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第1章 幼き精霊に愛されし王女
第7話 男の子になった王女
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リーリラはエステール家に養子に迎えられ一年が経った。その後、国には外部からの敵もこず、平和な日々が続いていた。
養父であるジャックはいつかくる敵からリーリラを守る為に男の子として育てることを決める。さすがに女の子に剣を教えていると周囲からも不審がられるだろうという理由もあった。
妻のルマンダは躊躇したが美しく長かった髪も短く男の子ように切り、銀色の髪は目立つ為に金色のカツラを外出時にはつけさせ、瞳の色も光の精霊に頼み他者には青色に見えないように力を使ってもらっている。名前もラリーと名乗り、ジャックが捨て子を拾い養子として迎えたと公では知られていた。
まさか第3王女の潜伏先とは誰も気がついていない。
「いち、にー、いち、にー」
リーリラは精霊の剣エクストリアを振り上げ練習し、傍では養父のジャックと義兄のカイルが打ち稽古をしている。
『次で100回だぞー』
とエクストリアに言われ、最後の一回を剣を振る。
「おとーさん!100回出来たよ!」
元気よく声を掛ける。
リーリラの声を聞き、ジャックは手を止め、リーリラの頭を撫で、良く出来ましたと褒めてやった。
「カイル、ラリーに打ち稽古をつけてやれ。」
「えっ?!また、僕??はぁーー。じゃあ、ひめ、ちがった…。ラリー、僕に向かって打ってきて。剣様手加減してくださいよ。このあと学校あるんだから…」
「馬鹿もん!騎士ならいつなんどきどんな攻撃でも受けなさい!!」
とコッツとジャックはカイルに拳骨をする。
「いたた…。じゃあ、自分がやればいいのに
…。まったくぶつぶつ…」
『リーリラ、カイルを打ち負かすぞ!力を渡せ!』
リーリラもやるぞ!と気合いをいれると、剣はリーリラから力を受け取り銀色に輝く。
「うわっ、また剣が輝いたよ…。しなくていいのにパワーアップしてる」
カイルは顔を青くしながらぎゅっと剣握る。
「カイル兄さん、いくよ!たぁーー!」
ヒューっと風を引き連れリーリラはカイルに一撃を入れる。
カン!
カン!
「重いーー」
カイルは後退していく。
カン!
カーン!
「うわぁー」
カイルは最後の込められた一打に身体ごと飛ばされる。
「いたた…」
「カイル、よく受け身を取れたな。良くやった。ラリーも頑張って剣を振れたな。偉いぞ」
リーリラは褒められて嬉しそうにぴょんぴょん跳ねる。カイルも次こそはあの一撃を読んで受け止めてやると意気込む。
「光の精霊よ、兄さんを癒して」
とリーリラに付いている精霊がカイルに光を浴びせる。キラキラ光りカイルの尻もちをついた箇所を癒してくれる。
「うわぁ、楽になった。ありがとう」
この剣稽古がエステール家の毎朝の光景だ。リーリラは剣を使いこなせるようにジャックから剣の指南を受け、義兄のカイルも一緒に剣稽古の相手をしている。
リーリラもエクストリアを手にしてから悩まされていた体調不良も改善した。力を使わない為に身体に力が籠り、溜まりすぎた力が熱を引き起こす原因だったのだ。エクストリアにより力を使うことを教えられ、リーリラは精霊達を使役したり、剣を使い、力を外に出すことでようやく身体に力が溜まらなくなったのだ。
「さぁ、朝御飯にしよう。はやくしないと二人とも学校に遅れるぞ」
「「はーい!」」
「私、お腹ぺこぺこ」
「ラリー、家まで競争だ!」
「はーい!」
と二人はバタバタと走りながら家に入って行く。
「あの光の力はやはり目立つな。精霊の剣を使わずに戦えるように剣の腕をあげなくてはならないなぁ。課題は多いな…」
二人の走り行く背中を見ながら、ジャックは溜息を吐きながらリーリラをどのように成長させていこうと悩むのだった。
養父であるジャックはいつかくる敵からリーリラを守る為に男の子として育てることを決める。さすがに女の子に剣を教えていると周囲からも不審がられるだろうという理由もあった。
妻のルマンダは躊躇したが美しく長かった髪も短く男の子ように切り、銀色の髪は目立つ為に金色のカツラを外出時にはつけさせ、瞳の色も光の精霊に頼み他者には青色に見えないように力を使ってもらっている。名前もラリーと名乗り、ジャックが捨て子を拾い養子として迎えたと公では知られていた。
まさか第3王女の潜伏先とは誰も気がついていない。
「いち、にー、いち、にー」
リーリラは精霊の剣エクストリアを振り上げ練習し、傍では養父のジャックと義兄のカイルが打ち稽古をしている。
『次で100回だぞー』
とエクストリアに言われ、最後の一回を剣を振る。
「おとーさん!100回出来たよ!」
元気よく声を掛ける。
リーリラの声を聞き、ジャックは手を止め、リーリラの頭を撫で、良く出来ましたと褒めてやった。
「カイル、ラリーに打ち稽古をつけてやれ。」
「えっ?!また、僕??はぁーー。じゃあ、ひめ、ちがった…。ラリー、僕に向かって打ってきて。剣様手加減してくださいよ。このあと学校あるんだから…」
「馬鹿もん!騎士ならいつなんどきどんな攻撃でも受けなさい!!」
とコッツとジャックはカイルに拳骨をする。
「いたた…。じゃあ、自分がやればいいのに
…。まったくぶつぶつ…」
『リーリラ、カイルを打ち負かすぞ!力を渡せ!』
リーリラもやるぞ!と気合いをいれると、剣はリーリラから力を受け取り銀色に輝く。
「うわっ、また剣が輝いたよ…。しなくていいのにパワーアップしてる」
カイルは顔を青くしながらぎゅっと剣握る。
「カイル兄さん、いくよ!たぁーー!」
ヒューっと風を引き連れリーリラはカイルに一撃を入れる。
カン!
カン!
「重いーー」
カイルは後退していく。
カン!
カーン!
「うわぁー」
カイルは最後の込められた一打に身体ごと飛ばされる。
「いたた…」
「カイル、よく受け身を取れたな。良くやった。ラリーも頑張って剣を振れたな。偉いぞ」
リーリラは褒められて嬉しそうにぴょんぴょん跳ねる。カイルも次こそはあの一撃を読んで受け止めてやると意気込む。
「光の精霊よ、兄さんを癒して」
とリーリラに付いている精霊がカイルに光を浴びせる。キラキラ光りカイルの尻もちをついた箇所を癒してくれる。
「うわぁ、楽になった。ありがとう」
この剣稽古がエステール家の毎朝の光景だ。リーリラは剣を使いこなせるようにジャックから剣の指南を受け、義兄のカイルも一緒に剣稽古の相手をしている。
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「さぁ、朝御飯にしよう。はやくしないと二人とも学校に遅れるぞ」
「「はーい!」」
「私、お腹ぺこぺこ」
「ラリー、家まで競争だ!」
「はーい!」
と二人はバタバタと走りながら家に入って行く。
「あの光の力はやはり目立つな。精霊の剣を使わずに戦えるように剣の腕をあげなくてはならないなぁ。課題は多いな…」
二人の走り行く背中を見ながら、ジャックは溜息を吐きながらリーリラをどのように成長させていこうと悩むのだった。
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