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第4章 不穏な気配の訪れ
第4話 囚われの身の少女達ー2ー
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再び山を登り始めると後ろから気配を感じる。
シューン
光が向かって来た。
精霊達が助けに来てくれたようだ。
『お待たせ、みんなを連れて来たよ』
リーリラは周りに精霊達の気配を感じる。
リーリラはサーラに合図を送る。サーラも精霊達の気配に気付いるようだ。二人は手を繋ぎ逃げるタイミングを計る。
『リーリラ、待たせたな。カイルもいるぞ』
遠くからエクストリアの念話も届きほっとするリーリラ。
光の精霊のカヤックがリーリラの肩にのる。
「カヤック、逃げる為に男達の目を眩ませて」
『うん、わかった』
『えい!!』
空に閃光の光が飛び散る。
「うわぁッ!!」
あまりの眩しい光に俺達が目を押さ覆う。
「今よ!」
リーリラとサーラは咄嗟に動く。
「待て!!お前ら」
男の一人が懐からナイフを出しサーラめがけ投げようとした。リーリラは気配に気付き、土の精霊に壁を作るように命じる。
「土よ盛り上がれ」
土が盛り上がり二人を守る。
カキーン
ナイフも騎士が矢で落としてくれた。
「土壁ありがと」
「いいから、サーラ!走って!」
サーラの背中を押して二人は走ろうとする。
しかし、リーリラの腕をぐいっとあの悪態のついた裏切り者の騎士が掴み引き寄せた。
「こうなったらおまえだけは連れて行く!」
「ラリー!!」
「サーラ、私は大丈夫だから助けを呼んで。走って!」
「わかったわ、待ってて」
サーラは騎士達に手を振りながら
「私達はここよー!助けてー!」
と騎士達の方へ走っていく。
「さぁ、行くぞ!!」
「離せ!!」
引き摺られるように裏切り者の騎士に手を取らる。周りを見ると助けに来た王都の騎士達も追いつき、敵と戦闘になっていた。
「死ねー!!」
敵が騎士に向かって剣を向けている。
カキン
カキン
「敵を打て!」
矢が男の胸に当たる。
ヒュン
グサッ
「うっ…」
口から血を吐き出し、倒れていく。
「ギャァー!!」
「アーッッ!!」
人々の叫びが聞こえている。
リーリラは真横で繰り広げられている戦いが目に入り恐怖で混乱していく。
「さっさと歩け!殺すぞ!」
騎士がリーリラを掴む手が更にキツくなる。
「痛い!」
シュッパッ!
と勢いがある風が裏切り者の騎士の頬を掠め、頬を切っていく。
精霊がリーリラを助けようと裏切り者の騎士を攻撃している。
シュッパッ!
シュッパッ!
「クソッ、なんだこの風!」
裏切り者の騎士の目の前でカヤックが光の閃光を出す
「うわぁ!」
騎士は目を覆い、リーリラの腕を掴んでいた手が離れる。
ーー逃げなくちゃ
と震え足を叱咤し走ろうとするが足が絡れ倒れこむ。
「このガキ!精霊を使ったなぁー!!」
激昂した裏切り者の騎士は剣を抜きリーリラを斬りつけようとする。あまりの恐怖に目を瞑るリーリラ。
カキン!!
斬りつけられた感触がなく目を開けるとカイルが騎士の剣を受け止めていた。
「兄さん…」
「遅くなった…、少し離れていなさい」
リーリラはうんと頷くと震えながら動き出す。
ふと見るとカイルの手にはエクストリアがあった。
『カイルのお手並みを拝見だな…』
エクストリアもこの状況を楽しんでいるようだ。
激昂した裏切り者の騎士が叫ぶ。
「また、おまえかぁ!!」
剣を振り上げカイルに向かって来た。
カキン!!
「敵側につくとは愚かな!!」
「うるさい!!!おまえばかり!おまえばかり!!!」
カン!
カン!
