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120th サンナナタワー

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「くそ。離しやがれ! 俺は何もしてねえだろうが!」
「込み入った話は後で聞く。連れていけ」

 マンホールから出た男を取り押さえる警備隊。
 この町には警殺はいないが警備隊は存在している。
 連れて行く場所は尋問室などではなく直接強制労働現場だ。

 働き手が少ない昨今では非常に重宝するという。
 俺たちはあの後直ぐに公演の警備係にこの場所の事を伝え、妙な場所と
繋がっている事を進言。
 そちらに出入りする怪しい者を見たと伝えた。

 つまりあの場所から出てきた時点で捕縛されるように仕向けたのだ。
 これであいつら自体は一網打尽に出来るだろう。
 他に出口があるとは思えない。
 そしてここからが本番となる。

 現在俺はアルバメデスに戻り、ミシーハ博士に事の顛末を伝えた。
 核を安全な場所に渡してしまったことをとても残念がっていたが、ミシーハ博士
が流用したら、またとんでもない物を作りかねないので、断じて触らせるわけにはいかない。

「まぁ私は作れるからいいんだけどね。オルクスを核融合で動かそうなんて、全然的外れだわ」
「というと?」
「あら、難しい話、聞きたい?」
「いや、今はやめとく……それでジェフさんが攫われて困ってるんだ。
場所は発信機で特定できるけど、相手は核を要求してくると思う。何かいい案ない?」
「あら。核そっくりの偽物を用意するだけじゃない。二分位待ってて。用意してあげるわ」
「場所、惑星シドーだよ?」
「問題ないわよ。それも一緒にBOSに取り込めばいいだけだから」

 そう言うとミシーハ博士はアルバをいじる手を止めて、何かを作り始める。
 二分って言ってたけど核っぽい何かがそんな簡単にできるものなのか? 

「あら、一分で十分だったわ。私、また腕があがったみたい。それとついでに
BOSの阻害認識プログラム向上チップも渡しておくわね。これがあれば
ステルス機能向上だけでなく、通常時でも認識され辛くなるの。
でもあんまり無茶しちゃだめよ。ジェフさんて人もマテリアラーズなんでしょ? 
そう簡単に捕まったりするのかしら」
「それは確かにそうなんだけど。色々道具を提供してもらったからさ……」
「ふーん。その割に捕まるなんて、案外ドジな人なのね。それじゃ気を付けてね。
戻って来るまでにはエレットのアルバも調整すませておくから」
「調整って……姉ちゃん一体何をしてるんだ?」
「ふふふふ。それは戻って来てからの、お・た・の・し・み」

 気になる台詞だけ残して再び作業に没頭し始めるミシーハ博士。
 よほどアルバが気に入ったんだな……ここ数日はずっとアルバに夢中だ。

 俺も早くシドーに戻ってジェフさんを助けに行こう。
 戻りがてらパープラー隊長に一応の連絡をいれておくと、少し難しい顔をしていた。
 これ以上ニッキィたちを待たせるわけにはいかないので、直ぐに引き返して、BOSで
再び惑星シドーへと赴いた。

「おっそーい! ニッキィお腹空いた!」
「私も何か食べたい」
「二人とも悪い。ジェフさんを助けたらちゃんと食事にしよう。
BOSで食べるより、現実の方でちゃんと食事したいだろ?」
「うん。早く終わらせよう!」
「そうね。それで場所はどこなの」
「ジェフさんの反応を見ると……ここかな。サンナナタワー?」
「えー? あんな高い建物に捕まってるの?」
「有名な建物なのか?」
「うん。標高三千七メートルもあるの。凄い高いんだよ」
「なんで切り良く三千メートルにしなかったんだ……」
「さぁ? ここからだとちょっと遠いね」
「またお金払ってあれに乗るか……マッピングトーチまで行こう」

 俺たちは再び移動手段の要、マッピングトーチにお金を投入して
サンナナタワーを目指した。
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