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第11章 リーラと精霊王 フォールド領編

幕間 闘いへカウントダウンーゾーン国ー

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       ゾーン国


 ゾーン国の都アクアリディアは相変わらずの厚い雲に覆われ今にも雨が降りそうな空だった。アクアリディアの中心にある神殿に多く傭兵達が集まり重々しい雰囲気に包まれていた。 

 アクアリディア神殿の祭壇に頭から白いが外套を被った少年が現れ、家来達は床に頭をつけ深々と頭を下げた。

「頭を上げよ。我らを陥れような愚かな国々が戦を仕掛けようとしている。我らは奴らに罰を与えねばならない。時は来た、いよいよ闘いの始まりだ!」
教皇の言葉に傭兵達はおーっ!と叫ぶ。

「周辺国の動きは?」
教皇は同じ白い外套を被った枢機卿に問う。

「ナターシャを始め周辺国が参戦する見込みです」
枢機卿が答える。

「どこだ」

「明らかに準備に入っているのがノーザンランド、アンデルクです。西の国のトラフはまだ悩んでようです」

「トラフ…砂漠があるから安心していたが攻めくるかもしれぬ。ベルクとエクレアは?」

「元々、兵力が全くないため、参戦には回避する見込みでしょう」

「トラフの動向を探り続けろ」

「かしこまりました」

「いつ仕掛けてくる」

「恐らく、冬にかけてでしょう。夏は暑さゆえ長期に持ち込めませんから」

「あと数ヶ月……私はリヴァリオンへ移る。お前達はゾーンで敵国を押さえろ」

「御意」
枢機卿は頭を下げた。枢機卿の横に控えていた白衣を纏った青年は教皇からの言葉を静かに待っていた。
「シャロン」

「はい、教皇様」
青年は顔を上げると金色の眼鏡がキラリと光る。

「シャロン、おまえの研究の成果をだせ。各国に一泡吹かせてやれ」

「ふふふ、お任せを」
神殿研究長のシャロンは鼻にかかった眼鏡を上げると不適に笑う。

 傭兵達の先頭で片膝をつきながら教皇の命令を将軍ジルベルトは待っていた。
「ジルベルトよ、強豪な武将達がゾーンに来るだろう。特に…ノーザンランドの黒獅子はお前が殺れ。わかっているな?リヴァリオンには近づけるな」

「もちろんでございます」
ジルベルトは舌で口の周りをベロリと舐め、手をポキポキと鳴らした。


 教皇は神殿からアクアリディアの街を見下ろしながら、頭から被っていた外套を取る。
 外套の下から現れたのは栗色の瞳と髪の少年の姿だった。教皇は自身の身体を腕を伸ばし隈なく見る。
「クックック……光の力が馴染んだいい身体だよ」

 魂の修復を果たしたことで教皇はリーラが完全復活したことに気づいたのだ。教皇はノーザンランドの方向に手を伸ばすと、
「君も僕のこと気づいてるね」
と互いの存在を感知していることに喜び、教皇はにやりと笑ったのだ。

 ようやく君に会えるね、リーラ…


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