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第二話
炎精
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『キャァァァァアァァァ!!』
キラーラビットに襲われることを覚悟して、両腕を頭の前で交差させる。しかし、その後リリィに来たのは、キラーラビットの攻撃━━━ではなく、何かが落ちる音と、ほのかに香る焦げた匂いだった。
「あれ?」
焦げた匂いの先には、角をすす黒に染めたぐったりと横たわるキラーラビット。
そんな姿をまじまじ見つめていると、不意に後ろで声が。
「ふぅ、、久しぶりに外出たけどやっぱ空気が違うわねー」
その声の主は、かつてこの世界に来るときに見たような、手のひらほどの小さな赤い少女。
そう。妖精だ。
「君は誰、って顔してる。見ればわかるもん。ボクは、あなたの使い魔よ。見ればわかると思うけど、炎属性ね。」
聞きなれない単語に、少々動揺を隠せないリリィ。
「えっと、、あなたはどうやってここに?」
「君、何も知らないんだね。私が教えてあげる。」
「ボクたち妖精はね、マナの振動に呼応して出てこれるの。マナっていうのはこの世界に7色あるんだけど、この話はまた今度にするわ。とにかく今は、君が火炎を使ったから出てきたって感じね。」
説明を受けるのが嫌いなリリィでさえ、珍しく興味津々である。
「火炎、、、?私が唱えたの?」
「そう。だから現にボクは今出てこれてるからね。あ、そろそろ時間みたい。」
そういうとだんだん妖精の姿は薄くなっていく。
「時間って、どこかへ行っちゃうの??」
その言葉が届いたのか届いてないのか、返事が返ってくることはなかった。
ただ、首にかけたペンダントの7つの宝石のうち真ん中の一つが紅く光った。
「魔法を唱えた、、、私が、、?」
━━━━━━━━━━━━━━━
「おーい! ゼシアビールまだか~?」
「そろそろやめなよ、、また酔って幼子に手を出すんだろうな?」
「大丈夫だって・・・ウィ」
真夜中だというのに妖精使いの明るい活気に溢れているのは、ゼシアの中央ギルドに隣接している酒場である。ギルドに近いということから、古くから妖精使いに親しまれている。この場所を一言で表すなら「平和」だろう。
そんな酒場の雰囲気をぶち壊したのは、耳がつんざくくらいの轟音だった。
「な、なんだ!?」
「この音、、まさかあの千年亀じゃないか!?」
「千年亀!?あいつの目覚めまではあと2日あるんじゃなかったのかよ!?」
「どうなってんだ!?」
慌てふためく酒場に、バーのオーナーが落ち着かせようとするも、妖精使いではない素人が妖精使いの力に勝てるはずもなく、簡単に撥ね退けられてしまう。どうしようかとオーナーも焦り始めたとき。その場に静寂をもたらしたのは、酒場の扉が蹴り開けられた音だった。
「セナです!
皆さん、、落ち着いて聞いてください。
千年亀が目を覚ましました。
しかしっ~!落ち着いてください!!
しかし、まだ寝起きなので、思うように動けないはずです。
申し訳ありませんが、、すぐに戦闘準備を。」
ふざけんなよっというような声を誰かが上げたことを筆頭に、妖精使いたちからヤジが飛ぶ。
「もちろん、礼は弾みます。
━━━━参加者一人に、100000リールを。」
━━━━━━━静寂。の後に酒場を満たしたのは、いつもの活気とは少し違う、妖精使いの歓喜の声だった。
━━━━━━━━━━━━━━━
「はぁ、はぁ、ん、あぁぁあ、、、」
自分の吐息と汗のにおいが入り混じってへんな感じがする。
て「続き、できそう?」
「うーん、厳しいかも。頑張りすぎちゃった。腰が痛いや。へへぇ、、」
「今にもいきそうな顔してるし。」
「まぁ、あれだけ動いてたもんね。ボクも周りのマナ少なくなってきてつらいし。休もう。」
「そうだね、炎香。」
「そろそろいいかしら?」
相変わらず気配を消して現れる少女、サラ。
「あ!サラさん!いつからそこにいたんですか?」
「あんたたちが勘違いさせるようなムード作り始めた時からよ━━って、そんなことは今はどうでもいいの。今、街中は大パニックよ。━━━━━千年亀が、目を覚ましたの。」
考えもしてなかった通告に、リリィは言葉を詰まらせる。
「本当はレベル20以下の妖精使いは千年亀討伐に行かせてはいけない決まりになってるの。でも、あんまり言いたくないんだけど、あんた、とびぬけて強いから。特別に戦闘に出ることになったわ。」
「、、そういわれましても、私、まだうさぎさんとしか戦闘経験ないんですけど」
「うるさい。早く。」
切羽詰まったような顔をするサラに、本当にこのままだと街が危険だということを悟ったリリィは、大急ぎでギルドへ向かうのだった。
━━━━━━━━━━━━━━━
【新用語解説】
・使い魔・・・妖精使いに仕える妖精のこと。通常、妖精使い一人につき一人の使い魔がおり、使い魔の属性は妖精使いが首に下げるネックレスの宝石の色と同色である。
・リール・・・この世界の共通通貨の単位。主成分は鉛であり、まわりはは金メッキでできている。ちなみに、表面には初代レオーネの国王“Leaune”の肖像画が彫られている。
だいぶん小説書くのも慣れてきました笑
表現力が乏しいのは我慢してください笑
次回はまた遅くなると思います。。。。
