私を雇って下さい!ー逃亡王女の就職放浪記ー

京極冨蘭

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第4話 いざ新しい就職先へ

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 リルベル王国に到着して2日経つ。 
 そろそろ次の逃亡計画の実行を移す時が近づく。

「お嬢様、髪型どうしましょうか?」
「いつもので。」
「はい。かしこまりました。」
髪を一つの編み込みにしてリボンをつける。
「あなた、上手ね。」
お嬢様の侍女付きの方が褒めてくれた。
「仕草も綺麗だし、旦那様に見習いではなく侍女に推薦しておくわ。」
「ありがとうございます。」
ペコリと頭を下げる。
"もうすぐここ辞めるけどな。"
と思いながら…

 邸宅の庭を掃きながら大きな馬車が通るのが見えた。あの馬車の紋章を見て我が友人が来たことを知る。
 友人に今すぐに行くと合図を送り邸宅に走る。

「侍女長様、申し訳ありません。今手紙が届き、祖父が倒れたようで様子を見に行ってきてよろしいでしょうか?」
「そう言えば、この国の出身だったわね。
 良いわよ、ゆっくりして来なさいな。」
「ありがとうございます。」
とすでに荷物をまとめているカバンを持ち遠くに止まっている馬車に乗り込む。

「アマンダ、久しぶりね。」
「本当に久しぶりね。
 でも、本当に逃亡するとは…。
 馬車は国境までしか案内出来ないけど大丈夫?」
「ありがとう。
 隣国のアイデンにこの国に着いてから手紙で連絡したのよ。国境に迎えに来てくれているらしいから。」
「用意周到ね… 
 相変わらずで笑えてくるわ。」
「はい、偽造身分証よ。」
「さすが公爵令嬢助かるわ!」
「落ちついたら連絡頂戴ね。
 じゃあ、私は一緒には行けないけど落ち着いたら連絡頂戴ね。」
「わかったわ。馬車まで用意してくれてありがとう。」
「「じゃあね」」

 馬車で揺られること2日間、隣国カルヴァス国との国境に着く。優しくしてくれた馬車の従者のおじさんにお礼のお金を渡す。
「いらないよ。
 私はお嬢様からお給金貰ってるから大丈夫だよ。今から嫌な結婚相手から逃げるんだろ。お金は必要になるから持って行きなさい。頑張るんだよ。」
とおじさんに頭を撫でてもらい、その優しさに涙がでる。
 おじさんに男爵邸に辞表の入った手紙を渡して貰えるようお願いする。

 国境には兵士達が身分証を確認し入国する。別れの光景を見ていた兵士達は優しく声をかけてくれた。
「出稼ぎかい?」
「はい。ぐすん。」
「お爺さんのためにも頑張るんだぞ。」
「はい、頑張ります。」
ペコリと頭を下げてカルヴァス国へ入国したのである。

 カルヴァス国に入ると国境の町として栄えていた。待ち合わせの宿に行くと懐かしい顔が見えてきた。

「ジュリー、久しぶり!」
「アイデン!お久しぶりね。」
 
 彼は私の旧友のアイデンだ。彼の父は哲学者でありアイデンも父の様になるためにさらにカルヴァス国で勉強しているのだ。
 彼とどうして仲良くなったかと言うとグリード王国の男尊女卑の酷さを聞かせてほしいと言われ話しかけられた。
人は平等であるべきと説くもグリード王国では一切通用はしない言葉であり、どうすればよくなるかを研究のテーマにしているらしい。
 私は国から逃げたし官僚になって幸せを掴みたいと力説すると王族なら権力を使い男尊女卑をなんとかすればいいなど言われたが差別がある国、ましてや女性の王族では力はなくどうにもならないと説明をしてやった。
 王女が逃亡なんて、当初は鼻で笑ったていたが本気でやるなら手助けしてやると言質げんちをとったのだ。 

「早速、出発しよう。追っ手が来ても嫌だからね。」
「ありがとう。」
「今から叔母の元に案内するよ。
 私の領内に住んでいるんだ。
 私が成人になるまで領地管理をお願いしていてね、それで君に領地管理の手伝いをお願いしたいだ。」
「領地管理?」
「わかりやすく言うと領地管理の書類整理とか書類に不手際があったら訂正したり、あと、領地に赴いて書類上の数値と間違いないか確認したり、屋敷の管理をお願いしたいなぁ。
 そうだな、執事見習いって感じだよ。
 そう言う仕事得意だろ。
 しばらく執事見習いとして働いて、隣国のラッセルブルク国の官僚試験まで領地管理の仕事で力を蓄えるんだ。
 官僚試験は17才からでないと受けれないからね。」
「ラッセルブルク国で官僚いいわね!
 確か平民や女性も官僚に登用されているもの。」
「叔母はラッセルブルク国の貴族に嫁いでいるんだ。僕が勉強で忙しいから代わりに一時的に領内を管理してくれているんだ。叔母の夫はラッセルブルク国で財政官僚なんだよ。しっかり働いて叔母の夫に財政官僚の推薦を貰うのはどうだろう?」
「ありがとう!すごく良いアイデアだわ!」
アイデンの手をぎゅっと握る。
「そうだろう、もっと褒めてよね!
じゃあ、早速、我が領地に案内するね。」
「よろしくお願いします。」

 こうして私は、次なる就職先になるカルヴァス国にあるミッテン領へと向かうのだった。



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