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第5章 リーラとアンデルクの王子

幕間 会議前のプチ騒動

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     騎士総本部

 アンデルク王子襲撃事件の報告について各隊長が会議室に集まる。

「はぁー」

「ラモント。
 どうしたのため息なんてついて?
 悩みごと?
 もしかして~浮気が奥方様にバレちゃった?」
顔を覗きこみニヤリと笑うキャサリン。

「馬鹿やろう!
 浮気なんてするか!!
 なんでない!!」

宰相ルドルフが入室する。
「みな、すまないが陛下のお越しが遅れる。しかし、びっくりしたぞ。リーラ姫が功績を挙げたらしいな。どのように王子を救出したんだ?」

「詳細はキャサリンとラモントが把握しているのか?」
ハルクが説明をしろとラモントとキャサリンを見る。

「すみません。襲撃時は把握していますが、その後はアンジェラ王女側に護衛に回り、事情聴取は全てラモント隊長に任せました」
みなが一斉にラモントを見る。

びくりとラモントの肩が動く。
「なんだか変だぞ。おまえ何か隠してるな…」
ハルクが怪しむように見る。

「隠していません…」

「キャサリン、敵はどこから現れた?」
キャサリンは怪しいわねとジーッとラモントを見ながら襲撃の前半を話す。

「ユーリィ関所近くのアンデルク側の森から敵が現れ、騎士に扮していた王子を狙ったもようです」

「こちらには何の報告もなく王子が勝手に騎士に扮していたのか?」
ルドルフはイラついた表情になる。

「はい、そうです」

「アホなのか?」

「そうなんです。恐らくアホです。死んでもらって構わなかったんですが、敵からの矢の集中攻撃を受けそのまま川にボッチャーン。アンデルクの騎士達は動揺する中、リーラが気づき真っ先に川へボッチャーンですわ」

「リーラ姫が自ら飛び込んだのか?!それもどうかと思うが…」

「その後はラモントどうぞ」
キャサリンはにやりと笑い全部吐けよと言いたげな表情を見せながらラモントの肩をポンとたたく。

「えぇ?!あぁー。二人を発見した時…」

「全部吐けよ」
ハルクが睨む。

「うっっ。二人を発見した時は基地に向かい歩いてました。王子を確保した際リーラから話を聞くと王子が溺れ意識をなかったので人工呼吸を行い救ったそうです。そして。服も乾かしユーリィ関所まで歩き始めたそうです」

「人工呼吸…唇を合わせてるのか⁈

ルドルフが目を見開き驚く。

「嘘~っ。
 王子知らずにファーストキスをリーラに奪われてたの~。リーラもやるわね!!」

「いや、王子は認識している。リーラのおかげで助かったので功績を与えてくれと頼まれた」

「おい!!待てよ!服を乾かすってなんだよ!ほら物語であるじゃないか。男と女が雨に濡れて必ず小屋があってさぁ。火をおこして服が濡れているから服を全部脱ぐんだよ。毛布もなぜか用意されていて二人で抱きしめあって暖を取るんだ!裸でだよ!あぁーリーラ!僕はそんな風に指導した覚えはない~。グハッッ」

暴走するビルをハルクが殴る。
「やかましいわっ。おまえどんな本を読んでるんだ⁈」
ルドルフはすまなそうな表情をする。

「申し訳ない!もう少し早く発見できたらそんなふしだらことにならなかった!!未成年に対する管理監督が私のせいで!グハッッ」
ラモントにも1発いれるハルク。

「ビル同様の想像をするな馬鹿者!!」

「はぁ~あなた達馬鹿じゃない?人工呼吸よ。命を救ったんだから褒めないと!!それに今どきの若者はキスぐらいするでしょ。若者にとってはよ」
呆れたようにキャサリンが言うとオースティンがじっと見つめてくる。

「チューぐらい…挨拶あいさつ……。おまえは若い時にそんなに口付けを頻繁にしたのか?」

「ば、馬鹿なの?どうしてあなたに私のプライベートな話をしないといけないの??」

「えーいっ、おまえ達!やかましいわっ!」
ハルクもブチ切れる。

「この話はここだけの話だ。陛下に耳には入れないようにしよう。ユーリアム公爵が心配していたようにアンデルク王子とリーラ王女が恋仲にならなければよいのだが…」
ルドルフは不安そうな表情を浮かべた。

この不安を2年後にあおられると思わなかった一同だった。





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