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最終章 我が祖国よ永遠に……

第12話 アクアリディア神殿の戦いー1ー

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   アクアリディア神殿 下層階

 神殿に潜入した戦闘部隊はクリストファーを筆頭に進む。下層階にある大広間へ入ると突如、青白い光が戦闘部隊に襲いかかる。

「させるかッ!!」
クリストファーは剣を振り翳すと剣は炎を纏う。炎を纏った剣で光を斬り捨てていく。

『あついッ!!』
『ムリーっ!』
『にげないと』
小さな水の精霊達は初めて見る火の力に恐れ正面にある階段から上層階へ逃げて行く。

「光の後を追うぞッ!!」
クリストファーは精霊達を追いかけようとするが隠れていたゾーン兵士の邪魔が入る。

カキンッ!
カキンッ!
ハイベルク騎士団のロバート達が皇帝を庇うように敵の剣を受け止めた。
「陛下ッ!!
 この場、ハイベルクにお任せを!!
 先にお進み下さいッ!!」

ロバート率いる団員達もクリストファー達が進みやすいように兵士を抑えて行く。クリストファーは「頼んだぞ」と頷き、「先に進めーーッ」と戦闘部隊を引き連れ神殿上層へ進む。


カキンッ!!
カキンッ!!
激しい斬り合いに必死に耐えるロバート達。

カキンッ!!
「クソッ!馬鹿力共め!クッッ!」
体格の大きなゾーン兵士の一撃を必死に受けるロバート。

ギリッギリッ!!

 刃が重なり合い、相手の力に押されてしまうと感じた瞬間、誰かが背中を支えてくれた。

 ——リーラ…

温かな何かに包み込まれると疲れた身体は癒され、力が込み上げてくる。

「俺はやれる!ワァァーッッ!!」

 兵士に立ち向かうロバートの覇気を感じた騎士達は後を追うように兵士達を斬りつけていった。


   アクアリディア神殿 中層階

  神殿に中層階に進んだクリストファー達に次なる敵が待ち受ける。

 パシャン…
 パシャン…
水が滴る音がすると乾いていた床に水が現れ、床の水はまるで生きているように色々な形へと変えている。

「陛下、この層は我らが引き受けまする。さぁ、先に参られよ」
第4番隊隊長ラモントは広間から見える階段を指差し、先に進むように促す。

「ラモント、術師を倒すまで耐えろッ」
ハルクは教え子でもあるラモントの肩を掴み切なる思い込める。
「あぁ、任せて下さい」
ラモントはハルクに頷くと第4番隊員達は敵に向かい合う。

 クリストファー達は最上層に繋ぐ階段を上がると第4番隊の騎士達の足元まで水が広がる。水は騎士達の姿を真似、人の形に変化している。


「無理でしょ…」
明らかに人ではない相手とどうやって戦うんだよとラモントの配下のピーターは溜息を吐く。

人の形をした水は化け物はラモント達を襲い掛かる。

「斬れーッ!!」
ラモントの叫びにピーター達はひたすら水の化け物達を斬り続ける。

「ハァ、ハァ、ハァ、いつまで続くの……
 死にたくないよ……」
水に飲み込まれ倒れた仲間の姿をピーターは涙目で眺める。

『ピーター、頑張って…』
懐かしき友の声が聞こえた瞬間に疲れが癒される感覚がする。

 ——リーラ……

ピーターは振り返るが誰もいない…

 ——リーラが僕を応援してくれてるんだ…

「君も隊長となって頑張ってるんだ。僕も頑張るよ!ワァーッッ!!」

バシッッ!
バシッッ!

何かしらの力を得て、気力が復活した騎士達は水の化け物に立ち向かう。

シュッ!
水の化け物を斬る前に横から矢が飛び、化け物が刺され、飛び散る。
バシッンッ!

「待たせたな、ノーザンランドの者達よ!」と鎧姿の兵士がラモント達の援護に入る。

「貴方様は……
 ナターシャ国カルロス王…」
ラモントは驚いたようにカルロス王を見た。



 ナターシャの兵士達は水分を吸い取る特殊な布を矢につけ放つ。身動きが取れない化け物達は布の中を右往左往しているようだ。

「我々も水の化け物との戦いを研究したのです」
ピーターの横に立ち援護するナターシャの兵士が説明をする。

「すごいです」
ピーターは兵士に顔を綻ばせて喜んだ。

「皇帝は何処だ?」
ピーターの横に並んだカルロス王は辺りを見渡しながらクリストファーは居場所を尋ねた。

「上層階へ進まれました」
ピーターは階段を指差すと、
「さすが早いな、私も助太刀に行くぞ」
カルロス王は共の者を連れ、上層階へと進んだのだ。



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