし」あ、そうですね」
「他には?」
「………わかりません」
自信がなさそに視線をキョロキョロと彷徨わせるシャリーの頬に手を添えてグイッと俺の方を向かせる
「殿下!」
「フィルって呼んで」
「え、いや、」
「フィル」
「……フィル様離してください」
フィル様…まあ今はそれで許してあげよう
殿下呼びから愛称で呼んでくれるだけでも天にも昇る気持ちだった
そして俺はシャリーに肝心なことを投げかけた
「世間的な問題はない。あとはシャリーの気持ちだ。俺のことは嫌い?」
「嫌いではありません!!」
「じゃあ好き?」
これ前にも聞いた事があったな
モジモジとしながらシャリーがぽつりと呟いた
「フィル様をそういう対象として見てきたわけではなかったので、その、突然言われて驚いてます…」
すみません、と謝る彼女に罪悪感が芽生えた
ここまで悩ませるつもりはなかったからだ
「でも、最近自分がわからないんです、フィル様の、大きな手で触れられたら心がざわつくし、他の女性といるところを見ると胸が痛くなったり」
「シャリーそれは…」
ドクリと自分の心臓が大きく跳ねたのがわかった
目元を潤ませてシャリーがバッと顔を上げた
「これが、好きって感情なのでしょうか…?」
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