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第12章 残酷な定められた天命
第4話 初代王のラクラインの記憶ー1ー
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(リーラ→ラクライン目線でお送りします)
ようやく仕事を片付け、皇宮にある自室に戻ると身の回りを世話する侍女ミーラがすぐに湯あみの準備をしていてくれた。
「さぁ、どうぞ、汗を流して下さいませ」
「ミーラさん、いつもありがとうございます」
汗を流し、いつものように髪を梳かしてもらうとミーラはあっという声を上げた。
「どうかしましたか?」
「いえ、首筋に何ヵ所が跡が残っていますわ。陛下ですわね…」
ミーラの一言に昼の一部始終を思い出し身体が熱くなってしまう。
「一応、目立たないように軟膏を塗りますわ。明日は少し髪の結い方を考えねばなりませんわ」
「うっ…よろしくお願いします」
「では、おやすみなさいませ」
「おやすみなさい」
立ち上がり、向かいの棟のクリストファーの居室を見ると明かりがまだ付いていた。
「きっと、まだお仕事してるんだわ…」
昼間のことを思い出し、幸せな気持ちに浸りながらベッドへ倒れこむ。
「今日も見るのかな…夢…クリスが傍にいてくれたら怖くて夢を見なくて済むかな…」
うとうとと眠気が襲い、リーラは知らぬ間に眠っていた。
◇◇◇
懐かしい景色が見える。
澄んだ美しくキラキラ輝く湖、周りに万年雪が頂に被っている山々…
あぁ、この地はリヴァリオン国…
でも、城も街も何もない。
きっと遥か昔の姿なんだわ…
湖に美しい銀髪を風に靡かせて男が立っている。
私はその男に近づいているようだ…
「おい!ヴァリオン!また、会ったな!」
「また、おまえか…ラクライン」
「おまえ、本当に暇そうだな」
「暇ではない。私にはおまえ達を守る義務があるのだ」
「精霊という生き物は大変な義務を持っているんだな…神に託されてるだっけ?」
「おまえ達の祖先の神だ…」
「今は天に暮らしてるんだよな」
俺は人差し指を空に差し示した。
「まぁ、釣りでもしようぜ」
俺は強引に釣竿をヴァリオンに渡すと強引に岸に座らせ黙ったまま、釣りを始めた。
『精霊王様、ラクライン!私達が魚をとってあげようか?』
羽をつけた生き物達が釣りを邪魔してくる。
「馬鹿やろう!釣りというのは自分で獲ってこそ楽しんだ!ヴァリオンを見てみろ、力に頼ってばかりで一匹も獲れていない」
『本当だー!精霊王様下手ですね~』
精霊の一言でヴァリオンの眉がピクリと動いた。普段から無表情だが、俺は知っている。相当悔しがっている、あいつはすぐに湖を向き釣りに集中し始めたのだ。
何時間経ち、ようやくヴァリオンの釣り竿に魚が喰らい付いた。
パシャ!
