上 下
100 / 130

101th 乗せられやすいグリズリー先輩

しおりを挟む
「ニッキー、部屋に勝手に入ったらダメだって!」
「えー。いいじゃん。女の子の部屋ってわけじゃないんだしさぁ」
「お、そうかそうか。入隊意思を確認した。直ぐ手続きに入る。いいなニッキー」
「いいよー!」
「ちょっと父さん! 何言ってんだ。ダメだろどう考えても!」
「いいのいいの。その方が動きやすくなる。今日中に仕上げておくからエレットは惑星シドーでの
BOS活動準備をしておくように。細かい指示はパープラーにしておく。今回の同行者は……
ニッキーとレグアの二名だ。それじゃまたな」
「ちょっと! 逃げてきたニッキーを連れて行くってどういう……ああ、切れてる」
「マスター。諦めマショウ。エレヴィン様にはきっと考えがあるのデス」
「うちの父さんが考えっていっても説得力ないな……」
「にしししっ。楽しくなってきたー! ねぇねぇ早くレグアって人のところに連れてってよぅ。
でもニッキーその前にお腹空いた! 食堂どこ?」

 結局ニッキーに振り舞わSれる事になりそうだと考えつつも、ニッキーを連れて食事処へと
連れて行くと、中にはライチェ先輩が。
 こちらを見て目をキラキラと輝かせ、直ぐに近づいてきた。

「やだエレット! 何て可愛い子連れてるの!? この肌……惑星シドーの人でしょ? 
小さくて可愛い……」
「やだぁ、わかっちゃう? おばさんわっかるぅー」

 あ……今ぴしっていう音が聞こえたきがする。

「おば……あら、誰の事かしら……」
「ニッキー。ライチェ先輩はまだそんな年じゃない。急いで修正するんだ」
「えー? パープラーって人と同じくらいの年齢じゃないの?」

 今度は確実にパリ―ンというような音が聞こえた気がした。
 これは間違いなくトドメだ。

「隊長と同じ……隊長と同じ……隊長と同じ……私は隊長と同じ……」
「ライチェ先輩? ちょっとどこに?」
「隊長と同じ……隊長と……」

 そのまま食事処を後にするライチェ先輩。
 ショックが大きすぎたようだ。
 暫くはそっとしておこう。

「マスター。どうやら自動調理システムがメンテナンスのようデス」
「あれ? 仕方ないな。それじゃセイソー、グリズリー先輩に連絡を頼む。
久しぶりに先輩の手料理が食べたいです! って」
「承知しまシタ。お喜びになると思いマス」

 セイソーが連絡を入れると直ぐに先輩が駆け込んできた。
 実は先輩、料理を作るのが本当に好きで、以前作ってくれた料理は、それはそれは美味しいものだった。
 自動調理機はメンテナンスが必要で、俺たちにとって先輩は無くてはならない存在。

「エレット君。お待たせ! 直ぐ作るよ。何が食べたい?」
「グリズリー先輩! あざっす! 俺っていうよりニッキーが食べたいみたいで。
先輩のご自慢の料理、こいつに食わせてやってください!」
「ええ? うちの隊員じゃない人に作るのはちょっと……」
「そこをどうにか! 先輩の料理が食べたくて、わざわざ惑星シドーからやってきたんです!」
「そうなの! ニッキーもうお腹ペコペコ!」
「ほ、本当ですか? 嬉しい……遠い惑星から私の料理を食べに来てくれる人がいるなんて、考えても
みませんでした。いいでしょう! 作ります! 今直ぐに!」

 先輩は非常に乗せられやすい。
 胸の前で拳を固く握りながら、とても嬉しそうな表情を浮かべている。
 これは……凄い量の食事が出てきそうだな。

「エレット。やっと見つけた」
「あ、レグアも来たのか。今グリズリー先輩が食事を作ってくれるそうだから
一緒に食べよう」
「あーーー! あなたがレグアね! 私のライバル!」
「へっ? 何言ってるんだニッキー」
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

