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終章 精霊達よさようなら
第10話 10年後に忍びよる危機
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北の街ローフェスにやってきて10年の歳月が経過していた。二人の男の子にも恵まれ、母として妻として多忙な生活をリーリラは送っていた。
「お母さん、お弁当!早く!」
「寝坊する貴方が悪いんでしょ」
「だってぇー!」
「兄さんを見習いなさい」
兄のジェフリーは真面目な性格で、朝も早く準備が出来、既に学校へ出発していたが、弟のアンドリューはいつも夜更かしばかりして朝が起きれず遅刻ばかりだ。
「今日も先生に怒られるよぉー、うぇーん」
「泣いてないで早く行くんだ」
父のカイルに背中を押されてアンドリューは泣きながら学校へ向かう。
「兄弟でここまで性格が違うのね」
「本当だ。誰に似たんだろ?じゃあ、いってくる」
とカイルはリーリラの唇に熱い口付けを落とすと騎士団へと向かって行った。
カイルの愛情は10年間冷めることなくリーリラに注がれ、リーリラは幸せいっぱいの毎日を過ごしていた。
リーリラはひと通り家事を終えると、家事の合間に調合し終わった薬を街へと届ける。
ローフェスの街は10年の間に更なる発展を遂げていた。開国から様々な国から人、そし文化が入ってきたのだ。特に友好関係にあるアンデルク国には従兄弟のエドモンドが商才を拓かせ、リヴァリオンの名産品を売り込み、国を更なる発展へと導いていた。もちろん流行の最先端にあるアンデルク国の物珍しい物品がリヴァリオン国に入って来ており、特に女性達を喜ばせている。
リーリラは薬屋の納品を済ませ、薬屋に陳列されている石鹸を探すとアンデルク産のお気に入りの香り豊かな石鹸を見つける。
「リーリラさん、お気に入りね」
「この花の香りがリラックス出来るのよ。乾燥させた花びらが入ってるじゃない。使う度に感じるザラザラとした感触も癖になるのよ」
「わかるわ~、ざらっと感がいいわよね。実は店頭に出してない新しい石鹸も入ってるのよ。見る?」
「見せて」
薬屋の娘と楽しい会話をしていると、一人の夫人が慌てて、薬屋に入ってきた。
「主人が南の国から戻ってきて体調が悪いのよ」
「まぁ、大変ね」
「どんな症状なの?」
リーリラは二人の会話に強引に入り込む。
「下痢と熱があるのよ」
「混ぜて大丈夫だから、下痢止めと熱覚ましを出してあげて」
リーリラは薬屋の娘に指示を出すと、薬を受け取った夫人は急ぎ足で家に戻ったのだ。
「噂なんだけど、南の国から帰った人が調子が悪くなるって聞いたわ」
「なんだか、心配ね。薬、多めに調合した方がいいかしら?」
「お願いできる?」
「もちろん!」
◇◇◇
家に戻ると同時に夫のカイルが仕事から戻ってきたようだ。
「お早いお帰りね」
「国都の騎士団の奴らが調子が悪いらしくて、ローフェスの騎士団に応援要請が来たんだ。しばらく戻れないかもしれない」
「わかりました。準備しますね」
「助かる」
リーリラはカイルの旅支度を手伝い、カイルは日が暮れる前に出発することとなる。
「じゃあ、いってくる」
カイルは息子達、そしてリーリラを抱き締めた。
「何もないかと思うけど変な奴がいたらすぐにハントンさんを呼ぶんだよ」
「わかったわ、貴方も気をつけて。行ってらっしゃい」
「「いってらっしゃーい!!」」
夫の姿を見送りながらリーリラと子供達は元気に手を振った。
「お母さん、お弁当!早く!」
「寝坊する貴方が悪いんでしょ」
「だってぇー!」
「兄さんを見習いなさい」
兄のジェフリーは真面目な性格で、朝も早く準備が出来、既に学校へ出発していたが、弟のアンドリューはいつも夜更かしばかりして朝が起きれず遅刻ばかりだ。
「今日も先生に怒られるよぉー、うぇーん」
「泣いてないで早く行くんだ」
父のカイルに背中を押されてアンドリューは泣きながら学校へ向かう。
「兄弟でここまで性格が違うのね」
「本当だ。誰に似たんだろ?じゃあ、いってくる」
とカイルはリーリラの唇に熱い口付けを落とすと騎士団へと向かって行った。
カイルの愛情は10年間冷めることなくリーリラに注がれ、リーリラは幸せいっぱいの毎日を過ごしていた。
リーリラはひと通り家事を終えると、家事の合間に調合し終わった薬を街へと届ける。
ローフェスの街は10年の間に更なる発展を遂げていた。開国から様々な国から人、そし文化が入ってきたのだ。特に友好関係にあるアンデルク国には従兄弟のエドモンドが商才を拓かせ、リヴァリオンの名産品を売り込み、国を更なる発展へと導いていた。もちろん流行の最先端にあるアンデルク国の物珍しい物品がリヴァリオン国に入って来ており、特に女性達を喜ばせている。
リーリラは薬屋の納品を済ませ、薬屋に陳列されている石鹸を探すとアンデルク産のお気に入りの香り豊かな石鹸を見つける。
「リーリラさん、お気に入りね」
「この花の香りがリラックス出来るのよ。乾燥させた花びらが入ってるじゃない。使う度に感じるザラザラとした感触も癖になるのよ」
「わかるわ~、ざらっと感がいいわよね。実は店頭に出してない新しい石鹸も入ってるのよ。見る?」
「見せて」
薬屋の娘と楽しい会話をしていると、一人の夫人が慌てて、薬屋に入ってきた。
「主人が南の国から戻ってきて体調が悪いのよ」
「まぁ、大変ね」
「どんな症状なの?」
リーリラは二人の会話に強引に入り込む。
「下痢と熱があるのよ」
「混ぜて大丈夫だから、下痢止めと熱覚ましを出してあげて」
リーリラは薬屋の娘に指示を出すと、薬を受け取った夫人は急ぎ足で家に戻ったのだ。
「噂なんだけど、南の国から帰った人が調子が悪くなるって聞いたわ」
「なんだか、心配ね。薬、多めに調合した方がいいかしら?」
「お願いできる?」
「もちろん!」
◇◇◇
家に戻ると同時に夫のカイルが仕事から戻ってきたようだ。
「お早いお帰りね」
「国都の騎士団の奴らが調子が悪いらしくて、ローフェスの騎士団に応援要請が来たんだ。しばらく戻れないかもしれない」
「わかりました。準備しますね」
「助かる」
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「じゃあ、いってくる」
カイルは息子達、そしてリーリラを抱き締めた。
「何もないかと思うけど変な奴がいたらすぐにハントンさんを呼ぶんだよ」
「わかったわ、貴方も気をつけて。行ってらっしゃい」
「「いってらっしゃーい!!」」
夫の姿を見送りながらリーリラと子供達は元気に手を振った。
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