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前編
しおりを挟むエステルおねえさまが亡くなった
まだ18歳と言う若さで
ーー
「お前がついていながらなぜこのようなことになったのだ!」
「私のせいにするのですか?!貴方もエステルは可愛くないと仰っていたではありませんか!」
エステルおねえさまの葬儀を前に父と母の口論は止まらない
「どうして…どうして死んでしまったのエステルおねえさま…」
棺に納められたおねえさまの遺体の前で私は涙が止まらなかった
あぁ、こんなにも美しいおねえさまが死んでしまうなんて悪い夢を見ているようだ
血の気の引いた白い肌を優しく触りながらおねえさまもの思い出に浸った
ーー
私が初めておねえさまに会ったのは私が9歳でおねえさまが10歳の時
街でお母様と暮らしていたある日、名前も顔も知らなかったお父様が私とお母様を迎えにきてくれた
「さあ、ルルーシュ。今日から君はこの屋敷で暮らすんだよ。この子はエステル、一応君の姉だ」
仲良く暮らすんだよ、とどこか歪んだ笑顔で笑うお父様に紹介されたエステルおねえさまは、それはそれは光り輝くお姫様だった
腰まで流れるシルバーの髪に、宝石のように煌めくアメジスト色の瞳
「よろしくね」
そう呟いたおねえさま
人形のように美しく可愛らしいおねえさまに一瞬にして私は虜になった
それからの私はいかにおねえさまのようになれるかを必死に考えた
立居振る舞い、言葉の使い方だっておねえさまとは雲泥の差だ
それにおねえさまにはとてもカッコいい婚約者がいた
名前はリッシュ様
この国の王子様だと言う彼はおねえさまと並ぶと一対の人形のように素敵な人だった
おねえさまは本当にすごい
難しいことも難なくこなすし、私の失敗をいつもフォローしてくれる
私たちは仲の良い姉妹だった
血のつながりは半分しかないかもしれないけど、私はおねえさまが自慢の姉だった
「ねえ、おねえさま。そのネックレス可愛い」
「これはリッシュ様に頂いたものよ」
「じゃあ私もリッシュ様に同じものを貰えるようにお願いしてみるわ」
「えっ」
おねえさまもリッシュ様もとっても優しい
私の小さなお願いをいつも叶えてくれる
おねえさまはいつだって
「仕方ないわね」
と、笑いながら許してくれる
だから私はいつもおねえさまに甘えてしまう
「そのドレス可愛い。私も同じものが欲しいわ」
「おねえさまみたいに綺麗なシルバー色にそめてみたの。どう?」
「リッシュ様とお出かけするの?私も連れて行って!3人で楽しみましょう!」
優しい優しいおねえさま
どうして死んでしまったの?
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