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第4章 不穏な気配の訪れ
第6話 国を救うための方法ー1ー
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「リーリラ、起きて」
明け方、いつの間に眠ってしまったリーリラをカイルは起こす。
「う、うん。兄さん?今帰ったの?」
「いや、国王様がリーリラの顔が見たいから連れてきてほしいって。準備出来る?」
「わかったわ」
簡単な身支度を整えて頭から外套を覆う。
カイルはリーリラを馬に乗せると王城へ向かう。タイミングよくジャックが迎えに来てくれ王の執務室へと案内してくれた。
執務室にはリーリラの来るのを今か今かと待った、アーサーとマリー、リズそしてリチャードが待っていた。
「良かった、良かった。無事で、本当に良かった」
アーサーがリーリラをぎゅっと抱き締める。
「あなたを確認しなければ、わたくし、わたくし」
マリーはリンダのことを思い出したのか泣き崩れる。
「本当よ、どれだけ胎教に悪いか…」
リズもホッと安堵した表情になる。
「エステール家の従者の連絡があったから救出も早かったんだよ」
とリチャードが話すとジャックも頷く。
「本当にごめんなさい…。まさか、村に近い森で遭遇するなんて思ってもいなくて。本当に心配かけました。お父様、あの者はリンダお姉様を襲った賊の仲間なのですか?」
「いや違う。南の山を越えた国の者だ。この国を調べるためにきた諜報部隊だろう。我が国の一人が他国へ行き、我が国の噂が流した話は知っているな?」
「はい」
「捕まえた者に吐かしたところ、住んでいる領主に依頼され諜報活動を行っていたそうだ。本格的にこちらと接触行うために活動しているらしい。諜報活動をさせているダリルからの報告によると、我が国の周りには北には小国がいくつか、南、東、西には大きな国があるようだ。特に南の国に我が国に噂が流れているんだ」
「どのような噂なのですか?」
「不老不死、どんな病、傷も治せる魔女が住む国と過剰な噂が流れているようだ。その噂が事実か確認する為に諜報活動をしていたようだ。今回、我が騎士の何人かを勧誘し、おまえとサーラを連れ去ろうと考えていたようだ。力は見られたか?」
「……。サーラの力は見られました」
「そうか……。南の国は宗教国家のようで、我らの力を国の権力維持のために利用しようと考えているかもしれない」
アーサーはリズに目を向けるとリズが頷き話し出した。
「実は、東の国アンデルクとの国交を開こうと考えているの。何回も書簡でやり取りをして今、我が国の大使がアンデルクに訪問しているのよ。国交を開く為に南東の山道を開通している最中なのよ」
「そう言えば道を造っていましたね」
リズはそうよと頷くとダリルの報告の説明をリーリラに始めた。
アンデルク国は歴史も長く周辺国で一番豊かで高い文化を持っており、今後、国の交易も考えると大変望ましい国であった。南の国よりもアンデルク国の接触を優先し、大差をつけてからゾーンと接触を図ろうという見解だった。
「お姉様すごいです!」
リズは首を振ると、
「私だけの考えじゃないわ。リチャードや周りの協力がなかったら踏み出せなかったから。この子が産まれてたら女王として王位を継承し、誰一人傷つけることなくみなが幸せを導けるように国を開いていかたいから」
リチャードも話に加わり、
「まもなくアンデルク国からの大使達も戻ってくるだろう。今度は彼の国から訪問された際に精霊と王族の力をどうするかなんだ。王族の力は隠せばいいが精霊は人によっては光の球として見えてしまう。もし正直に話す場合、ゾーン国のように噂が加速しないかどうかとか問題は山積みだよ」
とやれやれどうしたものかと手を上げた。
「私にいい案があります」
リーリラの一言にみなが注目した。
明け方、いつの間に眠ってしまったリーリラをカイルは起こす。
「う、うん。兄さん?今帰ったの?」
「いや、国王様がリーリラの顔が見たいから連れてきてほしいって。準備出来る?」
「わかったわ」
簡単な身支度を整えて頭から外套を覆う。
カイルはリーリラを馬に乗せると王城へ向かう。タイミングよくジャックが迎えに来てくれ王の執務室へと案内してくれた。
執務室にはリーリラの来るのを今か今かと待った、アーサーとマリー、リズそしてリチャードが待っていた。
「良かった、良かった。無事で、本当に良かった」
アーサーがリーリラをぎゅっと抱き締める。
「あなたを確認しなければ、わたくし、わたくし」
マリーはリンダのことを思い出したのか泣き崩れる。
「本当よ、どれだけ胎教に悪いか…」
リズもホッと安堵した表情になる。
「エステール家の従者の連絡があったから救出も早かったんだよ」
とリチャードが話すとジャックも頷く。
「本当にごめんなさい…。まさか、村に近い森で遭遇するなんて思ってもいなくて。本当に心配かけました。お父様、あの者はリンダお姉様を襲った賊の仲間なのですか?」
「いや違う。南の山を越えた国の者だ。この国を調べるためにきた諜報部隊だろう。我が国の一人が他国へ行き、我が国の噂が流した話は知っているな?」
「はい」
「捕まえた者に吐かしたところ、住んでいる領主に依頼され諜報活動を行っていたそうだ。本格的にこちらと接触行うために活動しているらしい。諜報活動をさせているダリルからの報告によると、我が国の周りには北には小国がいくつか、南、東、西には大きな国があるようだ。特に南の国に我が国に噂が流れているんだ」
「どのような噂なのですか?」
「不老不死、どんな病、傷も治せる魔女が住む国と過剰な噂が流れているようだ。その噂が事実か確認する為に諜報活動をしていたようだ。今回、我が騎士の何人かを勧誘し、おまえとサーラを連れ去ろうと考えていたようだ。力は見られたか?」
「……。サーラの力は見られました」
「そうか……。南の国は宗教国家のようで、我らの力を国の権力維持のために利用しようと考えているかもしれない」
アーサーはリズに目を向けるとリズが頷き話し出した。
「実は、東の国アンデルクとの国交を開こうと考えているの。何回も書簡でやり取りをして今、我が国の大使がアンデルクに訪問しているのよ。国交を開く為に南東の山道を開通している最中なのよ」
「そう言えば道を造っていましたね」
リズはそうよと頷くとダリルの報告の説明をリーリラに始めた。
アンデルク国は歴史も長く周辺国で一番豊かで高い文化を持っており、今後、国の交易も考えると大変望ましい国であった。南の国よりもアンデルク国の接触を優先し、大差をつけてからゾーンと接触を図ろうという見解だった。
「お姉様すごいです!」
リズは首を振ると、
「私だけの考えじゃないわ。リチャードや周りの協力がなかったら踏み出せなかったから。この子が産まれてたら女王として王位を継承し、誰一人傷つけることなくみなが幸せを導けるように国を開いていかたいから」
リチャードも話に加わり、
「まもなくアンデルク国からの大使達も戻ってくるだろう。今度は彼の国から訪問された際に精霊と王族の力をどうするかなんだ。王族の力は隠せばいいが精霊は人によっては光の球として見えてしまう。もし正直に話す場合、ゾーン国のように噂が加速しないかどうかとか問題は山積みだよ」
とやれやれどうしたものかと手を上げた。
「私にいい案があります」
リーリラの一言にみなが注目した。
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