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第7章 姉妹の和解 リッチモンド・ハイベルク領編
第15話 水の精霊との戦い
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海兵船がぺぺの力により敵船に追いつく事が出来た。
「前方敵船発見!船をつけます!隊員衝撃に備えよ!!」
ガン!!!
「三カ所に別れ敵船に潜入しろ!行け!」
ビルの怒号が響く。
パサッ
パサッ
ぺぺが海から戻りクリストファーの肩に止まる。
「気をつけろピヨ。水の精霊が二体いるピヨ。クリストファーよ、あの剣を所持しているかピヨ」
「はい、こちらに」
「恐らく、その剣が一番有効ピヨ」
「はい」
ジョンは第4番隊を指揮し船頭の甲板へ飛び移る。二人の青年が手から怪しげ術を出し、水の玉を騎士達に向けて投げて来た。
ピシュッ!
「うわぁッ。」
ドボン!
水の玉が当たった騎士は海へ投げ落とされる。ジョンが隊員に叫ぶ、
「油断するな!!ネイル、本船に海に落ちた者の救助をするように言え!」
「了解!」
「隊長、危ない!!」
大きな水の固まりがジョンを襲う。ジョンは素早く剣を2本抜き、玉を斬りつける。
パシャリ
バチャッ
ジョンは敵に目を向ける。
「オリバー……」
そして、もう一人の男の顔を見る。
「ジョンソン……」
ジョンがゾーンに諜報部隊として送った二人だった。
ルディは救護袋を担ぎ、敵船前方に飛び移ると父が敵襲と対峙しているのが見えジョンの元に走る。
「父さん!!えっ……、オリバー兄さん」
一方、クリストファーはぺぺと共に船頭へ向かう。
「陛下!報告です!行方不明なっていた隊員2名がゾーンに寝返ったようです」
「なんだと?!」
「手から怪し気な術で水を出しなかなか戦闘体制に入れません!!」
「クリストファーよ、恐らく水の精霊が体に宿っている可能性があるピヨ。行くピヨ」
オリバーとジョンソンはいくつもの水の玉を空中に作り浮かばせ、隊員達に一気に攻撃を仕掛けてきた。
「させないピヨ!我が力思い知れ!」
羽をひと羽ばたきさせ、水の玉達を海へと追いやる。
「兄さん!やめて!目を覚まして!」
ルディはオリバーの元へ走る。
オリバーは首をコテンと傾げると鞘から剣を抜き、ルディめがけて向かって来た。
カキーン!
ジョンはルディが斬られる寸前に剣で止める。
「やめろ!オリバー!ルディを斬るな!目を覚ませ!」
オリバーはコテンと首を傾げると剣を持っていない手で水の玉を作るとジョンの頭に投げつけた。水の玉がジョンの頭に留まり、ジョンが呼吸が出来ずふらついた瞬間を狙いオリバーは剣をジョンに一刺ししようと向かってきた。
カキーン!!
「グスッ、グスッ。に、にいさん…。」
寸前の所でルディがオリバーの剣を止める。
カキーン
カキーン
オリバーが一歩後ろへ下がり始めた。
「父さん!」
もがき苦しむジョンの水の玉をぺぺの風の力で飛ばす。
パシャーン!
「プハッ、ゴホッ、ゴホッ」
「父さん大丈夫!!!」
「あぁ、ぺぺ様、ありがとうございます」
ジョンの頭に乗り、
「ルディパパ大丈夫かピヨ?おまえの子供はもういないピヨ。水の精霊が宿っているピヨ。どうやら、おまえの子が精霊に身体を明け渡したようだピヨ」
「そうですか…、どうすれば止めれますか?」
「精霊との魂の融合がまだ完全に出来ていないようピヨ。身体の中心に精霊の気配を感じるピヨ。狙うならアソコピヨ」
「わかりました」
意を決したジョンは立ち上がり落ちていた剣を拾い、オリバーを見つめる。
「父さん……」
ルディは剣を見つめ、そして意を決する。
「兄さん…、止めるよ。あなたはきっと仲間を斬りたくないだろう」
ルディはジョンの横に立つと、
「父さん、手伝うよ」
「私は正面から討つ、おまえは後ろを狙え、
一刺しするんだ」
「わかった」
ロッテンハイム親子の悲しき戦いが始まろうとしていた。
クリストファーは諜報隊員だったジョンソンと応戦中だった。ジョンソンは水の玉を凍らせ氷の玉を隊員達に投げ攻撃していた。
「グアッ!」
「ウッ!」
「陛下、危のうございます!後方にお下がりください、グハッ!」
バタン
「6番隊の救護に回せ!」
クリストファーが前に出て、剣を握る。
氷の塊が勢いよくクリストファーを攻撃するが、
バサッ!
