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しおりを挟む「それじゃあ行こうか」
「ええ、アスター」
今日は私の成婚式だ
ロベリアと和解したあの日から私は人生で一番楽しい時間を過ごすことができた
もちろん裸足で草の上を走り回ったり、大きな声で笑ったりなど、母からは苦言を呈されたが珍しく私には関わってこなかった父が仲介に入って成婚式まで残り期限付きではあるがロベリアとショッピングをしたりなど初めてだらけの経験ができた
エルムに関しては1日に何度も私とロベリアのところにやってきたがその都度面会を断り完全にシャットアウトさせてもらった
いくら私とロベリアの和解の立役者とはいえ、ロベリアからの願いを婚前交渉を縦にしたのは私の中では厳重に抗議させてもらった
苦笑いをするロベリアとバツが悪そうな顔をするエルムをみてクスリと笑ってしまったのは私だけの秘密だ
「ロベリア嬢と仲直りができてよかったね」
「ええ。おかげさまで楽しい時間が過ごせたわ」
王太子妃に相応しい伝統的なウェディングドレスと長い長いベールを被り大聖堂の回廊を王太子であるアスターとゆっくり歩く
ニコニコとしている私を優しい笑顔で見つめるアスターは私とロベリアの確執を昔から心配してくれていた1人だ
「今までの君も素敵だったけど…今はもっと素敵になったね。」
「ふふっありがとう。私も昔の私より今の私の方が好きだわ」
あの2人には感謝だわ。と呟き真っ直ぐと前を見つめる
アスターが先に入場して私は後から父と入場する手筈になっている
母とロベリア、エルムは先に親族席に座っている頃だろう
「「それじゃあ、また後で」」
アスターの腕から目の前にいる父の手に自分の手を添える
にこりとと笑ったエスターが豪奢な扉の前にたちファンファーレと共に大聖堂の中に入っていく
(「ドキドキするわ」)
隣にいる父は緊張しているのか口を真一文字に結び前をずっと見つめている
私自身も緊張しているからか、父に習い前を見据えた
「………ありがとう。アマリリス」
「お父様…」
視線は前に向けたまま父がぽつりと呟く
ハッと父の方を見るとその目元はうるうるしていた
入婿で、母の影に隠れてひっそりと暮らしていた父
ロベリアを連れてきた時は少し軽蔑してしまった過去もあったが、それも今や懐かしい思い出だ
「幸せに、なりますわ」
聞こえるか聞こえないかほどの声で呟く
添えていた父の手がぎゅっと私の手を握りかえしてくる
心がほかほかと暖かく入場する前から涙が出てしまいそうになるが、化粧が崩れてはいけないと顔を引き締める
先程アスターが通った扉の前に立ち再度鳴り出したファンファーレを合図に私と父は一歩を歩き出した
ーーー
「ご成婚おめでとうございます。」
「妃殿下!ありがとうございます」
成婚式が終わり今は王城内にあるホールで披露宴の最中だ
主役としてアスターと一段高く積まれた椅子の上に座り、祝辞の言葉を述べる貴族達に礼を伝える
披露宴の中頃でエクルストン大公夫妻が挨拶にやってきた
「ロベリア様との和解できてよかったですわ」
「その節は大変ご迷惑をおかけして申し訳ございません…こちらが私の妹のロベリアです」
「アイリス妃殿下にお目にかかります。ロベリア・フロックスでございます。姉がいつもお世話になっております」
「はじめましてロベリア様。アイリス・エクルストンですわ。これから仲良くしていただければ嬉しいですわ」
社交会で1番の人気を誇る妃殿下に仲良くして欲しい、といわれロベリアは顔を紅潮させ喜びの笑みを浮かべる
妃殿下と仲良くなったことでロベリアを私生児だと侮る人はいなくなるだろう
その事実にホッとして私は握手をしている2人を微笑ましく見つめた
ーーー
私の成婚式が終わったその3ヶ月後にエルムとロベリアの結婚式が行われた
ロータス侯爵家で華やかに行われた結婚式に私はロベリアのブライズメイド として出席した
王太子妃にブライズメイド をさせるなんて!とロベリアは焦っていたが私がしたいの!と押し切り今日を迎えている
幸せそうに笑うとロベリアと満更でもなさそうなエルムの姿を見て自然と笑みが浮かぶ
「色々とあったけれど終わりよければ全てよし、ね」
fin.
ご愛読ありがとうございます。
なんだかまとまりも悪く、最後も無理くり終わらせてしまった感があり、私にとっても少し不完全燃焼な作品になってしまった気がします。
次回は納得がいく作品を書けるように頑張っていきたいと思います。
Ruhuna
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