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第一章
第7話 狐の子、紅太郎
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食卓を囲みながら私は妖怪の子に質問をする。
「どうして桐箱に入ってたん?」
「話せば長くなる……」
男の子の姿をした狐の妖怪は悲しそうな表情を浮かべ話し始めた。
母狐の妖怪と京都に来た子狐は母の用事が済むまで伏見稲荷で時間を潰すように言われたそうだ。
初めてきた人間界、おこづかいをもらい、買い食いでも楽しもうとした矢先、怪しい人間に見つかってしまったのだ。身体を九等分に分身させ逃げるが、次々に人間に見つかり、封印されたそうだ。
最後に残った自身も必死に逃げ、母狐が助けを待っていたが、何年、何百年、何千年と待ち続けたが迎えはなかったようだ。この間、偶然にも霊気が強い人間が子狐に霊力を与え、どうにか今まで持ち堪えることが出来たそうだ。
「もう、俺は駄目だと思ったんだ…
でも、懐かしい気が漂ってきて、最後の力を振り絞って鳴いたんだ……
助けてくれって……
そして、おまえが来た……
た、助けてくれて……
あ、ありがとう!!
お、俺様が人間に礼を言うなんてっ!!
おまえっ!感謝しろよ」
「あ、えっ?うん…なんで私が感謝しなあかんねん……まぁ、言いわ、名前なんて言うん?」
「俺の名は紅太郎だ!カッコイイ名前だろう!」
子狐の妖怪は口の周りにご飯をつけながら私ににかっと笑う。
「ふふふ、ご飯ついてるわよ」
紅太郎のご飯粒を取ってやると、彼は不思議そうに私を見上げた。
「おまえ、おっかあみたい……」
紅太郎の大きな瞳から涙が一粒落ちる。
「おっかあに会いたい…よぉ」
紅太郎はポンと再び子狐の姿になるとシクシクと泣き出した。可哀想に感じた私は紅太郎を膝に乗せ、宥めるように赤茶色のモフモフ背中を撫でてやる。
「長い間我慢したんだね、私もお母さんが死んじゃてね、一人って寂しいよね」
「コン、コン、コン」
「よし、よし、元気出しなさい」
紅太郎のフカフカした背中をポン、ポンと優しく撫でながら1匹、狐を飼うぐらい問題ないでしょと私はヨッシャと決意する。
「じゃあ、紅太郎、ウチに住みなよ、お母さん、一緒に探そう」
「コン…??コン?!コン!!」
「私の名前は沙都、コン、コン鳴くコンちゃん、よろしくね」
パコンと再び人間に変化した紅太郎は私の身体に抱きつき、
「おっかあを探してくれるのか?ありがとう、さと!!あの地にあった結界を壊してくれたり、飯食わせてくれたり、おまえいい奴だな」
と紅太郎は目をキラキラさせた。
「結界??」
「昔、結界石があることも知らずにあの家に逃げてしまったんだ、鬼門に大きな岩があるだろう、妖力も弱くなって、岩のせいであの家から出れなくなってしまったんだ」
と紅太郎はしょんぼりとする。
「岩……」
はっとすると岩を触った瞬間に確かに身体に電気が走ったのだ。
「私、結界壊すなんてすごくない!」
宿を営むのもいいが霊媒師になるのもありかもと私は真剣に考えたのだった。
「どうして桐箱に入ってたん?」
「話せば長くなる……」
男の子の姿をした狐の妖怪は悲しそうな表情を浮かべ話し始めた。
母狐の妖怪と京都に来た子狐は母の用事が済むまで伏見稲荷で時間を潰すように言われたそうだ。
初めてきた人間界、おこづかいをもらい、買い食いでも楽しもうとした矢先、怪しい人間に見つかってしまったのだ。身体を九等分に分身させ逃げるが、次々に人間に見つかり、封印されたそうだ。
最後に残った自身も必死に逃げ、母狐が助けを待っていたが、何年、何百年、何千年と待ち続けたが迎えはなかったようだ。この間、偶然にも霊気が強い人間が子狐に霊力を与え、どうにか今まで持ち堪えることが出来たそうだ。
「もう、俺は駄目だと思ったんだ…
でも、懐かしい気が漂ってきて、最後の力を振り絞って鳴いたんだ……
助けてくれって……
そして、おまえが来た……
た、助けてくれて……
あ、ありがとう!!
お、俺様が人間に礼を言うなんてっ!!
おまえっ!感謝しろよ」
「あ、えっ?うん…なんで私が感謝しなあかんねん……まぁ、言いわ、名前なんて言うん?」
「俺の名は紅太郎だ!カッコイイ名前だろう!」
子狐の妖怪は口の周りにご飯をつけながら私ににかっと笑う。
「ふふふ、ご飯ついてるわよ」
紅太郎のご飯粒を取ってやると、彼は不思議そうに私を見上げた。
「おまえ、おっかあみたい……」
紅太郎の大きな瞳から涙が一粒落ちる。
「おっかあに会いたい…よぉ」
紅太郎はポンと再び子狐の姿になるとシクシクと泣き出した。可哀想に感じた私は紅太郎を膝に乗せ、宥めるように赤茶色のモフモフ背中を撫でてやる。
「長い間我慢したんだね、私もお母さんが死んじゃてね、一人って寂しいよね」
「コン、コン、コン」
「よし、よし、元気出しなさい」
紅太郎のフカフカした背中をポン、ポンと優しく撫でながら1匹、狐を飼うぐらい問題ないでしょと私はヨッシャと決意する。
「じゃあ、紅太郎、ウチに住みなよ、お母さん、一緒に探そう」
「コン…??コン?!コン!!」
「私の名前は沙都、コン、コン鳴くコンちゃん、よろしくね」
パコンと再び人間に変化した紅太郎は私の身体に抱きつき、
「おっかあを探してくれるのか?ありがとう、さと!!あの地にあった結界を壊してくれたり、飯食わせてくれたり、おまえいい奴だな」
と紅太郎は目をキラキラさせた。
「結界??」
「昔、結界石があることも知らずにあの家に逃げてしまったんだ、鬼門に大きな岩があるだろう、妖力も弱くなって、岩のせいであの家から出れなくなってしまったんだ」
と紅太郎はしょんぼりとする。
「岩……」
はっとすると岩を触った瞬間に確かに身体に電気が走ったのだ。
「私、結界壊すなんてすごくない!」
宿を営むのもいいが霊媒師になるのもありかもと私は真剣に考えたのだった。
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