バサッ!
と火の加護がある剣を振り斬り捨てる。
「流石ピヨね~、火の剣を使いこなしてるピヨ。吹き飛ばす瞬間を狙って本体を斬れピヨ」
「はい」
ヒュー、ヒューとぺぺは強風を起こしジョンソンの動きを止める。
「ハァーーッ!」
ガン!
ジョンソンがクリストファーは剣を受け止める。ジョンソンの剣を見ると凍りついていた。クリストファーはふっと笑い既視感を感じる。
そして、何度も振り上げて剣を打つ!
ガン
ガン
ガン!!
パキッ!
パラ、パラ、パラと剣に覆われてた氷が落ちていく。クリストファーは剣を打ち上げると、ジョンソンの剣は飛び床に刺さる。
「あっ?!」
とジョンソンの目が床の剣に向けられた瞬間を狙いクリストファーはジョンソンを一刺しする。
「火の剣よ、我が民を水の精霊から解放してくれ!頼む!」
ボッ
ボォーー!!
クリストファーの願いが通じたのか火の剣から炎が出る。そして、水の精霊を浄化するかのように身体の中心部が燃え始めた。火が消えるとクリストファー見開いたジョンソンのの瞳を閉じてやると辛い思いをさせてすまなかったと黙祷を捧げた。
「リーラ、こっちピヨ!クリストファー、倒したピヨね。水の精霊が消えているピヨ」
カン!
カン!
カキーン!
とジョンとオリバーの剣の撃ち合いが続いていた。
「リーラ、無事だったか!」
「はい!陛下!助太刀してきます!」
「気をつけろ!」
リーラは涙を流すルディの横に行くとルディの剣を握る手を触る。
「リーラ…」
『リーラ、あの宿主はまだ未完全だ。魂の融合をしてからそんなに日が経っていない。もしかしたら助けれるかもしれない』
「ルディ、助けれるかもしれない。こっちに注意を引きつけてくれる」
「わかった」
ルディはジョンと撃ち合うオリバーの後方が剣を振り上げ向かう。
「タァーー!!」
オリバーはジョンと間合いを取ると水の玉を作り、ルディに攻撃する。
バシャン!!
「うわぁーーッ」
水の攻撃に遭い後方に投げ飛ばられる。
オリバーとリーラの目が合う。ピクッとオリバーが動く。
『ふっ、リーラと我の気配をようやく感じてびびっているぞ』
「どうする?」
『我を胸に突き刺せ。精霊のガキを引き抜く』
「わかった」
リーラが一歩前に出ると、オリバーが一歩下がる。
「ハァー!!」
カン!
カン!
カン!
リーラは剣に力を込め、オリバーの剣を打ち飛ばす。
カキーン!
「今だ!」
リーラはオリバーの胸にエクストリアを刺す。
グサッ!
