あなたより年上ですが、愛してくれますか?

Ruhuna

文字の大きさ
上 下
22 / 48

22

しおりを挟む



「そんな理由で我が家は没落させられたのですか…」



私は自分の中で沸々と怒りが込み上げてくるのを感じた
フィルナンド殿下が話した内容を要約するとこうだ


・デビュタントで15歳の私を見染めたブルック公爵はどうにかして私を愛人にしたかった
・未婚の乙女をいきなり愛人にするには世間体が悪いので愛人になっても問題がない階級にして仕舞えばいい
・そうだ、借金を作らせて没落させれば平民落ちだから愛人にしても問題はない!!




以上のことからブルック公爵は公爵というビッグネームを使ってロックフェラー伯爵と取引のある全ての場所に圧力をかけた


そしてドタバタとしている伯爵家に借金を返せ!と詰め寄り、国王が隣国に行ってる間に裁判を起こし、まともな判決も下さずに伯爵家をお取り潰しにもって言った



ということだった


「ブルジョワ階級になったシャリーを愛人として迎えようと思ったがシャリーたちが上手く隠れていたおかげでブルック公爵はシャリーを探せなかったみたいだ」


ざまぁねえな、と悪い笑みを浮かべるフィルナンド殿下に苦笑する
上手く隠れていた私だったが5年前に第3王子の教育係として王宮に上がるようになってブルック公爵に見つかってしまい、度重なるセクハラをされていた、ということらしい


9年の時を経て、フィルナンド殿下を主体とする何名かの貴族たちで再調査を行ったら矛盾する点が多く、証拠を集めることができた為に、晴れてロックフェラー伯爵家は冤罪をかけられたことが判明した


「つまり、私は…貴族に戻るってことですか」


「そうなるな。シャリーの父親、ロックフェラー伯爵にも昨日の時点で話は通して、夫人と共にロックフェラー領の屋敷に向かっている頃だろう」


その言葉を聞いて私はグッと感極まる感情が溢れた


「シャ、シャリー?!」


「すみません……両親の苦労を見てきてので……よかった、本当によかった…」


ポロポロと頬を涙が伝う
貴族として生きてきた両親が没落してブルジョワ階級とはいえ、慣れない仕事をしていた事が脳裏に走馬灯のように流れた

きっと二人とも喜んでいるだろう


私も早く二人に会わなきゃ



「……教育係はどうなるのですか」


私は涙を拭い、フィルナンド殿下に視線を向けた


「……」


「退職、ですね」


言いにくそうに口籠もるフィルナンド殿下の代わりに私が答える
退職、という言葉を聞いてフィルナンド殿下がぎゅっと私の手を掴んだ


「やめて欲しくない…」


「……でんか…」


私からは何も言えず床に視線が落ちた
フィルナンド殿下に辞めて欲しくないと言われて、嬉しい反面、そうもいかないという事が分かっていたからだ



ーー



「シャリーこっちにきてくれ」

「はい」


仕事をしましょう。と項垂れる彼に声をかけてどんよりとした雰囲気でフィルナンド殿下は政務を行った
いつものように整理をして、いつものようにコーヒーを入れる


あと何回これができるのだろうか、と考えて目元がうるっと霞む回数が多かった


日が落ちて月がゆっくりと上がり出した時間帯に仕事がひと段落したフィルナンド殿下から呼ばれてテラスに出てきた


朝よりも疲れ切った顔をしているはずなのにどこか色気が漂うフィルナンド殿下にどきりと胸が動いた



「殿下、なんですか」

「………」


テラスにやってきてから一言も話さなくなった彼に首を傾げる
私にグッと近づき逃げないで、というように手をギュッと掴まれた


「話してくれないとわかりませんよ」


普段であれば、許可なく女性に触ってはいけません!と声を荒げるが、なんだか今はそんな事は気にならなかった



いつもは自身に溢れた瞳がゆらゆらと不安そうに揺れている
ん?と私が視線を合わせれば、不安は捨てきれていないが、ぐっと覚悟を決めたように口を開いた




は、シャリーが好きだ。女性として愛している。




       ……結婚してほしい」
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

前世の記憶しかない元侯爵令嬢は、訳あり大公殿下のお気に入り。(注:期間限定)

