【完結】ノーザンランドの白き獅子リーラ 〜捨てられた王女は人生逆転復活劇は起こしたくない〜

京極冨蘭

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第1章 祖国の滅亡

幕間 アレクの最後

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「敵襲ー!!」

とうとう来たか。
やはり早かったな。
自分の判断が正しかった事に安堵した。

 ローズ王女の婚儀が決まり、突然チリルから城内で話しかけられた。
 
 ノーザンランドに一緒に行かないかと……。
 チリルは小さな頃から娘のバーバラと仲が良く、リーラの事を気にかけてくれていた。リーラは王女だから危ないから逃げた方がいいと。
 もしゾーン国に攻められたら王女であるリーラは間違いなく消される。もしくは誰も知らないあの神秘の力が奪われてしまう。絶対守らねばならない。

 しかし、私達が一緒に行くのはかえって怪しまれるかもしれない。
 そして私はリーラにノーザンランドへの道を託した。そして、チリルに王女と一緒に連れて逃げれるようお願いをした。

 追手がくるかもしれないので念の為に部下のリヨン・グリットに息子の身分証を譲ってもらった。

 次に私は家の財産を金貨に変え、妻と離縁の手続きを取った。 
 私は国の情勢や逃亡について妻に告げ、逃げるように言うと妻は泣き崩れた。私は泣き崩れる彼女を抱きしめながら彼女との出会いを思い出した。


 ローリーとの出会いは彼女の家族が保養の為リヴァリオン国に訪れた際に出会った。湖で遊ぶ美しい彼女をみて、妖精かと思った。
 彼女はアンデルク国の商家の娘で彼女達は毎年夏の休暇に遊びに来てたのだ。
 湖で出会ってから私達は仲良くなりすぐに恋に落ちお互い共に一緒にいたいと思うようになった。お互いの両親に反対はされたものの最後は私達を許してくれたのだ。


「嫌です。あなたと一緒にいます!!」

「駄目だ。君は生き残れ。リーラはどうなる。君は実家に戻り家族の助けを求めてくれ。頃合いを見てリーラと合流するんだ。ノーザンランドとアンデルクは交流がある。リーラを頼む」

「あなた…うっうっ…」
さらに泣き崩れ妻を強く、強く抱きしめた。

リヴァリオン国のトンネル使用料とアンデルク国の入国費用は高い。リーラとローリーに渡せる金貨は僅かしか残らなかった。

 王女の輿入れについていくリーラを見送り、すぐに妻の荷物を持ちトンネルに向かった。人が何人かすでに集まっていた。
 リーラ達が乗っていた馬車が戻り、人を乗せを関所への送迎を繰り返した。結局ローリーが乗れたのは昼頃で、その頃には王女が極秘にノーザンランドに逃げたと情報を聞いた人々が自分達も逃げようとさらに列を作っていた。

"無事逃げろよ…"

 家に戻り我が家に関する書物を燃やし、城内の持ち場に戻った。

 城で部下のリヨンに会うと、
「なんとなく、今夜攻めてきそうですね」

「あぁ、すまない。ロンの身分証よかったのか?」

「私達平民には、逃げるお金なんてないですよ」

「家族は?」

「北の村に帰しました」

「行ってやれ。俺がうまく言っておくから」

「はぁ?」

「騎士服は脱げよ。着替えて家族のもとに向かえ。さぁ!!」

「………、ありがとうございます」

リヨンは迷う事なく去って行った。

 私は王の部屋前にいた別の騎士と交代をした。なんだか外から騒ついた音が聞こえる。


「敵襲だー!!」
 
とうとう来たか。
私は剣を構える。

エステール家は先祖代々王家に忠誠を誓う騎士家系……
父上、私はこれで良かったですよね…


「ぎゃあー!」
「助けてー‼︎」
 周辺に叫び声が聞こえる。

 紫色の髪を靡かせ銀色の鎧を来た大男がズカズカとやって来た。
ゾーン国将軍ザカルケだ。リヴァリオン国王妃サンドラの兄である。

「ザカルケ将軍とお見受けする、王に何用!」

「用があるから来ているのだ!どけ!」

将軍は剣を振り落とす。
私はかろうじて受け止めた。
すぐにもう一打を振り落とし、私はすぐ受け流し、将軍に剣を振りかざす。

ガチャーン。
互いの剣を受け止めあう。
 
 その時王の間が開き、私は何者かに後ろからぐさりと刺された。

「ぐわっ。あ、あっ…」

「お兄様遅くてよ、待ちくたびれたわ」
「ちっ、。ほらよ」

バサッ。
前からも斬りつけられ、血痕が当たり一面飛び散る。

「あ、あ……」
痛みで意識が遠のく。



リーラ、生き残れ、必ずだ…
バーバラ
ローリー


あいしてる…












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