上 下
15 / 240
第1章 祖国の滅亡

幕間 ローズ王女ー1ー

しおりを挟む

「はぁ、はぁ、はぁ」

私は必死に逃げる。 
あの気持ち悪い男の手に落ちるのは真っ平ごめんだわ。
 後ろからカツ、カツとあの男のわざとらしい足音が聞こえるようだ。

 迂闊だった。
 また、王妃にめられるとは。母付きの侍女に母から呼ばれているので部屋に案内すると言われた。内密の話をするのかと一人で向かったら、部屋に入るなり見えたのは、紫色の頭だった。王妃の兄ゾーン国将軍ザカルケだ。いつの間にか侍女も王妃に買収されたのか……。
 今すぐに逃げろと身体が痙攣が鳴らす。私は侍女を押しのけ外に出た。
 靴が邪魔だ。
 すぐさま私は靴を脱ぎ走った。
 すると、私の腰を掴み誰が部屋に引き込んだ。

「ひぃっ」
しまった。私は叫び声をあげようとしたら、口を塞がれた。

「静かに。誰かから逃げてるの?」
私はうん、うんと盛大に頷いた。

ドアの外から気持ち悪い声で、
「どこだい~」
と聞こえる。
その声はだんだん遠くなる。

「はぁ」
と安堵した。
私は安心してたら腰が抜けたようで立てなくなってしまった。

「貞操の危機だもんね。ほら、テラスから噴水の方へ行こう。まさか外にいるとは思うまい」

男性は私を抱え、テラスから外へ出て噴水まで連れて行ってくれた。
ようやく外の明かりで姿がわかる。

「ありがとうございます。本当に助かりました」

男性を見ると黒服に胸には、勲章をつけノーザンランド帝国の騎士だと思われた。藍色の短髪、瞳は吸い込まれそう青色。端正の取れた顔立ち。
素敵な方だわ、この方…。
私は一瞬にして恋に落ちた。

「これは、これは、ローズ王女さ」
私は彼の口を塞いぎ、しぃーと指を口にあてた。

「静かに。王女と呼ばないで。私、あの気持ち悪い男に前から狙われてるの」

「そうなんですか…大変ですね」

「本当なのよ」

「…はい…」

「何年か前からやたらといやらしい目で見てきて、最近では肩を触ってきたりするの。虫唾が走るわ。さっきもお母様に呼ばれてたから行ったのに。侍女に騙されるなんて……。私の周りから信用できる者が一人づついなくなるの……。私、いや!絶対いやあんな男のものになるのは…」

 私は目の前の男性を見つめ、
「だから、お願い! 私の純潔を奪って!!私、あなたにひと目見て恋に落ちたわ。だからあなたの思い出があればこれからだって。我慢できるわ…」

 この叫びに迷いなんてなかった。 
 だって彼は私の白馬の王子様だと思ったの。私を連れ出すのは無理だけど、純潔じゃなかったらあの男は私から興味がなくなるかもしれない…

「あの、私はノーザンランドのただの近衛兵で王女様に釣り合わないし、ましてや純潔ってあんた、何言ってんの?」

「私は直感をいつも信じるのよ!あなたは私の運命の人なのよ!だからだから絶対引かないわ!!」

暫し沈黙が流れる。

「ぷっははは!あんた本当に王女様?
 じゃあ、部屋行く?」
彼は裸足の私を抱きかかえて歩き出した。途中私の護衛騎士に会い、私は心配ないから周り上手く言うように伝えた。

 



しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

勘当されたい悪役は自由に生きる

雨野
恋愛
 難病に罹り、15歳で人生を終えた私。  だが気がつくと、生前読んだ漫画の貴族で悪役に転生していた!?タイトルは忘れてしまったし、ラストまで読むことは出来なかったけど…確かこのキャラは、家を勘当され追放されたんじゃなかったっけ?  でも…手足は自由に動くし、ご飯は美味しく食べられる。すうっと深呼吸することだって出来る!!追放ったって殺される訳でもなし、貴族じゃなくなっても問題ないよね?むしろ私、庶民の生活のほうが大歓迎!!  ただ…私が転生したこのキャラ、セレスタン・ラサーニュ。悪役令息、男だったよね?どこからどう見ても女の身体なんですが。上に無いはずのモノがあり、下にあるはずのアレが無いんですが!?どうなってんのよ!!?  1話目はシリアスな感じですが、最終的にはほのぼの目指します。  ずっと病弱だったが故に、目に映る全てのものが輝いて見えるセレスタン。自分が変われば世界も変わる、私は…自由だ!!!  主人公は最初のうちは卑屈だったりしますが、次第に前向きに成長します。それまで見守っていただければと!  愛され主人公のつもりですが、逆ハーレムはありません。逆ハー風味はある。男装主人公なので、側から見るとBLカップルです。  予告なく痛々しい、残酷な描写あり。  サブタイトルに◼️が付いている話はシリアスになりがち。  小説家になろうさんでも掲載しております。そっちのほうが先行公開中。後書きなんかで、ちょいちょいネタ挟んでます。よろしければご覧ください。  こちらでは僅かに加筆&話が増えてたりします。  本編完結。番外編を順次公開していきます。  最後までお付き合いいただき、ありがとうございました!