「獲れた…獲れたぞ、ラクライン」
あいつは口元緩ませ、始めて笑った。
「やったじゃないか!」
俺はあいつの肩を引き寄せ共に喜び分かちあった。
俺が小さい頃に湖のほとりで初めてヴァリオンに会った。あいつはいつも決まって時間に湖に現れ、暇そうに山々を見つめているから話し相手になってやったんだ。
俺が楽しいと感じることをヴァリオンに教え、ヴァリオンは精霊についてやこの村がどうして出来たのかを教えてくれた。
神様がこの地に降りたった時に1人の少女に恋をして二人は結ばれたそうだ。そして、二人の間にはヴァリーと言う名の女の子とリオンと言う名の男の子が生まれたそうだ。やがて愛した女性は亡くなり、この地に未練がなくなった神様は自分の世界に帰ることにしたのだ。
二人の子供を心配した神様は、この地を守るため、大きな湖、山々を創り上げ、村を囲んだそうだ。この地を守る精霊も創り上げ、ヴァリーとリオンを守るように言ったそうだ、その精霊がヴァリオンなのだ。ヴァリオンの名は神様から与えられたそうだ。
ヴァリオンは北の山にある泉に住みながらこの地を、俺たち子孫を守ってきたそうだ。
俺たちの村にはヴァリオンが創り出した、たくさんの羽のついた生き物が飛んでいて、俺たちを助け、守ってくれている。
火が必要なら火を出し、水が必要なら水を出す、湖周辺にはたくさんの村々が点在し、村同士が争えば助けてくれ、精霊達に守られている俺たちの村は最強の村だと知られているのだ。
俺はこの最強の村で最も力も強く、剣の腕もあり、最強だと自負している。だから、いつまで義務に縛り付けられている俺の友人をこの地から解放してやりたいと思っていた。
「ヴァリオン…俺はいつまでおまえの力に頼ってはいけないと感じている」
「私が不用だということか…」
ヴァリオンは無表情だか少し悲しんでいるようだ。
「違う!俺一人の力で村を守れると思う。だからおまえも義務で縛られんじゃなくて自由に生きろよ!やりたいことはないのか?」
「やりたいこと…」
ヴァリオンはじっと考え込むと口を開いた。
「我が力はこの広い大陸から得ている、山を越えた地がどんな場所か見てみたい」
「じゃあ、行けよ!見てこいよ!おまえ飛べるだろ!」
俺はニカっと笑いヴァリオンの背中を押した。
「しかし、この地に我が力も置かねばならないと神が仰っている…ラクラインよ、我が力を受け取り、この地を守ってみるか?」
「えっ?いいのか?おまえの凄い力を受け取って??」
「あぁ、しかし、お前の身体に異変が起こるかもしれない」
「あぁ、構わないさ!」
そして、俺はヴァリオンに力を授かった。金色だった髪は銀色に変わり、瞳はヴァリオンと同じ紺碧色にへと変わったのだ。
村人は新たな力を得た俺を最強の戦士と讃え、俺は誇らしかった。
しかし、後先考えずに力を授かったことが俺を苦しめる原因になることも知らずに…
ようやく仕事を片付け、皇宮にある自室に戻ると身の回りを世話する侍女ミーラがすぐに湯あみの準備をしていてくれた。
「さぁ、どうぞ、汗を流して下さいませ」
「ミーラさん、いつもありがとうございます」
汗を流し、いつものように髪を梳かしてもらうとミーラはあっという声を上げた。
「どうかしましたか?」
「いえ、首筋に何ヵ所が跡が残っていますわ。陛下ですわね…」
ミーラの一言に昼の一部始終を思い出し身体が熱くなってしまう。
「一応、目立たないように軟膏を塗りますわ。明日は少し髪の結い方を考えねばなりませんわ」
「うっ…よろしくお願いします」
「では、おやすみなさいませ」
「おやすみなさい」
立ち上がり、向かいの棟のクリストファーの居室を見ると明かりがまだ付いていた。
「きっと、まだお仕事してるんだわ…」
昼間のことを思い出し、幸せな気持ちに浸りながらベッドへ倒れこむ。
「今日も見るのかな…夢…クリスが傍にいてくれたら怖くて夢を見なくて済むかな…」
うとうとと眠気が襲い、リーラは知らぬ間に眠っていた。
◇◇◇
懐かしい景色が見える。
澄んだ美しくキラキラ輝く湖、周りに万年雪が頂に被っている山々…
あぁ、この地はリヴァリオン国…
でも、城も街も何もない。
きっと遥か昔の姿なんだわ…
湖に美しい銀髪を風に靡かせて男が立っている。
私はその男に近づいているようだ…
「おい!ヴァリオン!また、会ったな!」
「また、おまえか…ラクライン」
「おまえ、本当に暇そうだな」
「暇ではない。私にはおまえ達を守る義務があるのだ」
「精霊という生き物は大変な義務を持っているんだな…神に託されてるだっけ?」
「おまえ達の祖先の神だ…」
「今は天に暮らしてるんだよな」
俺は人差し指を空に差し示した。
「まぁ、釣りでもしようぜ」
俺は強引に釣竿をヴァリオンに渡すと強引に岸に座らせ黙ったまま、釣りを始めた。
『精霊王様、ラクライン!私達が魚をとってあげようか?』
羽をつけた生き物達が釣りを邪魔してくる。
「馬鹿やろう!釣りというのは自分で獲ってこそ楽しんだ!ヴァリオンを見てみろ、力に頼ってばかりで一匹も獲れていない」
『本当だー!精霊王様下手ですね~』
精霊の一言でヴァリオンの眉がピクリと動いた。普段から無表情だが、俺は知っている。相当悔しがっている、あいつはすぐに湖を向き釣りに集中し始めたのだ。
何時間経ち、ようやくヴァリオンの釣り竿に魚が喰らい付いた。
パシャ!
