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第4章 不穏な気配の訪れ
第7話 国を救うための方法ー2ー
しおりを挟む「私に………」
リーリラは意を決して顔上げる。
「案があります」
「是非、リーリラの意見も聞かせてほしいわ」
リズがリーリラの手を握りにこりと笑う。
「はい。エクストリアの話では国に精霊と私達を外部から守る為に結界が張られているそうです。私の力とエクストリアの力で結界を破壊すれば精霊達は守られる場所がなくなりこの地を去るそうです」
みなが顔を見合わせ、そうなのかと驚く。
「あと……、この精霊王から授かり継承された我らの力も無くすことができそうです」
「なんだって?!」
リチャードは大きな声で驚き、
「もし、可能なら狙われたり誘拐される心配がなくなる。私が1番心配しているのがリズなんだ。彼女が一番狙われる確率が高いだろうし、力がないなら私達も堂々とないと言えるし安心できる。どう言った方法なのだろうか?」
「驚かず聞いてください。王族は生命と引き換えに願いを叶えることが出来るそうです」
「リーリラ!!」
アーサーは声を荒げると頭を抱え、なぜそれを知っているのだと驚いている。
「お父様、聞いて…、私も王族の役割を果たしたいです。私の生命を引き換えに一族の聖なる力を消すのです。そうすれば外部に狙われることや攫われて力が他国に流れる心配もなくなるでしょう」
「リーリラったら何を言うかと思ったら。嘘よね、そんなこと本当にできるわけないわよね。お父様、何か仰って……」
リズが怪訝そうに頭を抱える父を見る。
「これも精霊の剣様の入れ知恵なのか…。
リーリラの言う通りだ。我が王族は神の子孫と言われ、特殊な力があり自分が持つ力を引き換えにその力相応の願いを叶えることができると言われている。これは代々王位継承者のみ伝わる内容だ」
はぁーと肩を落としアーサーは続け、
「初代王様は光の精霊王から力を授かり、聖なる力を子孫末裔使えるように自分の生命と引き換えに願いをしたと言われている。
これを我らは生命の契約と言い生命を使うために滅多に使うなと代々言われている。リズにも王位継承の際に伝えようと思っていた」
王妃が顔面蒼白になりながら口を挟む。
「あ、あ、あなた。もしかして、リンダは………」
「そうだ……。恐らくリンダは|生命の契約をした。婚儀を迎えるあの子に私は話をしたんだ。そして、あの事件の後自らの胸を短剣で刺し亡くなったんだ」
あーっと悲鳴をあげ王妃が泣き出し、リズもリチャードに支えながら涙を流す。
「何を願ったかはわからない。国に平和か、賊への恨みか、愛する人の幸せか…。リーリラよ、勝手に力を使うことは許さない」
アーサーはリーリラにきつい口調で言う。
「お父様!私だって役に立ちたい!
私の命で我が一族の危険が減るのよ!」
アーサーは苦渋の表情になる。
「もし、この力を消し去ることができるなら、王様や神殿の者達が攫われる心配がなくなります。可能ならその策は有効かと思われます」
リチャードは伏し目がちに話す。
「だめよ。リーリラ!」
王妃がリーリラを抱きしめる。
「そうよ、リチャードひどいわ」
リズが泣きながら怒る。
「リズには申し訳ないが、力を隠し続けるくらいなら力はない現実の方がいい決まっている。ダリルさんの報告によると周辺国には聖なる力や精霊さえいない。人はないものを欲しくなる生き物なんだ。あれば必ず狙われる。国王様、ご決断を!!」
リチャードはリズと目を合わせずに王に懇願する。
「待ってよ、リチャード!この力が欲しいなら他国でも癒しの力を使えばいいじゃない。
平等に他の国を周り、平和的に解決すればいいじゃない」
「力が強い、君やリーリラ様や神殿長達が他国を回るのか?強欲な奴等は君を我が者にしようと奪ってくるよ、君が攫われたら?お腹の子も攫われるかもしれないんだぞ」
ウッと反論できないリズは泣き崩れる。
「お姉様、泣かないで。私もずっと考えてきました。私の特別な力は敵と戦い続けるためなのかそれとも初代様が子孫に残した力を無にするためなのか…。答えは後者だと判断しました。きっと、みんなわかってるんでしょう?私が戦うことなんて出来ない、人を殺めるなんて尚更出来ないって。だから敵に見つからないように私を隠してくれたんでしょう。大丈夫、私も覚悟の上です」
「すまない…リーリラ」
アーサーは涙を隠す為に顔を覆う。そして、マリーとリズも泣きながらリーリラを抱き締めた。
結界の破壊とリーリラの契約は内密に行われ、結界、聖なる力が消滅後に結果のみ民に告知されることとなった。
同じ部屋にいたジャックはこの決断にに動揺し涙する。
「私の義娘が…」
声を噛み殺し泣き、せっかく想いが通じたリーリラとカイルを不憫に思うのだった。
その後、リズは予定日より早く男児を産み落とした。王子の誕生に国中、祝いムードのとなる。そして急遽、リズは国を治める女王として戴冠を受けたのだった。
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