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第7章 姉妹の和解 リッチモンド・ハイベルク領編

第12話 明かされる父の真実

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 我が父、リヴァリオン国の王であるスコットには想い人がいた。
 伯爵令嬢のエリー様だ。父が16才、エリー様が14才の時。花が咲き乱れる初夏に出会い、そして2人は恋に落ちた。
 リヴァリオン国の王族は同じ国の女性を妃として迎える習慣があるため、周りからの反対もなく二人は婚約され、2年後成人式とともに婚儀が行われる予定だった。
 父はエリー様のみを寵愛し、国を挙げて2人の幸せを心から祈ったのだ。
 しかし、幸せは長く続かなかったのだ。
先代の王である祖父は欲深い人間で国の鉱物と他国の物珍しい物を交換し城に飾るなど国の利益より自身の資産を重視していたそうだ。そんな祖父がゾーンと関わりを持ち始め、国の中がおかしくなる。
 祖父は何かの香をゾーンから貰い受け、部屋の中で煙を吸っていたそうだ。
 いよいよ父とエリー様が婚儀が行われる半年前に祖父は2人の婚約を破棄させ、ゾーンから平民であるサンドラを妃としてつまり、王妃として迎えるように言ったのだ。
 父は祖父には逆らえず、結局サンドラを王妃として迎え、エリー様を側室として迎えることになった。
 リヴァリオンの貴族はプライドが高く、平民に王妃の座を奪われたエリー様は怒りのあまり心を閉ざし、兄を産むと父を遠ざけ受け入れなくなったそうだ。
 愛する人を失った父も心を閉ざし始める。後継者が兄しかいないと心配した臣下は父の心を和らげる為、別の側室が差し出された。
 まず一人目は私の母だ。アンデルクの貴族と婚約が決まっていたが破談とされ父の側室になる。その後、私が授かったらしいが、母では父の心が救えなかったらしい。

 ある春の日、父はエリー様と出会った花畑に行くと1人の少女が花冠を作っていたそうだ。その少女がバーバラ様だ。父はバーバラ様を一目見て、エリー様と重ねてしまったのだろう。バーバラ様を15才の時に側室に求めた。
 叔父であるシャルデンが父の状況を説明し、バーバラ様は国の為、父を支える決心をされ側室になられたそうだ。父はバーバラ様を寵愛するがまた悲劇を生む。恐らく嫉妬したサンドラ王妃もしくはエリー様が子を宿したバーバラ様に毒を盛ったのだ。なんとかバーバラ様は命を落とすことなく御子を産む。しかし、毒の後遺症があったようで子を産むと力尽きて、この世を去られたのだ。
 父はバーバラ様が亡くなり悲しみに明け暮れた。そして、残された御子の髪と瞳の色が違うことに気付くとバーバラ様が不貞を働き裏切られたと思い、完全に心が壊れてしまう。叔父のシャルデンは産まれた子、リーラが毒の後遺症の為に髪と瞳の色が変わり不貞の子だと勘違いされたままでは父に殺されるかもしれないとエステール家にリーラを連れ、身を隠すように伝えたのだ。
 その後、完全に心が壊れた父はエリー様に似た少女をさらに求め、2人の少女が側室に迎えられた。




「リーラがなぜ城を出されたかはリヴァリオン国から脱出の際に叔父から聞いたのよ。折りを見て貴女に伝えて欲しいと。うっ…うっ、ごめんなさい、ごめんなさい。早く伝えなければならないと思ってたのに」
ローズは涙を流しながら語る。

「父を許せとは言わないわ。王たる者、心が弱くてはいけない。けれどもあの人は弱すぎたわ。王には不向きだったわ。祖父の命なんて聞かずエリー様を王妃に迎えていれば、こんな悲劇なんて起こらなかった。リーラを悲しませず済んだの。ごめんなさい…、うっ、うっ…」

「よいしょっと」
リーラは縛られていた手と足の縄を解くとローズをそっと抱きしめる。

「泣かないで、姉上」 

「えっ??リーラ…。あなた…縄を…」 

「縄?あー、縄解きなんて、学校で何百?千回?やらされるからね。姉上も解くね」

「リーラってすごいのね…」

「あははは、一応副隊長ですから。姉上、教えて頂きありがとうございます。姉上も姉上の母君も苦しんだのですね…」

リーラはローズの頭をよしよしと撫でる。

「リーラ…」

「本当言うと姉上も父上達も嫌いでしたし、いなくなってバチが当たっただろうと薄情なことも思ってました。けれどあんな父でも苦しみ、助けを求めていたんですね。そして、すべての元凶がゾーンにあるとは…。あの国決して許しはしない。
来たか……」

「えっ?誰が??」

リーラは窓を開けると、ひょいっと小さい剣が投げられる。

「エクストリア、戻れ」
小さい剣はリーラの手に戻ると通常の剣の大きさに戻る。

『待たせた』

「大丈夫だよ」

リーラの身体から白銀色の光粒子が出る。
リーラを中心として風が起こり、ローズのドレスが揺れる。

「リーラ…」
ローズは驚きで手を口に当てる。

「暴れるよ、エクストリア」
『あぁ』

リーラは剣を大きく一振りすると風が起こり衝撃波で扉は壊れる。

「さぁ、姉上参りましょうか」
ローズはコク、コクと頷いた。


 


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