miy
恋愛
(※長編なため、少しネタバレを含みます) ある日目覚めたら、そこは見たことも聞いたこともない…異国でした。 ここは、どうやら転生後の人生。 私は大貴族の令嬢レティシア17歳…らしいのですが…全く記憶にございません。 有り難いことに言葉は理解できるし、読み書きも問題なし。 でも、見知らぬ世界で貴族生活?いやいや…私は平凡な日本人のようですよ?…無理です。 “前世の記憶”として目覚めた私は、現世の“レティシアの身体”で…静かな庶民生活を始める。 そんな私の前に、一人の貴族男性が現れた。 ちょっと?訳ありな彼が、私を…自分の『唯一の女性』であると誤解してしまったことから、庶民生活が一変してしまう。 高い身分の彼に関わってしまった私は、元いた国を飛び出して魔法の国で暮らすことになるのです。 大公殿下、大魔術師、聖女や神獣…等など…いろんな人との出会いを経て『レティシア』が自分らしく生きていく。 という、少々…長いお話です。 鈍感なレティシアが、大公殿下からの熱い眼差しに気付くのはいつなのでしょうか…? ※安定のご都合主義、独自の世界観です。お許し下さい。 ※ストーリーの進度は遅めかと思われます。 ※現在、不定期にて公開中です。よろしくお願い致します。 公開予定日を最新話に記載しておりますが、長期休載の場合はこちらでもお知らせをさせて頂きます。 ※ド素人の書いた3作目です。まだまだ優しい目で見て頂けると嬉しいです。よろしくお願いします。 ※初公開から2年が過ぎました。少しでも良い作品に、読みやすく…と、時間があれば順次手直し(改稿)をしていく予定でおります。(現在、142話辺りまで手直し作業中) ※章の区切りを変更致しました。(11/21更新)

【完結】幼な妻は年上夫を落としたい ~妹のように溺愛されても足りないの~

綾雅(ヤンデレ攻略対象、電子書籍化)
恋愛
この人が私の夫……政略結婚だけど、一目惚れです! 12歳にして、戦争回避のために隣国の王弟に嫁ぐことになった末っ子姫アンジェル。15歳も年上の夫に会うなり、一目惚れした。彼のすべてが大好きなのに、私は年の離れた妹のように甘やかされるばかり。溺愛もいいけれど、妻として愛してほしいわ。  両片思いの擦れ違い夫婦が、本物の愛に届くまで。ハッピーエンド確定です♪  ハッピーエンド確定 【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ 2024/07/06……完結 2024/06/29……本編完結 2024/04/02……エブリスタ、トレンド恋愛 76位 2024/04/02……アルファポリス、女性向けHOT 77位 2024/04/01……連載開始

【完結】あなたに抱きしめられたくてー。

彩華(あやはな)
恋愛
細い指が私の首を絞めた。泣く母の顔に、私は自分が生まれてきたことを後悔したー。 そして、母の言われるままに言われ孤児院にお世話になることになる。 やがて学園にいくことになるが、王子殿下にからまれるようになり・・・。 大きな秘密を抱えた私は、彼から逃げるのだった。 同時に母の事実も知ることになってゆく・・・。    *ヤバめの男あり。ヒーローの出現は遅め。  もやもや(いつもながら・・・)、ポロポロありになると思います。初めから重めです。

【完結】「君を手に入れるためなら、何でもするよ?」――冷徹公爵の執着愛から逃げられません」

21時完結
恋愛
「君との婚約はなかったことにしよう」 そう言い放ったのは、幼い頃から婚約者だった第一王子アレクシス。 理由は簡単――新たな愛を見つけたから。 (まあ、よくある話よね) 私は王子の愛を信じていたわけでもないし、泣き喚くつもりもない。 むしろ、自由になれてラッキー! これで平穏な人生を―― そう思っていたのに。 「お前が王子との婚約を解消したと聞いた時、心が震えたよ」 「これで、ようやく君を手に入れられる」 王都一の冷徹貴族と恐れられる公爵・レオンハルトが、なぜか私に異常な執着を見せ始めた。 それどころか、王子が私に未練がましく接しようとすると―― 「君を奪う者は、例外なく排除する」 と、不穏な笑みを浮かべながら告げてきて――!? (ちょっと待って、これって普通の求愛じゃない!) 冷酷無慈悲と噂される公爵様は、どうやら私のためなら何でもするらしい。 ……って、私の周りから次々と邪魔者が消えていくのは気のせいですか!? 自由を手に入れるはずが、今度は公爵様の異常な愛から逃げられなくなってしまいました――。

