おいでやす、きつね(九尾の狐?!)のお宿へ

京極冨蘭

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第ニ章

第6話 沙都の一撃

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 伏見は、桃山断層を通り抜けた上質で豊富な伏流水に恵まれた地で「伏水ふしみず」として水が有名だ。伏見周辺ではその水を使い酒が作れ、やわらかくふくよかな味わいの美酒を生み出す日本有数の銘醸地なのだ。
 伏見にある御香宮では伏水が湧き出ており、参拝がてらに水を頂きに来る人もいる。

 風呂から上がった匡達は話を聞くために食事処にて冷たい伏見の地酒を嗜んでいた。

「風呂上がりの一杯は美味しい」

「この宿は準備がいいのね」
風呂上がりの神野夫妻は冷酒をグイッと口に運んだ。

「沙都がたまに夜晩酌してるんだ!俺ものみたい~」

「駄目だ、駄目だ、子供が飲んだら大きくならないぞ」
匡は孫を見るような優しい眼差しで紅太郎をたしなめた。

「ケチー」

「そうやで、コンちゃん。まだ、小さい身体やねんからこの国の法は子供のあんたにはアルコールはあかんのや、牛乳やで」

と沙都は紅太郎の前にイチゴミルクを置くと紅太郎は文句を言いつつも甘い味の牛乳を喜んで飲み干した。

「おつまみ、簡単な物しか作れないですけど…」
とテーブルに並べるとヨッこっらしょと俵型の人形がテクテクとおつまみに手を出そうとした。

バシッ!!

「この汚い妖めッ」

『ヒィ~ッ、この人間にもワシがみえるんかいな~』

「見えるわよ!!」

沙都は金霊を摘み手で思いっきり弾いてやると金霊は痛いよ~と泣き出した。

「妖がいるの??」
不思議そうにみよこは首を傾げると、
「あぁ、ここにいるんだ」
とテーブルに置かれた金霊を撫でてやった。

「たーはん、あの女がわてを虐めるー」
と金霊は匡の手に泣きついた。

「いやぁ、紅太郎くんのおかげで金霊のことを思い出したよ、この妖が私を救ってくれたんだと……」

 匡はみよこに幼少期に置かれていた状況から金霊の契約について語った。

「だから貴方の周りの方の不審死や私の病も関係してるのかしら」
みよこは納得するように頷いた。

「私は貴方金霊に命を取られるのかしら」
みよこは意を決し、金霊がいるだろうと思われる方向に切り出した。

「奥様、駄目です、こんなGみたいな奴、私が潰してやりますッ!!」

沙都は「とりゃあー」と平手で金霊を思い切り叩くとグチャリと体液を撒き散らし潰してしまった。

「沙都ッ」
「「沙都ちゃん……」」

紅太郎と匡達は沙都の突然の行動に唖然と驚いたが飛び散った身体の破片はすぐに戻り、金霊の実体へと復活した。

「あ、あんさん、なんなん、凄い霊力……今まで溜めた妖力、全部使ってしもたわ、な、なに、陰陽師??違う、桁違いの霊力やわ、お助けをー、妖狐様~」
と金霊はぶるぶると震えながら紅太郎の後に隠れた。


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