グサッ
「我が姫様に危害を与えようとした罰だ」
「うっ……」
カイルは裏切り者の騎士を刺し殺す。
「ひぃっ!」
カイルが裏切り者の騎士を刺す瞬間、叫びそうになった口をリーリラは両手で押さえた。周りに目をやると王都の騎士達が敵からの攻撃で怪我をしていたり、敵が無残に斬り殺され血の海になっている光景にリーリラは呆然とする。
「あっ、あっ……」
ーーこんなに人はいとも簡単に死ぬの…
「リーリラ」
名を呼ばれ我に返ったリーリラをカイルが駆け寄り抱き締める。
「兄さん……。こ、怖かった…」
と声を噛み殺してうっ、うっと泣き出す。
「あ、あいつは…」
「大丈夫、俺が倒したから。安心して」
「う、ん……」
「ラリーはいたか!」
ジャックも二人に駆け寄り、リーリラの安全を確認した後騎士達に命ずる。
「息のある敵も亡骸も全て城に運ベ!」
「はっ!!」
息を切らしながら山をあがってきたマルクスはサーラを見つけると
「サーラ!!!」
と叫び抱き締めた。
「マルクス、怖かった~。助けにきてくれるって信じてた~」
「君はどれほど私を心配させるんだ…」
「ごめんなさい、ごめんなさい」
「良かった、無事で、本当に無事で良かった」
マルクスは泣きじゃくるサーラをぎゅっと抱き締めた。
「さぁ、家に帰ろう」
「うん」
カイルは震えるリーリラを抱きかかえると山を下り始めた。
シューン
光が向かって来た。
精霊達が助けに来てくれたようだ。
『お待たせ、みんなを連れて来たよ』
リーリラは周りに精霊達の気配を感じる。
リーリラはサーラに合図を送る。サーラも精霊達の気配に気付いるようだ。二人は手を繋ぎ逃げるタイミングを計る。
『リーリラ、待たせたな。カイルもいるぞ』
遠くからエクストリアの念話も届きほっとするリーリラ。
光の精霊のカヤックがリーリラの肩にのる。
「カヤック、逃げる為に男達の目を眩ませて」
『うん、わかった』
『えい!!』
空に閃光の光が飛び散る。
「うわぁッ!!」
あまりの眩しい光に俺達が目を押さ覆う。
「今よ!」
リーリラとサーラは咄嗟に動く。
「待て!!お前ら」
男の一人が懐からナイフを出しサーラめがけ投げようとした。リーリラは気配に気付き、土の精霊に壁を作るように命じる。
「土よ盛り上がれ」
土が盛り上がり二人を守る。
カキーン
ナイフも騎士が矢で落としてくれた。
「土壁ありがと」
「いいから、サーラ!走って!」
サーラの背中を押して二人は走ろうとする。
しかし、リーリラの腕をぐいっとあの悪態のついた裏切り者の騎士が掴み引き寄せた。
「こうなったらおまえだけは連れて行く!」
「ラリー!!」
「サーラ、私は大丈夫だから助けを呼んで。走って!」
「わかったわ、待ってて」
サーラは騎士達に手を振りながら
「私達はここよー!助けてー!」
と騎士達の方へ走っていく。
「さぁ、行くぞ!!」
「離せ!!」
引き摺られるように裏切り者の騎士に手を取らる。周りを見ると助けに来た王都の騎士達も追いつき、敵と戦闘になっていた。
「死ねー!!」
敵が騎士に向かって剣を向けている。
カキン
カキン
「敵を打て!」
矢が男の胸に当たる。
ヒュン
グサッ
「うっ…」
口から血を吐き出し、倒れていく。
「ギャァー!!」
「アーッッ!!」
人々の叫びが聞こえている。
リーリラは真横で繰り広げられている戦いが目に入り恐怖で混乱していく。
「さっさと歩け!殺すぞ!」
騎士がリーリラを掴む手が更にキツくなる。
「痛い!」
シュッパッ!
と勢いがある風が裏切り者の騎士の頬を掠め、頬を切っていく。
精霊がリーリラを助けようと裏切り者の騎士を攻撃している。
シュッパッ!
シュッパッ!
「クソッ、なんだこの風!」
裏切り者の騎士の目の前でカヤックが光の閃光を出す
「うわぁ!」
騎士は目を覆い、リーリラの腕を掴んでいた手が離れる。
ーー逃げなくちゃ
と震え足を叱咤し走ろうとするが足が絡れ倒れこむ。
「このガキ!精霊を使ったなぁー!!」
激昂した裏切り者の騎士は剣を抜きリーリラを斬りつけようとする。あまりの恐怖に目を瞑るリーリラ。
カキン!!
斬りつけられた感触がなく目を開けるとカイルが騎士の剣を受け止めていた。
「兄さん…」
「遅くなった…、少し離れていなさい」
リーリラはうんと頷くと震えながら動き出す。
ふと見るとカイルの手にはエクストリアがあった。
『カイルのお手並みを拝見だな…』
エクストリアもこの状況を楽しんでいるようだ。
激昂した裏切り者の騎士が叫ぶ。
「また、おまえかぁ!!」
剣を振り上げカイルに向かって来た。
カキン!!
「敵側につくとは愚かな!!」
「うるさい!!!おまえばかり!おまえばかり!!!」
カン!
カン!
グサッ
「我が姫様に危害を与えようとした罰だ」
「うっ……」
カイルは裏切り者の騎士を刺し殺す。
「ひぃっ!」
カイルが裏切り者の騎士を刺す瞬間、叫びそうになった口をリーリラは両手で押さえた。周りに目をやると王都の騎士達が敵からの攻撃で怪我をしていたり、敵が無残に斬り殺され血の海になっている光景にリーリラは呆然とする。
「あっ、あっ……」
ーーこんなに人はいとも簡単に死ぬの…
「リーリラ」
名を呼ばれ我に返ったリーリラをカイルが駆け寄り抱き締める。
「兄さん……。こ、怖かった…」
と声を噛み殺してうっ、うっと泣き出す。
「あ、あいつは…」
「大丈夫、俺が倒したから。安心して」
「う、ん……」
「ラリーはいたか!」
ジャックも二人に駆け寄り、リーリラの安全を確認した後騎士達に命ずる。
「息のある敵も亡骸も全て城に運ベ!」
「はっ!!」
息を切らしながら山をあがってきたマルクスはサーラを見つけると
「サーラ!!!」
と叫び抱き締めた。
「マルクス、怖かった~。助けにきてくれるって信じてた~」
「君はどれほど私を心配させるんだ…」
「ごめんなさい、ごめんなさい」
「良かった、無事で、本当に無事で良かった」
マルクスは泣きじゃくるサーラをぎゅっと抱き締めた。
「さぁ、家に帰ろう」
「うん」
カイルは震えるリーリラを抱きかかえると山を下り始めた。
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