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第一章
第6話 夕食は焼肉
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その夜、私は肉を焼くのに大忙しだった。
ジュー、ジュー
「肉だけじゃなくて、野菜も食べなさい!」
「嫌だ!!俺様は野菜なんか食べない!」
「じゃあ、肉あげへん」
「なんて、卑怯な!!」
「ガキのくせに卑怯とか知ってるんや、ほら、ご飯も一緒に食べ、後でお腹へるで」
「モグ、モグ、飯なんていらねぇ、酒だせ」
私はすぐさま子供の頭に拳骨を落とす。
「何が酒や、子供は飲んだらあかんやろ、ほんま、口ばっかり達者な妖怪の子やな」
私はスプーンにご飯を掬うと子供の口に放り込む。
「うーっ、勝手に口の中にご飯入れんなよ~~、でも肉とご飯って合うな…モグ、モグ、モグ」
「そうやろ、そうやろ、あー、あんたのせいで私もお腹が減るわ」
私は熱々の肉を箸で掴み、タレをたっぷりつけて、かぷりと口の中に放り込んだ。
◇◇◇
2時間前
動物病院に一緒に連れて行こうという井ノ上さんからの申し出を断り、家まで送ってもらった私は保護した犬をガスファンヒーターの前に置き、温めてやる。
「ほらあったかいやろ。ミルクも温めようかな……それにしてもなんであんなボロ家買うって言ったん、私?」
首を傾げながら冷蔵庫から栄養ドリンクを取り出し、ぐびっと飲み干す。同時に牛乳を取り出し、電子レンジで温める。
「ごはんもいるよね、犬って何たべるんやろ…あーさむ、さむ」
コタツの電源をつけ、暖を取るために足を入れると、スマホで犬、餌と調べた。
ゴソ、ゴソ
ガスファンヒーターの前に置いた犬が動き出した。
「ワンちゃん、大丈夫?ミルク温めたから飲み、なんかごはん、ドックフードでも買ってくるから待ってて」
と声をかけるとストールの中にいた赤茶色の犬が目をパチッと開いていた。
——きゃあ~
なかなか可愛い犬やん…
柴犬?赤色やから雑種か??
頭を撫でてやると犬は嬉しそうに目を細めた。
——あれっ、また、力が抜ける……
犬を撫でる度に段々と自分の力が抜けていくようだ。
——まさか、この犬のせいじゃ…
と手を離し、背筋がヒヤリとした瞬間、犬と目が合う。犬がニヤリと笑ったように見えた。
ポンッ
とフワリと風が起こるとその瞬間、犬が裸姿の2歳位の男の子に変わったのだ。
「ヒィッ!!な、なに?!」
突然のことに驚いた私は、腰を抜かし、尻餅をつく。
「おまえか?俺を助けてくれたのは?」
小さな男の子が立ち上がりハキハキと喋りだした。
「君、誰?ま、まさか、さっきの犬??」
「犬じゃない!!妖狐だ!おまえ、狐を知らないのか??」
小さな男の子を偉そうに腕組みをしながら私を見上げた。
犬、いや狐が人間に変身するなんて、お伽噺じゃあるまいしと考えるが、目の前に立つ男の子のお尻から長い尻尾がパタ、パタと見え、これは現実であることを認識する。
「あ、あんた、も、もしかして、狐の妖怪なの?!」
「ふふふ、我こそは妖怪の中の妖怪、九尾様だぁ」
「ギャァーッ!!悪霊退散!悪霊退散!神様、仏様、お母さん!助けてーー、食べないでー!!」
と手を合わせて、母の遺影に向かって助けを求めた。
「誰が悪霊だ!妖怪だよ!まったくッ、それにおまえを食べないよ、でも、お前の霊気を頂いたお陰で命拾いしだけど」
「霊気?!やっぱり、この疲れはあんたのせいなんや!!」
と大声を出す同時に私のお腹がグゥ~と鳴ると男の子のお腹も同じようにグゥ~と鳴った。
「腹が空いた…飯くれ!」
「お腹すいた…」
極度に襲う疲労感に座り込む。