「うっ……!」
「オリバー……」
ジョンが悲痛な声を上げる。
「兄さん…っ!」
オリバーの身体に刺さったエクストリアは身体を分解させて、精霊を掴み取る。その瞬間を悟ったリーラは剣を通し、光の力を注いた。パァッと空に光が飛んでいく。
『抜け!!』
リーラは剣を抜き、水の精霊を掴むとオリバーの胸の傷を修復する。
『ウェーン、ウェーン』
小さな水の精霊が泣き出した。
「リーラ!この小さいの何?」
ルディが首を傾げる。
『ウェーン、ウェーン、怖いよー、ルディ、怖いよー』
「こいつ、なんで僕の名前知ってるんだ?そうだ!兄さん!!」
ジョンもオリバーの元へ駆け寄る。
「オリバー!!クソッ!オリバー…、私がゾーンになんて行かせなかったら、オリバー…」
『パパ泣かないで~』
「大丈夫ピヨ、おまえの息子はまだ生きているピヨ」
「えっ?!」
「恐らく魂の融合が完全じゃなかったピヨ。おまえの息子の意思が強く魂を明け渡したくなかったか、この若い精霊が魂の融合をしたくなかったからかわからないピヨ。けれど、エクストリアがいなかったら精霊を抜き取るなんて裏ワザ出来なかったピヨ。リーラとエクストリアの連携プレーピヨ。」
『ルディ、パパ~』
「あのぅ、先程から私の周りに小さい生き物が飛んでいて、パパと呼んでいるのですが…」
「私には見えないが…」
様子を見に来たクリストファーも首を傾げる。
「おまえの息子に入っていた精霊ピヨ。息子の記憶を引き継いたのもしれないピヨ。精霊なんて普通見れないピヨ、契約したらいいピヨ。名前をつけてやれピヨ」
「どうする、父さん…」
「どうしようか…。まぁ、家族の一人と考えたらいいか…、オリバーの中に入ってたからオリーとかどうだ?」
「えっ、単純過ぎない?まぁ、いっか!オリー、僕達と来る?」
周りに飛んでいた精霊がピカッと光り、水色の光が濃くなった。
ルディとジョンの周りを飛び、水色の光りを浴びさせている。
「これは?」
「オリーが二人に水の加護を与えてるピヨ。これから二人はオリーを使役することできるピヨ」
「使役か…使役などしたくないね。もし、困った時は助けておくれ。オリーは私達家族だからね」
ジョンは優しくオリーに話しかけると喜んだオリーはジョンの頬ずりする。
『すき、すき!』
「可愛いねぇ」
「オリー、僕は?」
ルディも尋ねると、
『すき!すき!』
と飛び回ったのだ。
「おまえ達、自分の息子をほったらかしでいいのか?」
クリストファーが冷ややかに言うと、
「「忘れてた!」」
と二人は声を揃える。そして、オリバーを抱き締めたのだ。
『オリーも!』
と小さい精霊は手を広げ三人の中へと飛んで行った。
********
ゾーン国 アクアリディア神殿
ガチャーン
「どうされました!教皇様!おぉ、お手が…」
少年は、手で割ったグラスをさらに握り締める。
ポタッ
ポタッと血が床に落ちていく。
「サンドラに渡した精霊の気が二体消えた」
「さようでございますか…」
「あの女、失敗したか…。枢機卿、シャロンに計画を急ぐよう伝えよ」
「御意」
「さて、次の策で行ってみるか…。どう動くノーザンランド…」
「前方敵船発見!船をつけます!隊員衝撃に備えよ!!」
ガン!!!
「三カ所に別れ敵船に潜入しろ!行け!」
ビルの怒号が響く。
パサッ
パサッ
ぺぺが海から戻りクリストファーの肩に止まる。
「気をつけろピヨ。水の精霊が二体いるピヨ。クリストファーよ、あの剣を所持しているかピヨ」
「はい、こちらに」
「恐らく、その剣が一番有効ピヨ」
「はい」
ジョンは第4番隊を指揮し船頭の甲板へ飛び移る。二人の青年が手から怪しげ術を出し、水の玉を騎士達に向けて投げて来た。
ピシュッ!
「うわぁッ。」
ドボン!
水の玉が当たった騎士は海へ投げ落とされる。ジョンが隊員に叫ぶ、
「油断するな!!ネイル、本船に海に落ちた者の救助をするように言え!」
「了解!」
「隊長、危ない!!」
大きな水の固まりがジョンを襲う。ジョンは素早く剣を2本抜き、玉を斬りつける。
パシャリ
バチャッ
ジョンは敵に目を向ける。
「オリバー……」
そして、もう一人の男の顔を見る。
「ジョンソン……」
ジョンがゾーンに諜報部隊として送った二人だった。
ルディは救護袋を担ぎ、敵船前方に飛び移ると父が敵襲と対峙しているのが見えジョンの元に走る。
「父さん!!えっ……、オリバー兄さん」
一方、クリストファーはぺぺと共に船頭へ向かう。
「陛下!報告です!行方不明なっていた隊員2名がゾーンに寝返ったようです」
「なんだと?!」
「手から怪し気な術で水を出しなかなか戦闘体制に入れません!!」
「クリストファーよ、恐らく水の精霊が体に宿っている可能性があるピヨ。行くピヨ」
オリバーとジョンソンはいくつもの水の玉を空中に作り浮かばせ、隊員達に一気に攻撃を仕掛けてきた。
「させないピヨ!我が力思い知れ!」
羽をひと羽ばたきさせ、水の玉達を海へと追いやる。
「兄さん!やめて!目を覚まして!」
ルディはオリバーの元へ走る。
オリバーは首をコテンと傾げると鞘から剣を抜き、ルディめがけて向かって来た。
カキーン!