スペーストレイン[カージマー18]

瀬戸 生駒
SF
俺はロック=クワジマ。一匹狼の運び屋だ。 久しく宇宙無頼を決めていたが、今回変な物を拾っちまった。 そのまま捨ててしまえば良かったのに、ちょっとした気の迷いが、俺の生き様に陰をさす。 さらば自由な日々。 そして……俺はバカヤロウの仲間入りだ。 ●「小説化になろう」様にも投稿させていただいております。

Bless for Travel ~病弱ゲーマーはVRMMOで無双する~

NotWay
SF
20xx年、世に数多くのゲームが排出され数多くの名作が見つかる。しかしどれほどの名作が出ても未だに名作VRMMOは発表されていなかった。 「父さんな、ゲーム作ってみたんだ」 完全没入型VRMMOの発表に世界中は訝、それよりも大きく期待を寄せた。専用ハードの少数販売、そして抽選式のβテストの両方が叶った幸運なプレイヤーはゲームに入り……いずれもが夜明けまでプレイをやめることはなかった。 「第二の現実だ」とまで言わしめた世界。 Bless for Travel そんな世界に降り立った開発者の息子は……病弱だった。

空間魔法って実は凄いんです

真理亜
ファンタジー
伯爵令嬢のカリナは10歳の誕生日に実の父親から勘当される。後継者には浮気相手の継母の娘ダリヤが指名された。そして家に置いて欲しければ使用人として働けと言われ、屋根裏部屋に押し込まれた。普通のご令嬢ならここで絶望に打ちひしがれるところだが、カリナは違った。「その言葉を待ってました!」実の母マリナから託された伯爵家の財産。その金庫の鍵はカリナの身に不幸が訪れた時。まさに今がその瞬間。虐待される前にスタコラサッサと逃げ出します。あとは野となれ山となれ。空間魔法を駆使して冒険者として生きていくので何も問題ありません。婚約者のイアンのことだけが気掛かりだけど、私の事は死んだ者と思って忘れて下さい。しばらくは恋愛してる暇なんかないと思ってたら、成り行きで隣国の王子様を助けちゃったら、なぜか懐かれました。しかも元婚約者のイアンがまだ私の事を探してるって? いやこれどーなっちゃうの!?

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です! 小説家になろうでも10位獲得しました! そして、カクヨムでもランクイン中です! ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。 いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。 欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・ ●●●●●●●●●●●●●●● 小説家になろうで執筆中の作品です。 アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。 現在見直し作業中です。 変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。

【なろう400万pv!】船が沈没して大海原に取り残されたオッサンと女子高生の漂流サバイバル&スローライフ

海凪ととかる
SF
離島に向かうフェリーでたまたま一緒になった一人旅のオッサン、岳人《がくと》と帰省途中の女子高生、美岬《みさき》。 二人は船を降りればそれっきりになるはずだった。しかし、運命はそれを許さなかった。  衝突事故により沈没するフェリー。乗員乗客が救命ボートで船から逃げ出す中、衝突の衝撃で海に転落した美岬と、そんな美岬を助けようと海に飛び込んでいた岳人は救命ボートに気づいてもらえず、サメの徘徊する大海原に取り残されてしまう。  絶体絶命のピンチ! しかし岳人はアウトドア業界ではサバイバルマスターの通り名で有名なサバイバルの専門家だった。  ありあわせの材料で筏を作り、漂流物で筏を補強し、雨水を集め、太陽熱で真水を蒸留し、プランクトンでビタミンを補給し、捕まえた魚を保存食に加工し……なんとか生き延びようと創意工夫する岳人と美岬。  大海原の筏というある意味密室空間で共に過ごし、語り合い、力を合わせて極限状態に立ち向かううちに二人の間に特別な感情が芽生え始め……。 はたして二人は絶体絶命のピンチを生き延びて社会復帰することができるのか?  小説家になろうSF(パニック)部門にて400万pv達成、日間/週間1位、月間2位、四半期/年間3位の実績あり。 カクヨムのSF部門においても高評価いただき80万pv達成、最高週間2位、月間3位の実績あり。  

