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第5話 逃亡王女の黒歴史
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「私を雇って下さい!お願いします!」
ペコリと頭を夫人に下げる。
「ふふふ。そんなに頭を下げなくても大丈夫よ。もちろん採用させて頂くわ。
アイデンから話は聞いているわ。
学校の生徒会の影の支配者なんでしょう。
その実力をしっかりと発揮してね。」
ギロリとアイデンを睨む。
ごめん、許してよ~とウインクしてきた。
私の黒歴史をしゃべったわね。
リンデン王国の学生時代
周辺国の王族や貴族達が集い、将来の互いの国同士の交流に役立てるように12才から三年間、高貴な子供達が教育を受けれる学園がある。
その名をネージュル学園と言う。
私は12才から学園に学び、積極的に生徒会で会計を担当していた。
1年の頃はリンデン王国の王子が生徒会長を行い、まともにしっかりと学校をまとめ上げており、生徒会の仕事は苦にならなかった。
2年の時はカルヴァス国の王子が生徒会長になった。少し頼りのない彼は年下の私から教えを乞うことを恥じることなく素直に言うことを聞き、前年度の流れどおり難なく一年が過ごせた。
1年の時からアイデンとは同じ生徒会で会計仲間であり、2年生の様子をまるで仕事ができない王を影で操る宰相の様だと言われた。
3年の時が特に酷かった。ラッセルブルク国の第2王子アーサーが生徒会長になりトラブルばかり起こしていた。周りの生徒会メンバーも呆れ果てどうすればいいかと頭を抱えていたのだ。
いつもの会議中、
「今回の学園祭だが今回は豪華で華やかな催しにしようと思うんだ。まず、美しい花を飾って、花を鑑賞しながら学園祭を見学するなんて素敵だと思うんだ。花は従者に頼んで注文しておいたからね。」
生徒会メンバーはえっ??と一斉に頭を抱える。
バンと机をジュリアンヌが叩く。
「王子!」
皆がピクリと肩を揺らす。
「な、何。ジュリアンヌ王女…。」
「あんたの脳みそはどうなってるのよ!」
制服の襟をぐいっ掴みあげる。
「き、きみ、失礼じゃないか。私にこのようなことをするなんて不敬だよ。」
「もう我慢できない!いい加減にして!!
あんたのポンコツ頭にはしっかりと説明してあげるわ!
ちゃんと聞いておきなさい!
花を頼んだ?
予算は?
誰が払うの?
今、学園祭は冬よ!
花が1番高いなのは冬だと知ってる??」
「それは、君たち会計が…。」
「馬鹿!!」
バコッ。
頬に右ストレートをぶつけてやる。
「グハッ。」
「ジュリー先輩ナイスパンチ!」
「ジュリー姉さん、よく殴ってくれた!」
生徒会一同が拍手を送る。
「おい!ジュリアンヌ!殴ったらまずいだろう!」
ロビンがアーサーに駆け寄る。
「おほほほ。私はリンデン王国の皇太子の婚約者よ。皇太子様に頼んでリンデン王国はジュリアンヌ側になるわ。」
とアマンダがジュリアンヌの守りに入る。
「僕もラッセルブルクの貴族が親戚だからこのアホ王子はなんとかできるよ。」
とアイデンも余裕顔に言い放つ。
「さぁ、このポンコツ!!
すぐに従者を呼んで来い!
早く!」
ジュリアンヌはアーサーの襟を再び掴み、ブンブンとアーサーを振る。
アーサーの従者がやってきて注文書を持ってきた。
「王子がいくらでもいいって仰るので…。」
持って来た見積もりを見つめる私とアイデンは倒れそうになる。
「従者とアイデンと副会長は今から花屋に謝罪とキャンセルしてきて!
