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第1章 祖国の滅亡
第6話 ノーザンランド帝国へ
しおりを挟む馬車の松明に灯りがともる。
トンネルは馬車二台が通れる幅だった。中はとてもひんやりしており馬の歩く音がパカパカ響く。ふと左側に目をやるとさらにトンネルの道があるようだ。
"あれって…もしかしたら採掘場かも
しれない。
山を削ってトンネルを造るなんて…
本当にすごいなぁ…"
時々頬に冷たい水滴が頬にあたる。
奥の方から丸い光が見えてきた。それが段々大きくなり、人がたくさんいるのが見える。
トンネルから出ると広場があり沢山の騎士達に囲まれていた。
左側には上下黒服に金色のラインの入った騎士服に着用しているノーザンランド国の騎士団、右には、紅色の上衣、白の下衣を着用しているアンデルク国の騎士達が整列していた。
その中心で話していた黒服の騎士と紅色服の騎士がこちらにやってきた。
リーラ達は素早く整列するように侍女にうながされた。
別の侍女が馬車の扉を開け、ローズが出てきた。
「さぁ、お手を。ローズ王女、お待ちしておりました。無事にお会いできてほっとしましたよ」
藍色の短髪のノーザンランドの騎士は、優しく笑いかけながらローズをエスコートした。
ローズは彼を見るとほほ笑み、
「ありがとうございます。お迎え感謝します」
そして、アルデルク国の騎士の一人がローズに向かい挨拶をした。
「はじめまして。アンデルク国の騎士団長を務めています。デュークでございます。お見知りおきを」
「ローズ・リヴァリオン・ラクラインです」
そして、騎士の1人と侍女の女性2人、小間使い1人が前にでた。
「叔父のシャルデン侯爵です」
「この度はアンデルク国の受け入れ感謝します。この身を御国の為に尽くさせて頂きます」
「ご丁寧な御挨拶恐縮でございます。
では、王都まで我が隊でご案内します。まずは、アンデルク国側の関所出口で入国手続きをとります。馬車を我が国側に用意しています。王都まで、まだ、まだ距離があるので早速移動しますがよろしいですか?」
「はい、もちろんです。よろしくお願いたします。じゃあ、ローズ。元気で。身体にきをつけて」
「はい、お元気で。叔母様も、みんなも元気でね」
あの騎士の服を来た人、確か第二側室の兄だったシャルデン侯爵だ…という事は、侍女と小間使いは、妻と子供。
リーラはアンデルク国へ亡命するのだと気付いた。
やり取りをしている間に荷物をノーザンランド国の騎士が移動させていた。御者はお金をもらうと騎士に頭を下げ再び馬車はトンネルに消えていた。
呆然と見ているチリルに行くわよと声をかけられた。
レンガ造りの建物の中に入ると左右に入り口があり右にアンデルク、左がノーザンランドと記載があった。
左に進むと年配の男が座っており身分証を確認した。
ぞろぞろと出口に進み、外に出ると黒色の大きな馬車が用意されていた。
馬は黒色で足も太くあまりの大きさにびっくりして口を開けているとベラがくすりと笑いかけながら馬車に乗れるよと手を引いてくれた。
このまま王都までいくそうだ。到着は夜になるそうだ。スピードがでているが馬車の乗り心地はすごくいい為リーラはだんだん眠くなり窓に頭をつけて寝てしまった。
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