「獲れた…獲れたぞ、ラクライン」
あいつは口元緩ませ、始めて笑った。
「やったじゃないか!」
俺はあいつの肩を引き寄せ共に喜び分かちあった。
俺が小さい頃に湖のほとりで初めてヴァリオンに会った。あいつはいつも決まって時間に湖に現れ、暇そうに山々を見つめているから話し相手になってやったんだ。
俺が楽しいと感じることをヴァリオンに教え、ヴァリオンは精霊についてやこの村がどうして出来たのかを教えてくれた。
神様がこの地に降りたった時に1人の少女に恋をして二人は結ばれたそうだ。そして、二人の間にはヴァリーと言う名の女の子とリオンと言う名の男の子が生まれたそうだ。やがて愛した女性は亡くなり、この地に未練がなくなった神様は自分の世界に帰ることにしたのだ。
二人の子供を心配した神様は、この地を守るため、大きな湖、山々を創り上げ、村を囲んだそうだ。この地を守る精霊も創り上げ、ヴァリーとリオンを守るように言ったそうだ、その精霊がヴァリオンなのだ。ヴァリオンの名は神様から与えられたそうだ。
ヴァリオンは北の山にある泉に住みながらこの地を、俺たち子孫を守ってきたそうだ。
俺たちの村にはヴァリオンが創り出した、たくさんの羽のついた生き物が飛んでいて、俺たちを助け、守ってくれている。
火が必要なら火を出し、水が必要なら水を出す、湖周辺にはたくさんの村々が点在し、村同士が争えば助けてくれ、精霊達に守られている俺たちの村は最強の村だと知られているのだ。
俺はこの最強の村で最も力も強く、剣の腕もあり、最強だと自負している。だから、いつまで義務に縛り付けられている俺の友人をこの地から解放してやりたいと思っていた。
「ヴァリオン…俺はいつまでおまえの力に頼ってはいけないと感じている」
「私が不用だということか…」
ヴァリオンは無表情だか少し悲しんでいるようだ。
「違う!俺一人の力で村を守れると思う。だからおまえも義務で縛られんじゃなくて自由に生きろよ!やりたいことはないのか?」
「やりたいこと…」
ヴァリオンはじっと考え込むと口を開いた。
「我が力はこの広い大陸から得ている、山を越えた地がどんな場所か見てみたい」
「じゃあ、行けよ!見てこいよ!おまえ飛べるだろ!」
俺はニカっと笑いヴァリオンの背中を押した。
「しかし、この地に我が力も置かねばならないと神が仰っている…ラクラインよ、我が力を受け取り、この地を守ってみるか?」
「えっ?いいのか?おまえの凄い力を受け取って??」
「あぁ、しかし、お前の身体に異変が起こるかもしれない」
「あぁ、構わないさ!」
そして、俺はヴァリオンに力を授かった。金色だった髪は銀色に変わり、瞳はヴァリオンと同じ紺碧色にへと変わったのだ。
村人は新たな力を得た俺を最強の戦士と讃え、俺は誇らしかった。
しかし、後先考えずに力を授かったことが俺を苦しめる原因になることも知らずに…
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