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病弱な妹
1.
しおりを挟むわたし、ソルティナ・カランサ・イ・ハプスブルクは生まれつき体が弱かった
そのせいか外に出ることは叶わずいつもベッドから窓を眺めて外を見ることしかできなかった
(お姉さまだわ)
わたしが6歳の頃、いつものように窓から外を眺めていたらお姉さまの姿があった
お姉さまはわたしと違って健康な体で外に出ることも難しいことではなかった
わたしはいつだってそんなお姉さまが羨ましかった
わたしにはできないことができるお姉さまを見ていたら、いつしか、お姉さまが持っているものを貰えばわたしもお姉さまのように健康になれると思うようになっていった
「お姉さま。その髪飾り可愛い。欲しいわ」
お姉さまが可愛い髪飾りをつけていた
銀細工で中央にエメラルドが嵌め込まれた髪飾りはわたしの瞳と同じ色でお姉さまには勿体無いと思った
「……これは殿下から頂いたものなの。今度の夜会が終わったらあげるわ」
「いや。今、欲しいの」
いつもお姉さまはわたしが欲しいといったら一度は渋る様子を見せていた
でもわたしは知っている
お姉さまは渋るふりをしているだけで結局はわたしにくれることに変わりはない
「仕方ないわね…。殿下にはソルティナから言ってくれる?」
「もちろんよ。ありがとうお姉さま!」
ほら、いつもと変わりなくお姉さまはわたしが欲しいものをくれるんだから
お姉さまからもらった髪飾りをつけて部屋に戻る
鏡でそれをみてわたしはふと思った
「……全然可愛くない」
なんで?お姉さまがつけてた時は可愛かったのに
どうしてわたしがつけると可愛くなくなるの?
広い部屋の片隅に髪飾りを投げつける
それは二度とその髪飾りをつける気がないというソルティナなりの行動だった
髪飾りを投げつけた後ソルティナは机の引き出しから刃物を取り出した
「いたぁい」
ソルティナはいつもルフィーナから奪ったものが気に入らなくなったらその分だけ自分の右足に傷をつけていた
彼女自身も分からなかったがこうする事で心が軽くなっていたのだ
そうして着々と右足の傷は増えていった
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