キラーラビットに襲われることを覚悟して、両腕を頭の前で交差させる。しかし、その後リリィに来たのは、キラーラビットの攻撃━━━ではなく、何かが落ちる音と、ほのかに香る焦げた匂いだった。
「あれ?」
焦げた匂いの先には、角をすす黒に染めたぐったりと横たわるキラーラビット。
そんな姿をまじまじ見つめていると、不意に後ろで声が。
「ふぅ、、久しぶりに外出たけどやっぱ空気が違うわねー」
その声の主は、かつてこの世界に来るときに見たような、手のひらほどの小さな赤い少女。
そう。妖精だ。
「君は誰、って顔してる。見ればわかるもん。ボクは、あなたの使い魔よ。見ればわかると思うけど、炎属性ね。」
聞きなれない単語に、少々動揺を隠せないリリィ。
「えっと、、あなたはどうやってここに?」
「君、何も知らないんだね。私が教えてあげる。」
「ボクたち妖精はね、マナの振動に呼応して出てこれるの。マナっていうのはこの世界に7色あるんだけど、この話はまた今度にするわ。とにかく今は、君が火炎を使ったから出てきたって感じね。」
説明を受けるのが嫌いなリリィでさえ、珍しく興味津々である。
「火炎、、、?私が唱えたの?」
「そう。だから現にボクは今出てこれてるからね。あ、そろそろ時間みたい。」
そういうとだんだん妖精の姿は薄くなっていく。
「時間って、どこかへ行っちゃうの??」
その言葉が届いたのか届いてないのか、返事が返ってくることはなかった。
ただ、首にかけたペンダントの7つの宝石のうち真ん中の一つが紅く光った。
「魔法を唱えた、、、私が、、?」
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「おーい! ゼシアビールまだか~?」
「そろそろやめなよ、、また酔って幼子に手を出すんだろうな?」
「大丈夫だって・・・ウィ」
真夜中だというのに妖精使いの明るい活気に溢れているのは、ゼシアの中央ギルドに隣接している酒場である。ギルドに近いということから、古くから妖精使いに親しまれている。この場所を一言で表すなら「平和」だろう。
そんな酒場の雰囲気をぶち壊したのは、耳がつんざくくらいの轟音だった。
「な、なんだ!?」
「この音、、まさかあの千年亀じゃないか!?」
「千年亀!?あいつの目覚めまではあと2日あるんじゃなかったのかよ!?」
「どうなってんだ!?」
慌てふためく酒場に、バーのオーナーが落ち着かせようとするも、妖精使いではない素人が妖精使いの力に勝てるはずもなく、簡単に撥ね退けられてしまう。どうしようかとオーナーも焦り始めたとき。その場に静寂をもたらしたのは、酒場の扉が蹴り開けられた音だった。
「セナです!
皆さん、、落ち着いて聞いてください。
千年亀が目を覚ましました。
しかしっ~!落ち着いてください!!
しかし、まだ寝起きなので、思うように動けないはずです。
申し訳ありませんが、、すぐに戦闘準備を。」
ふざけんなよっというような声を誰かが上げたことを筆頭に、妖精使いたちからヤジが飛ぶ。
「もちろん、礼は弾みます。
━━━━参加者一人に、100000リールを。」
━━━━━━━静寂。の後に酒場を満たしたのは、いつもの活気とは少し違う、妖精使いの歓喜の声だった。
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「はぁ、はぁ、ん、あぁぁあ、、、」
自分の吐息と汗のにおいが入り混じってへんな感じがする。
て「続き、できそう?」
「うーん、厳しいかも。頑張りすぎちゃった。腰が痛いや。へへぇ、、」
「今にもいきそうな顔してるし。」
「まぁ、あれだけ動いてたもんね。ボクも周りのマナ少なくなってきてつらいし。休もう。」
「そうだね、炎香。」
「そろそろいいかしら?」
相変わらず気配を消して現れる少女、サラ。
「あ!サラさん!いつからそこにいたんですか?」
「あんたたちが勘違いさせるようなムード作り始めた時からよ━━って、そんなことは今はどうでもいいの。今、街中は大パニックよ。━━━━━千年亀が、目を覚ましたの。」
考えもしてなかった通告に、リリィは言葉を詰まらせる。
「本当はレベル20以下の妖精使いは千年亀討伐に行かせてはいけない決まりになってるの。でも、あんまり言いたくないんだけど、あんた、とびぬけて強いから。特別に戦闘に出ることになったわ。」
「、、そういわれましても、私、まだうさぎさんとしか戦闘経験ないんですけど」
「うるさい。早く。」
切羽詰まったような顔をするサラに、本当にこのままだと街が危険だということを悟ったリリィは、大急ぎでギルドへ向かうのだった。
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【新用語解説】
・使い魔・・・妖精使いに仕える妖精のこと。通常、妖精使い一人につき一人の使い魔がおり、使い魔の属性は妖精使いが首に下げるネックレスの宝石の色と同色である。
・リール・・・この世界の共通通貨の単位。主成分は鉛であり、まわりはは金メッキでできている。ちなみに、表面には初代レオーネの国王“Leaune”の肖像画が彫られている。
だいぶん小説書くのも慣れてきました笑
表現力が乏しいのは我慢してください笑
次回はまた遅くなると思います。。。。
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