「なんか肉でも食べたい。肉焼くか…」
そして私は、ヨロヨロと立ち上がり、台所で食事の準備を始めたのだ。
ジュー、ジュー
「肉だけじゃなくて、野菜も食べなさい!」
「嫌だ!!俺様は野菜なんか食べない!」
「じゃあ、肉あげへん」
「なんて、卑怯な!!」
「ガキのくせに卑怯とか知ってるんや、ほら、ご飯も一緒に食べ、後でお腹へるで」
「モグ、モグ、飯なんていらねぇ、酒だせ」
私はすぐさま子供の頭に拳骨を落とす。
「何が酒や、子供は飲んだらあかんやろ、ほんま、口ばっかり達者な妖怪の子やな」
私はスプーンにご飯を掬うと子供の口に放り込む。
「うーっ、勝手に口の中にご飯入れんなよ~~、でも肉とご飯って合うな…モグ、モグ、モグ」
「そうやろ、そうやろ、あー、あんたのせいで私もお腹が減るわ」
私は熱々の肉を箸で掴み、タレをたっぷりつけて、かぷりと口の中に放り込んだ。
◇◇◇
2時間前
動物病院に一緒に連れて行こうという井ノ上さんからの申し出を断り、家まで送ってもらった私は保護した犬をガスファンヒーターの前に置き、温めてやる。
「ほらあったかいやろ。ミルクも温めようかな……それにしてもなんであんなボロ家買うって言ったん、私?」
首を傾げながら冷蔵庫から栄養ドリンクを取り出し、ぐびっと飲み干す。同時に牛乳を取り出し、電子レンジで温める。
「ごはんもいるよね、犬って何たべるんやろ…あーさむ、さむ」
コタツの電源をつけ、暖を取るために足を入れると、スマホで犬、餌と調べた。
ゴソ、ゴソ
ガスファンヒーターの前に置いた犬が動き出した。
「ワンちゃん、大丈夫?ミルク温めたから飲み、なんかごはん、ドックフードでも買ってくるから待ってて」
と声をかけるとストールの中にいた赤茶色の犬が目をパチッと開いていた。
——きゃあ~
なかなか可愛い犬やん…
柴犬?赤色やから雑種か??
頭を撫でてやると犬は嬉しそうに目を細めた。
——あれっ、また、力が抜ける……
犬を撫でる度に段々と自分の力が抜けていくようだ。
——まさか、この犬のせいじゃ…
と手を離し、背筋がヒヤリとした瞬間、犬と目が合う。犬がニヤリと笑ったように見えた。
ポンッ
とフワリと風が起こるとその瞬間、犬が裸姿の2歳位の男の子に変わったのだ。
「ヒィッ!!な、なに?!」
突然のことに驚いた私は、腰を抜かし、尻餅をつく。
「おまえか?俺を助けてくれたのは?」
小さな男の子が立ち上がりハキハキと喋りだした。
「君、誰?ま、まさか、さっきの犬??」
「犬じゃない!!妖狐だ!おまえ、狐を知らないのか??」
小さな男の子を偉そうに腕組みをしながら私を見上げた。
犬、いや狐が人間に変身するなんて、お伽噺じゃあるまいしと考えるが、目の前に立つ男の子のお尻から長い尻尾がパタ、パタと見え、これは現実であることを認識する。
「あ、あんた、も、もしかして、狐の妖怪なの?!」
「ふふふ、我こそは妖怪の中の妖怪、九尾様だぁ」
「ギャァーッ!!悪霊退散!悪霊退散!神様、仏様、お母さん!助けてーー、食べないでー!!」
と手を合わせて、母の遺影に向かって助けを求めた。
「誰が悪霊だ!妖怪だよ!まったくッ、それにおまえを食べないよ、でも、お前の霊気を頂いたお陰で命拾いしだけど」
「霊気?!やっぱり、この疲れはあんたのせいなんや!!」
と大声を出す同時に私のお腹がグゥ~と鳴ると男の子のお腹も同じようにグゥ~と鳴った。
「腹が空いた…飯くれ!」
「お腹すいた…」
極度に襲う疲労感に座り込む。
「なんか肉でも食べたい。肉焼くか…」
そして私は、ヨロヨロと立ち上がり、台所で食事の準備を始めたのだ。
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