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第2章 旅立ち

6 不穏な影

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——クソッ、どうしてわからないだ!

「ピーッ、ピーッ」

紅色の翼を羽ばたかせ、俺は港から海へと飛ぶと、エメラルドグリーン色の海には沢山の船が行き交っている。

——昔はこんなに沢山の船はなかった…

翼を休めるために俺は一艘の船の帆に止まる。

——どうすれば皆にわかってもらえるん
  だッ!!

俺はイライラしながら帆にプスッ、プスッ、プスッとくちばしで突き穴を開けていると下から声がする。

「まもなく港に着くぞーーッ、おまえ、この髪は目立つから早く隠せ」

「わかったよ、ヒッヒッヒッヒ」

白銀色の髪をした男は瓶を持ってくると頭に液をぶっかけた。髪の色は真っ黒になり、別人に変わっていく。

「俺も貸せ」
ともう1人の男も瓶を奪い、液体を頭にかけると黒色に変わっていく。

——アイツらは、あの時の……  

髪の色は変わったが男達の瞳は合唱していた子供と同じ翠色だった。

「さぁ、荷物と子供を降ろしたら遊ぶぞーーッ」
「飲むぞーー、あはははーーッ」
男達の笑い声が響いていく。

俺は確信した。あの民族はいきなり国を占領したのではなく少しずつ国内へ侵入し、奪っていったのだと。

俺は再び飛び立つと、敵の居所を探るために港へと向かった。



◇◇◇



港町ポルトの開業セレモニーが行われる真新しい洋館の一室にて二人の男は茶を飲みながら歓談していた。

「いやはや、先程は驚いたぞ」

「’’敵だ’’だとどうしてわかったのかと肝を冷やしたわい」

「本当だ、後で聞いたところによるとあの騎士は少し頭のねじが緩いそうだ、子供達を見て’’敵だ’’だと言うくらいだ」

「全くだ、クックックックッ、姫様が子供達を可愛いと言ったから、嫉妬したらしいぞ。
 しかし、油断は禁物だ。我らが’’敵だ’’とは知られてはならぬ。計画は始まったばかりだからな」

「あぁ、わかっている」


扉のノックがすると小間使いの男が部屋に入る。
「ご主人様、失礼致します。式典の準備が整いました。王女様もお席にご案内致しました」


「では、行こう」
「あぁ」


そして、開業セレモニーが盛大に行われ、今宵、港町ポルトに他国の店々が開店した。沢山の人々が新しい品々を求めて訪れたそうだ。






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