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第11話 二人の恋の行方
しおりを挟む城に連れてこられたジュリアンヌはアルバートの父である王と母である王妃と謁見する。
「お久しぶりでございます。王様。」
「久しぶりだね。アーサーの卒業式以来だね。まさかジュリアンヌ王女が我が国に潜伏しているとは。」
あはははと王が笑い出し、
「1人で生きてきたのね、よく頑張ったわ。」
王妃様が優しく微笑んでくれた。
「せっかく王族から抜け出せたのに我が息子に捕まるとはジュリアンヌ王女も王族と縁があるんだろう。」
「全く欲しくない縁ですわ。」
「息子は君を逃がしはしないだろう。
我が一族は欲しい物は必ず手に入れるからね。」
と王は優しい眼差しで王妃を見つける。
「ごちそうさまです。」
ジュリアンヌは呆れた眼差しで言うと横にいたアルバートはジュリアンヌの腰に手を回す。
「何ですの?」
ビクっとアルバートを見ると、
「いやぁ、あまりに人ごとだからね。
覚悟しててよ。逃がさないからね。」
と耳にチュッとキスをされ、一瞬で顔が赤面する。転生前から恋という恋をしてこなかったジュリアンヌはドキドキしぱなっしだ。
『幾ら心臓があっても持たないわよー。』
街で深い口付けをされたことも思い出し益々赤面するのだった。
「我が国としてもジュリアンヌ王女に嫁いでもらえるなんて有り難いよ。卒業式後にグリード王国にアーサーの妻にと打診をしたのだよ。」
「「えっ!!」
アーサーとジュリアーナはびっくり顔になる。
「まじ、やめて!」
「父上、私にだって選ぶ権利があります!」
「なんですっで!あんたには言われたくないわよ!」
ジュリアンヌはアーサーを指差しブチ切れる。
「あっ、すみません。ジュリー姉さん。」
アルバートは機嫌が悪そうに、
「おまえ達、仲良いなぁ…。」
と二人を見る。
「仲良い訳ないでしょうー!
本当にどれだけ学生時代に貴方の弟が私を含め多くの人に迷惑をかけたのか知らないの?!」
「そう言えば、ジュリーが助けを求めたアイデンとは誰なんだ?」
突然アルバートから何故か冷気が漂っているように見える。
「兄上、大丈夫ですよ。アイデンはジュリー姉さんの友人で男にしか興味ないですから。」
「そうか、それならいいが…。」
「待ってよ!!
どうして私がアイデンに助けを求めたのを知ってるのよ!
まさか、わたくしが出した手紙を読んだの?」
「あぁ、念の為、君を守る為に密偵をつけていたら他国の男に手紙を送ると聞いて回収したんだ。まぁ、手紙を回収できたから君を捕まえる事が出来たのさ。」
しれっと言い放ちジュリアンヌにウインクをする。
「密偵…。
人の個人情報を盗み見るなんて立派な犯罪じゃなくて?!」
「そんな法ないが…。」
「……。
ですね、間違えました…。」
そうよ、あんた達が法だよ。
前世とは今世は違う。がくりと肩を落としジュリアンヌは観念する。
王は難しい表情になり、
「現在グリード王国は荒れているそうだ。
側妃の派閥が力を持ち、王位継承は第2王子へと移ったのだ。もしかすると第1王子が病死とされているが暗殺されたのも知らないだろう。」
「嘘!そんなことになっているなんて…。」
ジュリアンヌは驚きのために口を押さえる。
タイミングが悪かったら私も暗殺されていたかもしれない…。
さぁーっと顔が青くなる。
やっぱりあの国はやばかったんだ。
「ジュリアンヌ王女が国を出たのはいいタイミングだったかもしれんな。王妃派の力が衰え、ジュリアンヌ王女の命も狙われていたかもしれない。
ひとまず、ケーブル侯爵に養女として過ごし、グリード王国の状況を見て身分をどうするか考えよう。
ジュリアンヌ王女よ、
我が息子アルバートの伴侶として嫁いでくれるか?」
ジュリアンヌはアルバートと見つめ合う。
そして、王に向き合い、
「私は、お淑やかな王女ではございません。
このようにおてんばな方ですが、私でよろしいですか?」
「もちろんだよ。
あなたの能力は、よくわかっている。
是非、国に迎え入れたい。
私達とこのラッセルブルク国をより良くする手伝いをしてくれないか?」
ジュリアンヌはゆっくりと頷いた。
アルバートはジュリアンヌの手を優しく取り、そして跪く。
「ジュリアンヌ王女、
私はあなたを愛しています。
どうか私の妻になってください。」
と手に口付けをした。
「喜んで。
私もあなたが好きです…。」
ジュリアンヌからの告白を聞けたアルバートは嬉しさのあまり立ち上がりぎゅっと抱き締めた。
転々と重ねた私の就職。
目標だった官僚になり平凡な結婚をして平凡な幸せを望んでいた私だか最終就職先は官僚ではなく、なんと皇太子の花嫁とは…。
前世でいう大きな会社の御曹司の嫁になるようなもんよ!ラッセルブルクという国を動かすのは大変だけど未知なる物に挑戦するなんて燃えるわ!
しっかりとアルバート様を支えて、ラッセルブルクのことも良い国にして見せるわ!
こうして私、ジュリアンヌはアルバート様の婚約者になった訳だがこれから起こる2人のドキドキの生活に胸躍らせて婚儀の日を待つのだった。
終
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