聖女を騙った少女は、二度目の生を自由に生きる

夕立悠理
恋愛
 ある日、聖女として異世界に召喚された美香。その国は、魔物と戦っているらしく、兵士たちを励まして欲しいと頼まれた。しかし、徐々に戦況もよくなってきたところで、魔法の力をもった本物の『聖女』様が現れてしまい、美香は、聖女を騙った罪で、処刑される。  しかし、ギロチンの刃が落とされた瞬間、時間が巻き戻り、美香が召喚された時に戻り、美香は二度目の生を得る。美香は今度は魔物の元へ行き、自由に生きることにすると、かつては敵だったはずの魔王に溺愛される。  しかし、なぜか、美香を見捨てたはずの護衛も執着してきて――。 ※小説家になろう様にも投稿しています ※感想をいただけると、とても嬉しいです ※著作権は放棄してません

王妃の仕事なんて知りません、今から逃げます!

gacchi
恋愛
側妃を迎えるって、え?聞いてないよ? 王妃の仕事が大変でも頑張ってたのは、レオルドが好きだから。 国への責任感?そんなの無いよ。もういい。私、逃げるから! 12/16加筆修正したものをカクヨムに投稿しました。

まだ20歳の未亡人なので、この後は好きに生きてもいいですか?

せいめ
恋愛
 政略結婚で愛することもなかった旦那様が魔物討伐中の事故で亡くなったのが1年前。  喪が明け、子供がいない私はこの家を出て行くことに決めました。  そんな時でした。高額報酬の良い仕事があると声を掛けて頂いたのです。  その仕事内容とは高貴な身分の方の閨指導のようでした。非常に悩みましたが、家を出るのにお金が必要な私は、その仕事を受けることに決めたのです。  閨指導って、そんなに何度も会う必要ないですよね?しかも、指導が必要には見えませんでしたが…。  でも、高額な報酬なので文句は言いませんわ。  家を出る資金を得た私は、今度こそ自由に好きなことをして生きていきたいと考えて旅立つことに決めました。  その後、新しい生活を楽しんでいる私の所に現れたのは……。    まずは亡くなったはずの旦那様との話から。      ご都合主義です。  設定は緩いです。  誤字脱字申し訳ありません。  主人公の名前を途中から間違えていました。  アメリアです。すみません。    

旦那様、前世の記憶を取り戻したので離縁させて頂きます

結城芙由奈 
恋愛
【前世の記憶が戻ったので、貴方はもう用済みです】 ある日突然私は前世の記憶を取り戻し、今自分が置かれている結婚生活がとても理不尽な事に気が付いた。こんな夫ならもういらない。前世の知識を活用すれば、この世界でもきっと女1人で生きていけるはず。そして私はクズ夫に離婚届を突きつけた―。

好きでした、さようなら

豆狸
恋愛
「……すまない」 初夜の床で、彼は言いました。 「君ではない。私が欲しかった辺境伯令嬢のアンリエット殿は君ではなかったんだ」 悲しげに俯く姿を見て、私の心は二度目の死を迎えたのです。 なろう様でも公開中です。

完結 「愛が重い」と言われたので尽くすのを全部止めたところ

音爽(ネソウ)
恋愛
アルミロ・ルファーノ伯爵令息は身体が弱くいつも臥せっていた。財があっても自由がないと嘆く。 だが、そんな彼を幼少期から知る婚約者ニーナ・ガーナインは献身的につくした。 相思相愛で結ばれたはずが健気に尽くす彼女を疎ましく感じる相手。 どんな無茶な要望にも応えていたはずが裏切られることになる。

5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?

gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。 そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて 「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」 もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね? 3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。 4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。 1章が書籍になりました。

処理中です...