チートがちと強すぎるが、異世界を満喫できればそれでいい

616號
ファンタジー
 不慮の事故に遭い異世界に転移した主人公アキトは、強さや魔法を思い通り設定できるチートを手に入れた。ダンジョンや迷宮などが数多く存在し、それに加えて異世界からの侵略も日常的にある世界でチートすぎる魔法を次々と編み出して、自由にそして気ままに生きていく冒険物語。

新宿アイル

一ノ宮ガユウ
ファンタジー
 遥か6100万光年の彼方から、いつの間にか東京の地下に空間転移していた〈ロートの追憶〉。  半世紀前、その〈ロートの追憶〉を奪うため、〈ルジェ〉は、円環(ロンド)と呼ばれる巨大な円形地下空間を構築したが、その計画は失敗した。  しかし円環(ロンド)はいまだ健在。  〈追憶のカケラ〉とは、その円環(ロンド)を復活させるための鍵。  再び強奪を目論む〈ルジェ〉が送り込んだ、ロカとコルヴェナの兄妹、そしてヒト型機械兵ガルバルデのデッサが狙う。  祖父の指示に従い、秋葉原に来たハルは、そのコルヴェナとガルバルデに遭遇する。  そして、コルヴェナたちを追って空間転移してきたジシェと、たまたま居合わせた同級生のモジャコとともに、都内に散らばる〈追憶のカケラ〉を集めることになる。  ピンチに現れ、ハルたちを救ったのは、旧式のヒト型機械兵ルドゥフレーデ、リグナ。  リグナの能力は少しずつ覚醒し、デッサを上回っていく――が、そもそもは、リグナもまた〈ルジェ〉が持ち込んだもの。  半世紀前、円環(ロンド)の稼働を阻止したのは〈テヴェ〉のオーラという人物であり、そのオーラに、廃棄されかかっていたところを救われたから、リグナはいまハルたちを助けているらしい。  けれども、その証はどこにもない。  かすかに生まれた疑念は、ハルの中でどんどん膨らんでいく。  彼女は自分たちを欺いているのではないか?  ただ、再び訪れたピンチを救ってくれたのもまた、リグナだった……。  真実がどちらにあるのかは誰にもわからない。  堂々巡りで考えたところで答えはなく、最後は信じるか信じないかの二択でしかない。  信じられずに後悔するくらいなら、騙され欺かれて後悔したほうがいい――と、ハルは心を決めるだった。  都内に散らばる〈追憶のカケラ〉に、6100万光年と半世紀前の記憶と想いが重なる物語。 ※2021.08.12: 挿し絵 (画像) の枚数制限 (1作品につき200枚まで) の関係で分けていた「新宿アイル(5章以降)」をこちらに集約しました (詳細は各章の変更履歴を参照)。

神影鎧装レツオウガ【小編リマスター版】 #1

横島孝太郎
SF
五辻辰巳が怪物を消し飛ばした。 霧宮風葉は、その一部始終を呆然と見ていた。 なぜ、こうなったのか。 発端は、つい今朝方。風葉の髪が銀色になった上、犬耳まで生えていたが為に、全ては始まったのだ。 しかも異常事態はそれだけに留まらない。日常は薄墨色の向こうへ沈み、怪物が当然の如く出現し、果ては巨大なロボットが校舎を揺るがせる。 やがて明らかになるのは、日常の裏で繰り広げられていた戦いと、そこで蠢く権謀術数。 それらが渦巻く只中へ、風葉は否応なしに巻き込まれていく。 荒唐無稽特撮風味スーパーロボット小説、ここに開幕。 【注意】小説家になろう様で連載している同作と内容は同じですが、こちらではより読みやすいように一つの話を800~1000字程度に区切って投稿しております。 毎日二話更新する予定ですが、もっと先まで読みたい! と思われた方は下記URLへどうぞ。 http://ncode.syosetu.com/n7106bw/

処理中です...