ジョンはルディが斬られる寸前に剣で止める。
「やめろ!オリバー!ルディを斬るな!目を覚ませ!」
オリバーはコテンと首を傾げると剣を持っていない手で水の玉を作るとジョンの頭に投げつけた。水の玉がジョンの頭に留まり、ジョンが呼吸が出来ずふらついた瞬間を狙いオリバーは剣をジョンに一刺ししようと向かってきた。
カキーン!!
「グスッ、グスッ。に、にいさん…。」
寸前の所でルディがオリバーの剣を止める。
カキーン
カキーン
オリバーが一歩後ろへ下がり始めた。
「父さん!」
もがき苦しむジョンの水の玉をぺぺの風の力で飛ばす。
パシャーン!
「プハッ、ゴホッ、ゴホッ」
「父さん大丈夫!!!」
「あぁ、ぺぺ様、ありがとうございます」
ジョンの頭に乗り、
「ルディパパ大丈夫かピヨ?おまえの子供はもういないピヨ。水の精霊が宿っているピヨ。どうやら、おまえの子が精霊に身体を明け渡したようだピヨ」
「そうですか…、どうすれば止めれますか?」
「精霊との魂の融合がまだ完全に出来ていないようピヨ。身体の中心に精霊の気配を感じるピヨ。狙うならアソコピヨ」
「わかりました」
意を決したジョンは立ち上がり落ちていた剣を拾い、オリバーを見つめる。
「父さん……」
ルディは剣を見つめ、そして意を決する。
「兄さん…、止めるよ。あなたはきっと仲間を斬りたくないだろう」
ルディはジョンの横に立つと、
「父さん、手伝うよ」
「私は正面から討つ、おまえは後ろを狙え、
一刺しするんだ」
「わかった」
ロッテンハイム親子の悲しき戦いが始まろうとしていた。
クリストファーは諜報隊員だったジョンソンと応戦中だった。ジョンソンは水の玉を凍らせ氷の玉を隊員達に投げ攻撃していた。
「グアッ!」
「ウッ!」
「陛下、危のうございます!後方にお下がりください、グハッ!」
バタン
「6番隊の救護に回せ!」
クリストファーが前に出て、剣を握る。
氷の塊が勢いよくクリストファーを攻撃するが、
バサッ!
バサッ!
と火の加護がある剣を振り斬り捨てる。
「流石ピヨね~、火の剣を使いこなしてるピヨ。吹き飛ばす瞬間を狙って本体を斬れピヨ」
「はい」
ヒュー、ヒューとぺぺは強風を起こしジョンソンの動きを止める。
「ハァーーッ!」
ガン!
ジョンソンがクリストファーは剣を受け止める。ジョンソンの剣を見ると凍りついていた。クリストファーはふっと笑い既視感を感じる。
そして、何度も振り上げて剣を打つ!
ガン
ガン
ガン!!
パキッ!
パラ、パラ、パラと剣に覆われてた氷が落ちていく。クリストファーは剣を打ち上げると、ジョンソンの剣は飛び床に刺さる。
「あっ?!」
とジョンソンの目が床の剣に向けられた瞬間を狙いクリストファーはジョンソンを一刺しする。
「火の剣よ、我が民を水の精霊から解放してくれ!頼む!」
ボッ
ボォーー!!
クリストファーの願いが通じたのか火の剣から炎が出る。そして、水の精霊を浄化するかのように身体の中心部が燃え始めた。火が消えるとクリストファー見開いたジョンソンのの瞳を閉じてやると辛い思いをさせてすまなかったと黙祷を捧げた。
「リーラ、こっちピヨ!クリストファー、倒したピヨね。水の精霊が消えているピヨ」
カン!
カン!
カキーン!
とジョンとオリバーの剣の撃ち合いが続いていた。
「リーラ、無事だったか!」
「はい!陛下!助太刀してきます!」
「気をつけろ!」
リーラは涙を流すルディの横に行くとルディの剣を握る手を触る。
「リーラ…」
『リーラ、あの宿主はまだ未完全だ。魂の融合をしてからそんなに日が経っていない。もしかしたら助けれるかもしれない』
「ルディ、助けれるかもしれない。こっちに注意を引きつけてくれる」
「わかった」
ルディはジョンと撃ち合うオリバーの後方が剣を振り上げ向かう。
「タァーー!!」
オリバーはジョンと間合いを取ると水の玉を作り、ルディに攻撃する。
バシャン!!
