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第4章 別れと新しい旅立ち

幕間 甘いひととき(第15話の後日談)

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 リーラを乗せた馬は皇宮内へと入る。なぜ皇宮?と疑問を感じながら馬から降ろされ再び抱きかかえられる。

「あの…」
リーラの声も届かずクリストファーはコツコツと進む。

「お帰りなさいませ」
紺色の侍女服を着た女性達が並んでいる。

「彼女が雨に濡れて身体が冷えている。温めてやれ」

「かしこまりました」

「陛下、私はだいじょ…うぶ」
最後まで言う前にクリストファーは部屋を出る。

「さぁ、こちらへ」
侍女達に連行される。
部屋の造りを見ると豪華な内装で明らかに高貴な人の部屋だった。

「あの、この部屋は…」

「陛下の御部屋でございますよ」
服をがされ侍女に温かいお湯の張った浴槽に放り込まれる。
そして、丹念に身体を清められるリーラだった。

「あの自分で出来ますが…」

「わたくしどもの仕事でございます」

「はぁ…」

「まぁ、磨き甲斐のあること」
侍女達は髪を結い、ドレスの着せ付けに忙しい。
ドレスを着たリーラは美しい令嬢に変身する。
 鏡を見たリーラはこれ誰?あっ、私か…。何か股がスースーする、違和感半端ないと愚痴をこぼす。

「リーラ!」
部屋にエリザベスが入ってきた。

「あらっ、どこの淑女かと思ったわ」
そして、リーラをギュッと抱き締める。

「話を聞いたわ。大丈夫?」

「はい。ご心配をおかけしました」

エリザベスは首を振りながら
「私、リーラを尊敬しているのよ。王族である同じ立場のあなたは苦境に負けず真っ直ぐに生きている。私なら今頃死んでいるわ。辛かったわね。さぁ、疲れた時には甘いものよ!」

リーラの手を握り別の部屋に向かう。
「部屋に嫌なことを忘れるくらい美味しいお菓子を用意してるのよ」
部屋に入ると甘い匂いが漂う。

「さぁ、女子会よ」

「はい!」
初めて食べる甘いお菓子に心が癒されるリーラ。

「リーラ、聞いてくれる?私ね、このままではいけないと思ってるの。私にできること何かあるんじゃないかって。このままで終わりたくない。誰かの元に嫁いで子を産んで終わりなんていやよ。リーラのように真っ直ぐ前に進みたい。まだ何かは見つけていないけどね」
リーラを見つめ笑いかける。

「私もまだ何かなんて見つけてないです。ただごく普通に生きれたらそれだけいいとは思ってます」
そうねと頷き、普通に生きたいが彼女の背負う運命がそうさせないのだろうとエリザベスは感じた。

 部屋の扉がノックされクリストファーとビルが入ってくる。
 クリストファーはリーラの令嬢姿を見て驚いた様子だったが普段通りに話しかける。

「身体の方がだいぶ冷えていたが大丈夫か?」
と両手でリーラの頬を包む。 

「大丈夫です。ありがとうございます」
リーラは突然触れられ赤面する。

「おい、クリス!可愛いく変身したからって気安く義妹いもうとに触るな」
手を退けようとするビル。

「お兄様、私のように簡単に女性に触れてはいけないわ。リーラごめんなさい。きっと妹みたいに思って触れているのよ」

「はい…」

「それは悪かったな」
バツが悪そうに頭を掻くクリストファー。


「お兄様、お願いがあるの。リーラはお母様の護衛騎士でしょう。私ではダメ?
一緒にいれたらいつでも楽しく話せるじゃない⁈」

「そうだな。歳近い者同士話せるのもいいだろう」

「ありがとう!!リーラ、これからもよろしくね」

「はい」
二人は笑い合う。

クリストファーが突然立ち上がる。
「リーラ、仕事だ」

「えっ??」
あんた何いってるんですか?の表情でクリストファーを見るリーラ。

「思ったより元気そうだからな。嫌な事を忘れるには仕事が1番だからな。では、参ろうか?リーラ嬢」
エリザベスとビルはこんな時に仕事を与えるなんてやはり非道な皇帝だと冷たい眼差しを送る。

「やっぱりなぁ。こんな高待遇受けて何か裏があるかと思ったよ。やっぱり名の通りの冷徹皇帝だね」

「何か言ったか?リーラ?」
「やば、聞こえてた?あははは、何も言っておりません。陛下」
顔の前で手を振り必死に不敬発言してませんアピールをするリーラ。

クリストファーは難しい顔になり、なんだか満足のいく返答を返せなかったようだ。
「せっかくの美しい装いの淑女姿なのだから装いに相応しい返答と仕草がほしいのだが…」
にやりと笑うとリーラに手を差し伸べた。

「さぁ、美しき令嬢参ろうか。手を」

「へっ陛下、参りましょう」
ぎごちなく差し出したリーラの手を取り歩き出しながら苦笑するクリストファーだった。
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