もしキャンセル料が発生するならすべてラッセルブルク国へ支払いを回せる交渉して。」
「「わかった。」」
アイデンと副会長は急いで生徒会室を後にする。
「ジュリアン王女~。
ラッセルブルクに請求って困るよ…。」
アーサーは泣きそう表情で懇願する。
「うるさい!お黙り!」
「アマンダ!手紙を用意して!今回の経緯と請求がラッセルブルクに行く旨の文面を考えてくれる?」
「わかったわ。」
「一年の書記はアマンダの補佐よ!」
「はい!」
「ロビン、このポンコツを立たして!
さぁ、学園長のところへ謝罪に行くわよ~。」
「なんでだよ!行きたくないよ!」
「会長行きますよー。」
「やだー!やだー!」
ジタバタするアーサー王子を引きづり学園長に報告に行ったのだ。学園始まって以来の問題を起こしてしまった私達は大半の花はキャンセル出来ず、引き取るしかすべはなく生徒会の貴族や王族、ラッセルブルク国の負担で花を引き取り学園祭は花だらけの赤字だらけ催しとなった。
おかげでその一年の生徒会活動費はゼロとなり、アーサー王子が暴走しないようにジュリアンヌが傍で手綱を引く形になり指導役となったジュリアンヌはアーサーを卒業まで面倒を見ることとなった。すっかりジュリー姉さんと慕う形となり卒業式の日がやってきた。
「アーサー、これを覚えて明日スピーチするのよ!」
「はい!ジュリー姉さん、一年間迷惑をかけてすみませんでした。」
「国に帰っても、迷惑掛けんじゃないわよ。
行動する前に必ず誰かに意見を聞くのよ。」
「はい!!今までありがとうございます!」
アーサー王子はペコリと頭を下げた。
この光景を見ていた生徒会メンバーが口々に
学校の生徒会の影の支配者はやっぱりジュリアンヌだよなと言ったのである。
そんなことがあったわねぇ~と一年前の学生の頃を思い出しながら、面接は終了し晴れてジュリアンヌはカルヴァス国で執事見習いとして内定を頂き働くことが出来たのである。
ペコリと頭を夫人に下げる。
「ふふふ。そんなに頭を下げなくても大丈夫よ。もちろん採用させて頂くわ。
アイデンから話は聞いているわ。
学校の生徒会の影の支配者なんでしょう。
その実力をしっかりと発揮してね。」
ギロリとアイデンを睨む。
ごめん、許してよ~とウインクしてきた。
私の黒歴史をしゃべったわね。
リンデン王国の学生時代
周辺国の王族や貴族達が集い、将来の互いの国同士の交流に役立てるように12才から三年間、高貴な子供達が教育を受けれる学園がある。
その名をネージュル学園と言う。
私は12才から学園に学び、積極的に生徒会で会計を担当していた。
1年の頃はリンデン王国の王子が生徒会長を行い、まともにしっかりと学校をまとめ上げており、生徒会の仕事は苦にならなかった。
2年の時はカルヴァス国の王子が生徒会長になった。少し頼りのない彼は年下の私から教えを乞うことを恥じることなく素直に言うことを聞き、前年度の流れどおり難なく一年が過ごせた。
1年の時からアイデンとは同じ生徒会で会計仲間であり、2年生の様子をまるで仕事ができない王を影で操る宰相の様だと言われた。
3年の時が特に酷かった。ラッセルブルク国の第2王子アーサーが生徒会長になりトラブルばかり起こしていた。周りの生徒会メンバーも呆れ果てどうすればいいかと頭を抱えていたのだ。
いつもの会議中、
「今回の学園祭だが今回は豪華で華やかな催しにしようと思うんだ。まず、美しい花を飾って、花を鑑賞しながら学園祭を見学するなんて素敵だと思うんだ。花は従者に頼んで注文しておいたからね。」
生徒会メンバーはえっ??と一斉に頭を抱える。
バンと机をジュリアンヌが叩く。
「王子!」
皆がピクリと肩を揺らす。
「な、何。ジュリアンヌ王女…。」
「あんたの脳みそはどうなってるのよ!」
制服の襟をぐいっ掴みあげる。
「き、きみ、失礼じゃないか。私にこのようなことをするなんて不敬だよ。」
「もう我慢できない!いい加減にして!!
