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第12章 残酷な定められた天命

第7話 初代王のラクラインの記憶ー4ー

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 俺は南の村に戻ると、村人達の助けを借り、東の村人達のために慰霊碑を建てたのだ。
 戦いの話を聞きつけた周辺の村々は俺を英雄と讃えた。俺は村同士が連携をとり、一つに纏まり協力することで東の村のように孤立した状態を防ぎ、リディアムのような悪しき者を見つけ易くする為に村々の賛同を得て国を造り上げ、俺は王となったのだ。

 俺は村々を行き来しやすいように街道を整備させ、国の都に相応しいように城を造り上げた。そして、都となった南の村は以前に比べ栄えだのだ。



◇◇◇


 俺の力、精霊達のおかげで国民達の生活も向上し、俺の治世は栄華を極めた。そして、立派に成長し成人した息子達に国を頼むと俺はヴァリオンがかつて住んでいた北の泉に隠居することにした。

 一人、静かな生活を送っていると泉に懐かしい友人が戻ってきた。

「ヴァリオンじゃないか…」

 俺は久しぶりに再会できた喜びで無我夢中で今まであったことを必死になって話した。

「すまない、すべてをおまえに任せてしまい」
ヴァリオンも守る者ができ、その場を離れることが出来なかったようだ。俺は気にするなと笑うと俺は1番の悩みをヴァリオンに打ち明けた。

「歳を取らないんだ…俺だけ時間が止まっているんだ…生きているのが辛いんだ…どうしたらいいんだ…すまない、おまえはずっと一人で悩んできたんだよな。こんな俺を許してくれ」

 俺が隠居した理由……
 妻は自分だけ年老いていく姿に苦悩し、小さかった我が子は私と同じ位の大人へと成長すると周りはなぜ王は歳を取らないのか不思議がり、俺は居づらくなっていたのだ。

「いや、私こそすまなかった、おまえがそれほど苦悩するとは思わなかったのだ…」
ヴァリオンは俺の肩の手に置くと
「一つ方法がある…」
と俺の苦しみを解放する方法を教えてくれた。

 俺たち神の子孫には神力と呼ばれる人とは違う未知なる力が身体に巡っている。特に俺は神力に優れていた為、ヴァリオンの力を融合することができたのだ。この身体に巡る神力を解放させ、願いを達成することが出来るそうだ。つまり、俺の身体を使い、神力を解放させるのだ。俺の身体はこの世からなくなる、つまり死を迎えることができるのだ。人並みに人生を送り、この世を去るのが人として妥当な生き方だと俺は感じている。
 
 神力を解放する為の願い…
 この世界は広い、俺の弟のような奴が再び現れるかもしれない。いや、現れるようなら気がした。その為にも子孫に力を残すことを願いにしようと決断した。

 俺は久しぶりに国へ戻り、妻と子供達に会いに行った。妻と子は俺が居なくなったことに酷く心配し、戻ってきたことに大層喜んでくれた。
 俺は歳を取ることが出来ない理由を話し、人並みに人生を終える為に力を子孫に分散させ伝承させたいと子供達に伝えると
「父さんの苦しみを理解せず、すまなかった」
と涙を流し力を受け取ることを了承してくれた。

「息子達よ。世界はこの国だけではなく広いのだ、あの山を越えた先にも世界は広がっている。いつの日か山を越えた国からの敵襲があるかもしれない。いつの日か起こりうる危機に備えるのだ」

「わかりました。そうだ、いままで国に名がなかったのですがどうしましょう。ラクライン国にしましょうか?」

俺はじっと考え込むと一人の友人の顔が浮かんだ。

「いや、我が名ではなく、この地の守護精霊であるヴァリオンと再生の意のある’’リ’’を付けて’’リヴァリオン国’’と名付けてくれ」

「わかりました。良い国名ですね」

 そして、家族に別れを告げ、俺は湖へと向かった。

 俺は湖に向かい両手を広げ、空を見上げだ。
「さぁ、我が身体に巡る力よ、悪しき手よりこの地を守る為に我が力を一族に伝承させてくれ」


『おまえの望み、叶えてやろう…力を解放するのだ…』 
空から誰かの声が聞こえたような気がした。

 
 湖の底から何かの紋章のような光が放たれ、その光は俺に向かって俺の力を掴み上げ空に引き上げようとしている。

「グアッ!!」
身体が凄まじい痛みに襲われ、一気に力が空に上がる感覚を感じながら俺は目を閉じた。

 そして、空中に集まった光が国中に飛び散って行く。

 キラキラ光る輝きがラクラインの息子達に降り注ぐ。
「なんだ!これは温かい…父上なのですね」
ラクラインの子達は父から力を受け継いだと肌身で感じる。



 そして、湖畔にはラクラインの姿は跡形もなくなっていた。

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