ハプスブルク家の姉妹

Ruhuna

文字の大きさ
上 下
11 / 13
最期

3.

しおりを挟む



私の死刑の日はどんよりとした曇天の日だった
今にも雨が降りそうな空を私は見つめていた



「さっさと歩け!!」
「いたっ」


死刑執行人が私を死刑台まで連れて行く
これから起こることを考えたら誰だって足取りが重くなるのは仕方ないだろう


死刑台の周りは物見見物の人々で覆われている
野次を飛ばすもの、ヒソヒソと話し合うもの
沢山の批難的な視線が私を射抜く
だがその視線すらも気にせず私は歩いた


死刑台の上にあがり真正面を見ると10m程度離れた位置にエルナンドとソルティナが座っていた
無表情なエルナンドとそわそわしているソルティナはこの場に似つかわしくないほどの豪勢な服を纏っていた
その後ろには国王と王妃も鎮座していた

私はちらりと王妃の方を見る
王妃は扇子で顔を隠していたがその目は私をしっかりと捉えていた





「これより、罪人ルフィーナ・レイナ・イ・ハプスブルクの死刑執行を行う!」


エルナンドの宣誓に会場にいた人々が雄叫びをあげる
その声に酔いしれたのかエルナンドは自身にあふれた顔をしていた





私はゆっくりと斬首台に首を押し付けられた



「最後に、罪人は何かあるか」


エルナンドが私に問いかけた
私は緩慢に頭を持ち上げエルナンドではなくソルティナを見つめた



そして一言



「いいでしょうソルティナ。今みーんなが私を見てるのよ?」



私の言葉にソルティナの目が開かれる




「死の間際まで妹を虐めるなどやはりお前は性根が腐ってたのだな!!……死刑を執行せよ!!」




エルナンドの言葉で死刑人がオノを振り上げーーーー




「お姉さま!!ーーーーっ、ーーーーー!!!」







「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」






誰かが走り掛けてくる音が聞こえた後にごとんと何かが転がり落ちる音がした




しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

ええ。私もあなたの事が嫌いです。 それではさようなら。

月華
ファンタジー
皆さんはじめまして。月華です。はじめてなので至らない点もありますが良い点も悪い点も教えてくだされば光栄です。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 「エレンベール・オーラリー!貴様との婚約を破棄する!」…皆さんこんにちは。オーラリー公爵令嬢のエレンベールです。今日は王立学園の卒業パーティーなのですが、ここロンド王国の第二王子のラスク王子殿下が見たこともない女の人をエスコートしてパーティー会場に来られたらこんな事になりました。

婚約破棄された私と、仲の良い友人達のお茶会

もふっとしたクリームパン
ファンタジー
国名や主人公たちの名前も決まってないふわっとした世界観です。書きたいとこだけ書きました。一応、ざまぁものですが、厳しいざまぁではないです。誰も不幸にはなりませんのであしからず。本編は女主人公視点です。*前編+中編+後編の三話と、メモ書き+おまけ、で完結。*カクヨム様にも投稿してます。

完)まあ!これが噂の婚約破棄ですのね!

オリハルコン陸
ファンタジー
王子が公衆の面前で婚約破棄をしました。しかし、その場に居合わせた他国の皇女に主導権を奪われてしまいました。 さあ、どうなる?

【短編】国王陛下は王子のフリを見て我がフリを反省した

宇水涼麻
ファンタジー
国王は、悪い噂のある息子たちを謁見の間に呼び出した。そして、目の前で繰り広げられているバカップルぶりに、自分の過去を思い出していた。 国王は自分の過去を反省しながら、息子たちへ対応していく。 N番煎じの婚約破棄希望話です。

婚約破棄していただきます

章槻雅希
ファンタジー
貴族たちの通う王立学院の模擬夜会(授業の一環)で第二王子ザームエルは婚約破棄を宣言する。それを婚約者であるトルデリーゼは嬉々として受け入れた。10年に及ぶ一族の計画が実を結んだのだ。 『小説家になろう』・『アルファポリス』に重複投稿、自サイトにも掲載。

思わず呆れる婚約破棄

志位斗 茂家波
ファンタジー
ある国のとある夜会、その場にて、その国の王子が婚約破棄を言い渡した。 だがしかし、その内容がずさんというか、あまりにもひどいというか……呆れるしかない。 余りにもひどい内容に、思わず誰もが呆れてしまうのであった。 ……ネタバレのような気がする。しかし、良い紹介分が思いつかなかった。 よくあるざまぁ系婚約破棄物ですが、第3者視点よりお送りいたします。

愛想の無い姉と婚約破棄して可憐な妹と婚約したいとのことですがあなたみたいなアンポンタン姉妹揃ってお断りです

ハツカ
ファンタジー
姉との婚約を破棄して、妹と婚約したいですって? 私達は姉妹揃って、あなたのこと嫌いなんだけど?

処理中です...