あんたのポンコツ頭にはしっかりと説明してあげるわ!
ちゃんと聞いておきなさい!
花を頼んだ?
予算は?
誰が払うの?
今、学園祭は冬よ!
花が1番高いなのは冬だと知ってる??」
「それは、君たち会計が…。」
「馬鹿!!」
バコッ。
頬に右ストレートをぶつけてやる。
「グハッ。」
「ジュリー先輩ナイスパンチ!」
「ジュリー姉さん、よく殴ってくれた!」
生徒会一同が拍手を送る。
「おい!ジュリアンヌ!殴ったらまずいだろう!」
ロビンがアーサーに駆け寄る。
「おほほほ。私はリンデン王国の皇太子の婚約者よ。皇太子様に頼んでリンデン王国はジュリアンヌ側になるわ。」
とアマンダがジュリアンヌの守りに入る。
「僕もラッセルブルクの貴族が親戚だからこのアホ王子はなんとかできるよ。」
とアイデンも余裕顔に言い放つ。
「さぁ、このポンコツ!!
すぐに従者を呼んで来い!
早く!」
ジュリアンヌはアーサーの襟を再び掴み、ブンブンとアーサーを振る。
アーサーの従者がやってきて注文書を持ってきた。
「王子がいくらでもいいって仰るので…。」
持って来た見積もりを見つめる私とアイデンは倒れそうになる。
「従者とアイデンと副会長は今から花屋に謝罪とキャンセルしてきて!
もしキャンセル料が発生するならすべてラッセルブルク国へ支払いを回せる交渉して。」
「「わかった。」」
アイデンと副会長は急いで生徒会室を後にする。
「ジュリアン王女~。
ラッセルブルクに請求って困るよ…。」
アーサーは泣きそう表情で懇願する。
「うるさい!お黙り!」
「アマンダ!手紙を用意して!今回の経緯と請求がラッセルブルクに行く旨の文面を考えてくれる?」
「わかったわ。」
「一年の書記はアマンダの補佐よ!」
「はい!」
「ロビン、このポンコツを立たして!
さぁ、学園長のところへ謝罪に行くわよ~。」
「なんでだよ!行きたくないよ!」
「会長行きますよー。」
「やだー!やだー!」
ジタバタするアーサー王子を引きづり学園長に報告に行ったのだ。学園始まって以来の問題を起こしてしまった私達は大半の花はキャンセル出来ず、引き取るしかすべはなく生徒会の貴族や王族、ラッセルブルク国の負担で花を引き取り学園祭は花だらけの赤字だらけ催しとなった。
おかげでその一年の生徒会活動費はゼロとなり、アーサー王子が暴走しないようにジュリアンヌが傍で手綱を引く形になり指導役となったジュリアンヌはアーサーを卒業まで面倒を見ることとなった。すっかりジュリー姉さんと慕う形となり卒業式の日がやってきた。
「アーサー、これを覚えて明日スピーチするのよ!」
「はい!ジュリー姉さん、一年間迷惑をかけてすみませんでした。」
「国に帰っても、迷惑掛けんじゃないわよ。
行動する前に必ず誰かに意見を聞くのよ。」
「はい!!今までありがとうございます!」
アーサー王子はペコリと頭を下げた。
この光景を見ていた生徒会メンバーが口々に
学校の生徒会の影の支配者はやっぱりジュリアンヌだよなと言ったのである。
そんなことがあったわねぇ~と一年前の学生の頃を思い出しながら、面接は終了し晴れてジュリアンヌはカルヴァス国で執事見習いとして内定を頂き働くことが出来たのである。
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