「うわぁーーッ」
水の攻撃に遭い後方に投げ飛ばられる。
オリバーとリーラの目が合う。ピクッとオリバーが動く。
『ふっ、リーラと我の気配をようやく感じてびびっているぞ』
「どうする?」
『我を胸に突き刺せ。精霊のガキを引き抜く』
「わかった」
リーラが一歩前に出ると、オリバーが一歩下がる。
「ハァー!!」
カン!
カン!
カン!
リーラは剣に力を込め、オリバーの剣を打ち飛ばす。
カキーン!
「今だ!」
リーラはオリバーの胸にエクストリアを刺す。
グサッ!
「うっ……!」
「オリバー……」
ジョンが悲痛な声を上げる。
「兄さん…っ!」
オリバーの身体に刺さったエクストリアは身体を分解させて、精霊を掴み取る。その瞬間を悟ったリーラは剣を通し、光の力を注いた。パァッと空に光が飛んでいく。
『抜け!!』
リーラは剣を抜き、水の精霊を掴むとオリバーの胸の傷を修復する。
『ウェーン、ウェーン』
小さな水の精霊が泣き出した。
「リーラ!この小さいの何?」
ルディが首を傾げる。
『ウェーン、ウェーン、怖いよー、ルディ、怖いよー』
「こいつ、なんで僕の名前知ってるんだ?そうだ!兄さん!!」
ジョンもオリバーの元へ駆け寄る。
「オリバー!!クソッ!オリバー…、私がゾーンになんて行かせなかったら、オリバー…」
『パパ泣かないで~』
「大丈夫ピヨ、おまえの息子はまだ生きているピヨ」
「えっ?!」
「恐らく魂の融合が完全じゃなかったピヨ。おまえの息子の意思が強く魂を明け渡したくなかったか、この若い精霊が魂の融合をしたくなかったからかわからないピヨ。けれど、エクストリアがいなかったら精霊を抜き取るなんて裏ワザ出来なかったピヨ。リーラとエクストリアの連携プレーピヨ。」
『ルディ、パパ~』
「あのぅ、先程から私の周りに小さい生き物が飛んでいて、パパと呼んでいるのですが…」
「私には見えないが…」
様子を見に来たクリストファーも首を傾げる。
「おまえの息子に入っていた精霊ピヨ。息子の記憶を引き継いたのもしれないピヨ。精霊なんて普通見れないピヨ、契約したらいいピヨ。名前をつけてやれピヨ」
「どうする、父さん…」
「どうしようか…。まぁ、家族の一人と考えたらいいか…、オリバーの中に入ってたからオリーとかどうだ?」
「えっ、単純過ぎない?まぁ、いっか!オリー、僕達と来る?」
周りに飛んでいた精霊がピカッと光り、水色の光が濃くなった。
ルディとジョンの周りを飛び、水色の光りを浴びさせている。
「これは?」
「オリーが二人に水の加護を与えてるピヨ。これから二人はオリーを使役することできるピヨ」
「使役か…使役などしたくないね。もし、困った時は助けておくれ。オリーは私達家族だからね」
ジョンは優しくオリーに話しかけると喜んだオリーはジョンの頬ずりする。
『すき、すき!』
「可愛いねぇ」
「オリー、僕は?」
ルディも尋ねると、
『すき!すき!』
と飛び回ったのだ。
「おまえ達、自分の息子をほったらかしでいいのか?」
クリストファーが冷ややかに言うと、
「「忘れてた!」」
と二人は声を揃える。そして、オリバーを抱き締めたのだ。
『オリーも!』
と小さい精霊は手を広げ三人の中へと飛んで行った。
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ゾーン国 アクアリディア神殿
ガチャーン
「どうされました!教皇様!おぉ、お手が…」
少年は、手で割ったグラスをさらに握り締める。
ポタッ
ポタッと血が床に落ちていく。
「サンドラに渡した精霊の気が二体消えた」
「さようでございますか…」
「あの女、失敗したか…。枢機卿、シャロンに計画を急ぐよう伝えよ」
「御意」
「さて、次の策で行ってみるか…。どう動くノーザンランド…」
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