【完結】愛を知らない伯爵令嬢は執着激重王太子の愛を一身に受ける。

扇 レンナ
恋愛
スパダリ系執着王太子×愛を知らない純情令嬢――婚約破棄から始まる、極上の恋 伯爵令嬢テレジアは小さな頃から両親に《次期公爵閣下の婚約者》という価値しか見出してもらえなかった。 それでもその利用価値に縋っていたテレジアだが、努力も虚しく婚約破棄を突きつけられる。 途方に暮れるテレジアを助けたのは、留学中だったはずの王太子ラインヴァルト。彼は何故かテレジアに「好きだ」と告げて、熱烈に愛してくれる。 その真意が、テレジアにはわからなくて……。 *hotランキング 最高68位ありがとうございます♡ ▼掲載先→ベリーズカフェ、エブリスタ、アルファポリス

【完結】わたしが嫌いな幼馴染の執着から逃げたい。

たろ
恋愛
今まで何とかぶち壊してきた婚約話。 だけど今回は無理だった。 突然の婚約。 え?なんで?嫌だよ。 幼馴染のリヴィ・アルゼン。 ずっとずっと友達だと思ってたのに魔法が使えなくて嫌われてしまった。意地悪ばかりされて嫌われているから避けていたのに、それなのになんで婚約しなきゃいけないの? 好き過ぎてリヴィはミルヒーナに意地悪したり冷たくしたり。おかげでミルヒーナはリヴィが苦手になりとにかく逃げてしまう。 なのに気がつけば結婚させられて…… 意地悪なのか優しいのかわからないリヴィ。 戸惑いながらも少しずつリヴィと幸せな結婚生活を送ろうと頑張り始めたミルヒーナ。 なのにマルシアというリヴィの元恋人が現れて…… 「離縁したい」と思い始めリヴィから逃げようと頑張るミルヒーナ。 リヴィは、ミルヒーナを逃したくないのでなんとか関係を修復しようとするのだけど…… ◆ 短編予定でしたがやはり長編になってしまいそうです。 申し訳ありません。

【完結】無表情な婚約者様と当て馬として忙しい私の婚約について

かほなみり
恋愛
世の中、溺愛が流行っている。ダフネは無表情な婚約者に不満はないが、周囲のような愛を囁き合う恋人たちにほんの少し憧れる貴族令嬢。そんなある日、婚約者のルーカスが見たことのない優しい表情でご令嬢と話しているのを見かけ、自分は二人の邪魔者になっているのではないかと、婚約解消を考えるようになる。そんな中、舞踏会で出会った訳アリの侯爵子息と友人になったダフネは、ままならない恋に悩む友人のために当て馬として頑張ろうと決意するが……。 お互いが相手を想うあまり少しずつすれ違っていた二人の、ハッピーエンドの物語。 ゆるふわで可愛いお話を目指したものです。 ☆他サイトでも公開しています。

《完結》恋に落ちる瞬間〜私が婚約を解消するまで〜

本見りん
恋愛
───恋に落ちる瞬間を、見てしまった。 アルペンハイム公爵令嬢ツツェーリアは、目の前で婚約者であるアルベルト王子が恋に落ちた事に気付いてしまった。 ツツェーリアがそれに気付いたのは、彼女自身も人に言えない恋をしていたから─── 「殿下。婚約解消いたしましょう!」 アルベルトにそう告げ動き出した2人だったが、王太子とその婚約者という立場ではそれは容易な事ではなくて……。 『平凡令嬢の婚活事情』の、公爵令嬢ツツェーリアのお話です。 途中、前作ヒロインのミランダも登場します。 『完結保証』『ハッピーエンド』です!

処理中です...